Junk No, 029

YAMAHA AG-Stomp


出身地

日本

生息地

島村楽器

価   格

4万円ぐらいだったはず

ここは「家内制手工業」で、研究所所長兼研究員の私が一人いるだけなんで・・・、私が何も書かなければ、当然更新が止まります。そこは・・・ご了承ください(笑)。それと、すべてのギターに手を入れてる訳ではありません。「そのまま」使っているものもありますので・・・時々ネタ切れになります(爆)。

また、書きたいことはいろいろあるんだけど、資料が揃わなかったり、文章が気に入らなかったりで、自分で推敲して、ボツということも。おかげで、ボツ原稿のテキスト・ファイルは、いっぱいあります。

で、まあ、今日は・・・

アコースティック・ギター用プリアンプ「YAMAHA AG−Stomp」のお話です。

私は歳をとってることもあって、長年に渡っていろいろな機材を使ってきました。自分で買ったモノ、友達のモノ、お店での試奏などなど。触ってる機材だけは、とても多いです。
今回のこの「YAMAHA AG−Stomp」にたどり着くまでも、いろいろなモノを試したし、買ったりもしました。コレを買うときも、「島村楽器 仙台駅前イービーンズ店」(まいど!(^O^)/)で、スタジオにいろいろなプリアンプを並べて、全部試奏。もちろん自分のギターで、PAから音をだして。たかが4万円のプリアンプを買うために、スタジオ2時間+店員さん1人付きっ切りです(笑)。もちろん「タダ」です(笑)。まあ、よく知ってる店員さんなので、そこは・・・「オマケ」です。私は自分のためだけだったのですが、店員さんもとても楽しんでました。
その結果、ダントツ1位に輝いた(笑)のが、この「YAMAHA AG−Stomp」です。その店員さん曰く・・・
 
「絶対、ときたさんは、コレだと思ってました!」

 

・・・(笑)

確かに1つの音色だけで、ストレートに音が出るものもあったんです。ただそれは、「プロ」が使う分には回りもプロなので良いのですが、私達のようにいろいろなところで演奏する人間には、向いてない部分があるんです。「出音」が自分でコントロールできないんですね。いつ、いかなる時でも「自分の音」は、「自分で確保」する必要があるんです。
 
プリアンプ+ミキサー+エフェクター+モニター
 
コレをすべて持って歩けるのなら、LRバックスとかでも、いいかも知れません。ただ、現実的には、我々アマチュアにはむりですよね。

それを「これ1台」で実現してくれるのが、この「AG−Stomp」です。

私は実際には、上の「ムリなセット」も自分で保有しています。モニターだって、ちゃんとした「コロガシ」も所有しています。1日2時間×1週間ぐらい続けて演奏するなら、これを持ち込みます(笑)。私がアコギ×2で演奏する「ミッドナイト・ペンギン」は、個人所有ながら「コロガシ」−ニアフィールド・モニターも2台あります。でも2人とも「AG−Stomp」を所有しています。ウチの江口クンも「AG−Stomp」です。ちなみに私が大好きな佐橋君も「AG−Stomp」、小倉君も「AG−Stomp」です(笑)。
ひょっとして将来には、もっといいものが出るかもしれません。でも私はもうこれで、一生過ごすと思います(笑)。そのぐらい「完成度」が高いです。「AG−Stomp」「GP−16」「VOX ST」。これは、一生手放すことはないでしょう。私が死ぬまで、壊れないで、がんばって欲しい機材です。
 
まずこの「YAMAHA AG−Stomp」のすごいところ。
  
「自分の音」を持ってません(笑)

 

言い方が悪いかな?(爆)。つまり「YAMAHA AG−Stompを使ってる」っていう音が無いんです。
かなり素直に、ピックアップの音、ギターの音が出てきます。確かに厳密に言えば、違ってるのかもしれません。ただ少なくとも、「自分の使ってるギターの音」をそののま拡大することが出来ます。

この「AG−Stomp」を最初に手にすると、「マイク・シミュレーター」に目(耳?(笑)が行きます。マイクで拾った時のシミュレートです。コンデンサーやダイナミックなど、実際にマイクで拾った時の音がシミュレーションができます。しかも、オン・マイク、オフ・マイクも設定でき、かなり「思ってる音」を作れます。ただ、これが出来るものは他にもあると思います。一般に言われる「シミュレーター」はそのような役目のものですから。ところがこの「AG−Stomp」は、
 
ダイレクトの音とシミュレートの音をブレンド
 
することができます。
これが、いいんですね。ピックアップから直接出てきている音を、EQやエフェクトもできます。シミューレートの音を、EQやエフェクトもできます。なおかつその2つの音のバランスを、自分で決めることができます。「アコギの音を再現する」のに、これは最高の機能だと思ってます。私は自分のアコギ、TOKAIのダイレクト音は、かなり気に入ってます。ほんとにPAがしっかりしていれば、ダイレクト音でも十分だと思います。しかし現実には、「催し物」です(笑)。何が来るか、わかりません。BOSEだったりもします。小さなミキサーだったりします。そこには十分なEQもありません。そこでハウリングが起きたら・・・

  

まずそこに行く前に(笑)、EQの話をしましょう。

EQのツマミは4つあります。4ポイントで音を作ることが出来ます。「FREQ」の4つですね。
 
それは、どこの4ポイント?
 
実はこの「AG−Stomp」。この4つのEQが、すべて「パラメタリック・イコライザー」になっています。「4つのトーン」ではなく、「4ポイントのパライコ」なんです。
 
パライコだから、何がすごいかって?(笑)
 
簡単に説明します(爆)

貼り付け型のコンタクト・ピックアップ
サドルの下のピエゾタイプ 
サウンド・ホールにつけるマグネチックタイプ
本体の中にマイクが出ているエアーマイクタイプ
ナイロン弦のエレアコ
12弦ギター

 
同じトーン・コントロールで音が作れますか?

 

みんなそれぞれの「マイクの音」があり、それぞれに特徴があります。どれを使うかも、人それぞれです。私は「エアー・タイプ」意外は、全部使ってます。それぞれのギターにそれぞれの音があるように、ピックアップにもそれぞれの音があります。当然「EQポイント」は、みな違います。これを、ドンと受け止めてくれるのがこの「AG−Stmp」です。下の図が、各ポイントの可変範囲。中心になるポイントを移動できます。ボタンを押しながらツマミを回すと、パネルに周波数の数値が表示され、ボタンを離すと、普通の+−のツマミになります。最も自分が気に入ったポイントに設定できるんです。

 
さらにですね(笑)、そこまでこと細かにいじらなくても、そこそこの音を出してくれるのがこの「AG−Stmp」のすごいところです。いろいろなギター、いろいろなマイクでも、かなり素直に音が出てきます。EQをいじって、音を追い込むのが得意でない人も、普通に「トーンの感覚」でいじっても、それなりに反応してくれます。
 
このYAMAHAの「Stompシリーズ」は、「シミュレーター」です。もうひとつがエレキ・ギター用の「DG−Stomp」。そして魔法のエフェクター(笑)「Magic Stomp」があります。従ってこの「AG−Stomp」も、「シミュレーター」としての能力も高いです。ただ、他のシミュレーターが「ギターの音色のシミュレート」に対して、この「AG−Stomp」はあくまでも
 
「マイク・シミュレーター」

 

です。「録音シミュレーター」といってもいいかもしれません。
それに対してBOSSは、基本的に「ギターの音色のシミュレート」に近いです。トーンのパラメーターが「Body」とか、「Top」になっていて、それぞれの「鳴り」をシミュレートしています。BOSSは、全機種ともその方向です。
もちろん「LRバックス」や「フィッシュマン」のプリアンプは、自社のマイクを使ったときに、100%「アコギの音」になるようにチューニングされています。従って、いじれるところがあまりありません。ただ、私のアコギを突っ込んだ時にも、それなりにいい音は出ていました。かなり「アコギの音」がわかったチューニングがなされている、といった印象でした。アコギとして必要な「音のポイント」が、かなり明確に判っているようです。マイクとプリアンプを同じメーカーで統一するのも、ひとつの方法ではあります。

 

ところがですねえ〜(笑)。私は「エフェクター」を使います。何を好き好んでアコギにまでエフェクターをかけるかって?(笑)。
「リバーブ」は・・・必要ですよねえ〜。いや、もし別の機械でリバーブをかけるとしても、私の場合、やっぱりYAMAHAのSPXが出てくるだけなんですねえ〜(爆)。あるいは、REXです。だったら、「リバーブ機能」が付いていたほうが、楽じゃないですか。しかも、大好きな「YAMAHAの音」だし。そりゃ、普通のデジリバのようにいじれるわけではありません。「アコギに必要な程度」のものです。でも、そこはYAMAHAです。かなり薄くキレイにかかってくれます。普通はこれで十分です。そして・・・
これに「ディレイ」と「コーラス」が付きます。さすがに私の好きな「卑怯者のエフェクター」までは、入ってません。でも、「リミッター」「パライコ」「リバーブ」「ディレイ」「コーラス」。これだけあれば、通常は十分ですよね。これ以外に何を使うの?って言いたいです。私は、使うんですけどね・・・(爆)。 

そして、本体上部に、ポチポチと「ランプ」が付いています。5個あります。これは何か?というと・・・
 
アンチ・フィードバック

です。しかも、「オート」です。しかもランプが5個・・・5ポイント、フィードバック・ポイントを削れます。
 
「ええ〜〜〜っ?!そんなに必要なんですか?!」
 
あなたは、狭〜〜いライブハウスや、催し物PAで演ったことがありませんね?(笑)

奇妙な反響をする、怪しいホールで演ったことがありませんね?(爆)

 
これはモチロン、ちゃんとしたPAさんがいて、ちゃんとやってくれれば、なんら問題はないんです。ところが・・・使う時がきます(笑)。
さすがに5個使うのは稀ですが、3ポイントぐらいなら、普通に使います。というのは・・・

 

1ポイント、アンチ・フィードします。そうすると、ちょっと「音が欠けてるところ」が出てきます。すこしEQをいじりたくなります(笑)。ちょっとEQをいじりました。また、ちょっとハウりっぽくなりました。そこで、もう1回、アンチ・フィードしちゃうんですねえ〜(笑)。「音を作る」という行為と、「ハウりを無くす」という行為が、同時に出来ます。かなり、精神的に安定できます(笑)。なおかつ・・・
 
そのまま音色として、「ストア」できます。アンチのポイントをそのまま、音色としてセットできます。つまり、どんな音色、どんなマイクで音を作っていても、現場ですかさず処理ができ、それを記憶させられます。さらに、次の時には、ポチっとランプを押せば、すぐそれが解除されます。一番最初にセットした音に戻れます。そしてまた、「その日のセット」に取り組めるようになります。
 
この「現場でセット」機能。最高に便利です。精神衛生上、とてもいいです。アコギで「フィードバック」-「ハウる」のは、最悪な状況です。特に私のアコギのピックアップには、ボリュームやトーンが付いているわけじゃないですから。このアンチ・フィードのポイント設定は、足でも出来ます。フットスイッチで、アンチ・フィードを掛けられます。
 
このように、「現場でセット」−「元に戻す」がすぐ出来るのが、「AG−Stomp」です。しかも、ひとつひとつの機能が、かなり高いレベルでまとまっています。ちなみに、右上のほうにある「ボリューム」のツマミ。下の写真だと左下です。これは音色と一緒にストアしたボリュームとは別に、アウトを設定できます。こちらもリアルタイムってことです。 

 

なおかつ、この「AG−Stmp」には「キャノン・ケーブル」が付属してきます。

すごいですねえ〜。はなから、「プロ仕様」です。キャノン・アウトが出来るエフェクターはいくつかありますが、「ケーブルを付属」してるのは、この「AG−Stomp」のみだと思います。OUTPUTはモノジャック×2に見えますが、実際はステレオオ・ジャックを使った「3芯」−キャノン・ジャックが標準装備になっています。

特筆すべきは、この背面図の一番右側。インプット・ジャックの隣に、小さなボタンがあるんですが・・・

これは「インプット・ミュート」−というとわかりにくいですが、コレを押していると、このインプットのジャックを抜き差しする時に、ここがミュートされます。ということは、このAG−Stompをラインに直接送っていても、PAさんの許可無くジャックを抜き差しすることができます。普通ラインなら、PAのフェーダーを下ろしてもらう必要があるんですが、このボタンを押していればその許可は要りません。ボリューム・ペダルがあればそれを下げればいいんですが、ダイレクトに繋いでいる時には大変重宝する機能です。

 

「ライン送り」「アンプ送り」を変えられるのは、BOSSも同じです。大体、本体背面にスイッチが付いています。モチロン、アコギを「ステレオ」で送ることができます(笑)。で「AG−Stomp」には、フット・ペダルが増設できます。私はEV−5のペダルで、「ボリューム」をコントロールしています。このROLANDのEV−5、実に便利なヤツで、AG−Stompの他に、GP−16とG2,1uのペダルにもなります。

 

「シミュレーション」-「作れる音」の幅は、広いです。でもそれは「いろんな音色が出る」というのとは、ちょっと違います。「音色シミュレーター」でも「ギター・シミュレーター」でも「エフェクター」でもありません。あなたの「アコギ+ピックアップの音」を最高の音に導くための道具です。

そのギターをマイクで拾うと、こんな音になるはず!

っていうのが、この「AG−Stomp」の基本的な考え方です。
リバーブを単体で考えれば「ams」や「レキシコン」や「Sony」がいい人もいます。でも実際にライブハウスで、「自分の好きなリバーブ」を指定してる人はいるんでしょうか?自分の機材を持ち込む人がいるんでしょうか?リバーブの好き嫌いを語るなら、それぐらいはして欲しいものです(笑)。幸いに私はYAMAHA(REV・SPX系)が好きなので、これで十分です。それ以上を望む時には・・・、ウチのドラムがレキシコンを所有しています(爆)。12弦にはレキシコンがピッタリです。とても美しい音がでます。ただ普段はコレで十分です。ちいさなPAでリバーブが1台の時は、ボーカルに集中してほしいからです。

 

もうひとつ。「リアルタイム・コントロール」ができます。ストアされた音色にかかわらず、ボタンひとつで「目の前のツマミの音色」になってくれます。セットの音色にかかわらず、ツマミをいじって音作りができます。これはですね・・・(笑)
 
「お仕事」の場合、我々のような下っ端ミュージシャンは、「時間との戦い」になります。十分な時間がとれないことなど、しょっちゅうなわけです。現実には、リハさえまともにできないことがあります。それに対して文句をいいたければ、自分が偉くなるしかありません。どんな状況においても「自分の仕事」をきっちこなしてこそ、「お仕事」の入り口に立てるわけです。
エレキはアンプ+エフェクターがキチンの決まっていれば、あとは会場との折り合いをつければ、大体は大丈夫です。ただし、アコギはそうはいきません。マイクで拾うのも、ラインで送るのも、自分でコントロールするのはなかなか難しいです。前出のように、いつでもフルセットを持ち歩ける・使える状態なら、だいぶ解消はされます。でもアコギは、会場の大きさ・状態・周りの状況にかなり左右されます。昨日大丈夫だったからといって、今日大丈夫という保障はありません。ある日突然、ヘンなポイントでハウることがあります。そのための対策は・・・自分で練っていくしかないんですね。
 

 
何も「コレを買え!」って言ってるわけではありませんよ(笑)。実際に私はサブにBOSSの「AD−3」も持ってます。あまりにも状況が「?」な「お祭り」の時とかは、こっちを使います。「野外で雨」もカンベンして欲しいですしね(笑)。「AD−3」にも1ポイントですが、アンチ・フィードバックは付いています。そして「2×2コーラス」は、ヤマハとは違った意味で美しいです。弾いてる人間が、気持ちよくなるコーラスです(笑)。でも、AD−Stompのほうが、よりナチュラルなコーラスがかかります。「ケースバイケース」−適材適所ってことですよね。

このAD−3も、かなり使い物になります。AG−Stompがマルチとしたら、このAD−3はコンパクト・エフェクター感覚です。小さいし、必要最低限の機能は付いています。ただし「音を追い込む」というところまではいきません。でも、このOUTPUTの切り替えは便利です。「催し物」でモニターが取れないのがわかっている時は、これが役に立ってくれます。なんせ「ギター・アンプ用」のアウトがあるので(笑)。小さいギターアンプがあれば、自分専用のモニターとして使うことができます。こいつは今、ウチのすずやんが使ってます(爆)。

 

 
AG−Stompは、中古でもタマ数が少ないし、値段も高めです。

それがこの「AD−Stomp」に対する、みんなの評価です。

一度試してみることを、オススメします。

 

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