「プロ」の言い分・「アマ」の言い分


昨日、某質問箱(笑)を見てたんだけど・・・そこでねえ〜・・・


いつものように初心者の「廉価版ギター」の質問に、ついに「プロ」と名乗る人が出てきちゃったのね。それは「質問者」が悪いんじゃなくて、「回答者」の答えの中に「プロ」を挑発するような記述があって。コピペすればわかりやすいのかもしれないんだけど、それはちょっとね。

 

大体の内容は・・・ 

 

「1万円のギターでもダイジョウブですよ。みんな廉価版のものを検証することなく、悪口を言ってるだけですから。1年ぐらい検証してから、文句を言って下さい。」

 

こんな感じでカキコされてました。これに対して「プロ」が噛み付いてきちゃったんですねえ。

 

「ギター製作に携わってるものとして、1万円のギターは認められない。」

 

と。そしてこの回答者に向かって・・・

 

「あなたはギターの製作について、一体何をどこまでわかっているのか?」

 

と。これはねえ〜〜〜(笑)

わかりやすいように「プロ」と「アマ」っていう書き方します。

 

まず「大前提」として、こういうところに「プロ」が出てきちゃダメだよね。「プロです!」って名乗って出てきて「廉価版ギター」を否定したら、それはもう「同業者批判」でしょ?まあ、もともとこういった「質問箱」等でアマ同士でワイワイやってるっていうのもおかしな図式なんだけど。その「アマ同士のワイワイ」が「ヤバイ」から、私も色々書いているんだけどね。

 

ただ私は「アマ」であることを明確にしてるし、何を書こうが「参考程度に」って最初から宣言して、ここに記録しているだけ。こういうところに「プロ」が出てくるものではないと思ってるから。

「プロ」が出てくるなら、身分を明かして、正式に「Q&A」にすべきだと思ってるから。

そういう意味もあって、私は楽器屋さんの正式なHPでの「初心者のためのページ」は、リンクで紹介してるのね。間違ったことは書いてないだろうし、書いてることに責任をもってくれるだろうから。

だから「プロ」を名乗る人がこういったところで「廉価版ギターはダメ!」って言い切ってしまったら、誰がショックかって一番ショックを受けてるのは「質問者」の人だと思うの。軽い気持で質問したのに、「自分のための回答」で、こんなやりとりがされたら、ものすごいショックだと思うのね。これが「アマ同士の言い合い」なら、「ああっ、やっぱりどっちの意見もあるんだ。」で、受け流せるはずなんだけど。

 

ただ、この「プロの言い分」は、充分わかるんだよね。「回答者」 − アマチュアの人間が、あんな「書き方」をしたから、「カチン」ときたんだと思うんです。この「検証することなく〜」「1年ぐらい検証して〜」っていう記述がね。「プロ」としては我慢しきれなくなったんだと思います。その気持は、とてもよくわかります。「プロ」から見れば、はなから検証などする必要もなく、根本的に最初から「廉価版」として作られてるモノなわけだから。

 

でもこの「アマ」の人の気持もわかるんです。いくら「廉価版ギター」とはいっても、「使ってる本人」にとっては「大切な宝物」であるし、そこから「次のギター」へ巣立っていったら、「廉価版ギター」に愛着を感じる人だっているはず。確かにドコを見ても「廉価版ギター」に対しては「悪口」しか書いてないよね。それに対する「アンチテーゼ」だって言う気持も、とてもよくわかります。

 

ただ「プロ」から見たらこの「廉価版ギター」は、「普通の車」に対して、「ゴーカート」ぐらいにしか見えてないはずなんだよね。それも「カート」じゃなく、「ゴーカート」。「普通の車」を作ってる人に「ゴーカートは車だ!」って言ってるようなもん。特にこの「プロ」の人はギター製作に携わっているといってるので、いわば「ワークス」の人なんだよね。その人に向かって「ゴーカートを研究しろ!」っていうのは・・・お門違いでしょ?。「ゴーカート」→「カート」→「車」そして「レーサー」になった人にとって、「ゴーカート」はとても大切なものだけど、「ワークス」の人に「ゴーカート」を研究しろとは言わないのが普通だよね。

 

「ギター製作」に携わってる人からみれば、6〜10万円程度の「量産品」でさえ、ひょっとしたら「我慢できない存在」なのかもしれないのね。だってあくまで機械で作った流れ作業の「量産品」なんだもん。ウチのリペアーマンも、今オーダーしてる「コンバット」のギターに対し「18万円以下で作るのは無理!」ってはっきり断言してる。

前に一度、「フォトジェニック」を「フル・カスタマイズ」して、通常ありえない精度の「フォトジェニック」を作って、「お店のオリジナル・カスタム」として売り出したら、売れるんじゃない?って話をしてたら、きっぱり「ヤダ!」って言ってました(笑)。

それは「商売」としてはいいかもしれないけれど、「プロとしてのプライド」が許さないんだね。だって「フォトジェニック」は「ゴーカート」だもん。「車」じゃないものを、「車らしく」見せて売るのは、「プロの仕事」じゃないよね。私は自分が「車」に乗っていて、そのうえで「ゴーカート」を「カート」のレベルにまで引っ張り上げて、「楽しんでる」の。それは、「ゴーカート」も「カート」も「車」も、その上の「ワークス・カー」まで見て、なおかつ楽しんでるだけなんだよね。そしてこれから「車に乗りたい!」って言ってる人が、「ゴーカート」「カート」「車」のいずれかを買おうとしてるのに対して、それぞにある「長短」を書いてるだけ。だから私はどれも否定しないし、それぞれにある「楽しみ方」をみんなに知って貰いたいだけ。

 

「ゴーカートって楽しいな。じゃあ次はカートか車にしようかな?」

 

って思ってる初心者に、いきなりワークスの人間が

 

「そんなモンは車じゃない!車を買え!」

 

って言っちゃったら、楽しみも余裕も、なにもなくなっちゃうじゃない。それがわかってても、口にしない。わかってて、なおかつじょうずに初心者を導いてあげるのが「先人」のとるべき態度なんじゃないのかな。

 

これはねえ、「アマ」の言い分も「プロ」の言い分もどちらもわかるし、どちらも「よくない点」があったよね。私は他のところで必ず書いているのが「楽しみ」と「プロの領域」は「別」ってこと。ギターについてそんなに詳しい訳ではないけど、そこそこはわかる。だからどちらの立場でもない「アドバイス」をしてあげられると思って、このHPを作りました。「ギターを作ること」に関しては「アマ」だけど、こと「ギターを弾くこと」に関しては、一度はそれで「給料」を貰った身です。「ギター製作」ではない部分で、「ギターを演奏する」という部分では、プロの水を舐めてきました。

ただ今となっては逆に、いっかいの「アマチュア」として「どちらの気持ち」もわかってあげられる立場にいると思ってます。それは偉そうな上から目線の立場じゃなくて、自分が係わってきた「ギター」っていうものに、一人でも多くの人が触れてくれればいいなと、できるだけたくさんの人にギターを楽しんで貰いたいな、とそういう気持でここに書いています。だから「こんな場所」で、「プロ」と「アマ」が「不毛な言い争い」なんかして欲しくないんです。

 

きっと「1万円のギター」を作ってる人に、「プライド」なんかないと思います。世界各地の工場で、現地の人たちが、言われたことを言われた通りに、右から左に流して作ってる。それがたまたま「ギターのかたち」をしてるだけ。そこに「プライド」なんか、存在しないと思います。

でもそんなただの「物」だとしても、「使ってる人の気持ち」まで踏みにじる権利は、誰にもないと思います。悪口を言うのは勝手だけど、それを大事に思って使ってる人の気持ち不快にして、何が楽しいんでしょう?。

ウチでも「改造して遊ぶなら、フォトジェニック!」って言います。けど、お店ではけっして売りません。それは「プロのプライド」です。だからといってお客さんが欲しいといってる物に「やめろ!」とはいいません。こちらが求めたことに「アドバイス」するだけです。

 

正直なところ、彼は「フォトジェニック」以外の名前を出すと「ときたさ〜ん、やめといたほうがいいですよ〜。」って教えてくれます。例えそれが私が単なる「お遊び」で買おうとしていてもです。ギター以外のものでも「○×」を提示し、「その理由」を教えてくれます。でも彼は「お店に来た人」にしか言いません。彼のような「プロ」の人たちがネット上で発言してしまったら、良い悪いは別として「自分がいる業界」を否定してしまうことになるからです。「廉価版のギター」が担っている「役目」に対して、「プロ」として目をつぶっているだけです。私と一緒に面白がって「廉価版のギター」もいじってますが、「高いギター」を持っていった時の「目の輝き」は本当に「プロの目」になります。そのどちらもわかって、私はこのお店に行っています。だってなによりまず先に「ギターを楽しむ」ことが優先しているからです。

 

私は、

 

「1万円のギターなんてダメだ!」

「1万円のギターだって、ちゃんとしてるんだ!」

 

このどちらもイヤなんです(笑)。そこまで「マジ」にならなくたっていいジャン・・・っていう、

まあ・・・、いうなれば・・・、そのー・・・(笑)、チャランポランなヘラヘラした立場でいたいんです。

だって、確かにギターが大好きだし大事なんだけど、結局はその先ににある「音楽」をやるわけでしょ?「ギターを弾くこと」が終着点じゃなくて、「音楽をやる入り口」に立つわけジャン。それなのに「ギター」でつまづいたり、不愉快な思いはしたくないし、させたくないよね。それは「初心者」も「アマ」も「プロ」もだよ。そして私自身も(笑)。

「プロの道具」と「アマの道具」を一緒に論じてもしょうがないし、ましてやそれなら「初心者用の道具」もあってしかるべきじゃない?

 

他の人が「いいたとえ」をしてたんだけど。

 

「これからバドミントンをやろうとしてる人が、おもちゃ屋さんで「ラケット2本1組羽根付き」のセットを買いますか?」

 

ってね。それはわかる。確かにそうだよね。でもさあ、日曜日にお父さんが子供にせがまれてバドミントンをしようとしてる時、本物のラケットを買わないとダメなのか?っていうのも真実でしょ?

小学校低学年で、たまたま見たバドミントンに興味をもち、お父さんにせがんで「おもちゃのセット」で、バドミントンをやってみた。その子供は、バドミントンに目覚め、中学校に入ると同時に、バドミントン部に入って、ちゃんとしたラケットを買って貰い、今では大会にでるようにまでなった。これって、わりと「自然な流れ」じゃない?ごく普通にあることだよね?。

 

もうひとつ言うと、たとえば私が今、バドミントンに目覚め(笑)サークルに入り、「オグシオ・モデル」のラケットを買って、参加しました。ところがそれを見たコーチが、

 

「あなたにはまだオグシオ・モデルは使いこなせません。初心者用のラケットを買って下さい。」

 

実際にバドミントンに「初心者用ラケット」があるかどうかはわからないけど、テニスや卓球にはあるよね。これもまたよくあるパターン。初心者が背伸びして、上級者用を買ってしまうってこと。そう考えたら、「おもちゃ」「初心者用」「上級者用」って、なににでもあって然るべきなんじゃない?

 

だから私が思うに、みんなそれぞれの「スタート地点」が違ってるんだと思うの。みんな今立っている場所、「立ち位置」が違うんだと思うのね。「スタート地点」がもともと違う人同士が、「一つの競技」に対してあれこれ言っても、結論が出る訳ないよね。

それともうひとつ、同じ「スタート地点」に立ってるつもりでも、片方は「100m走」で、片方が「マラソン」だったら、スタートの構え、「フォーム」も違うわけじゃない。それで「お前の構え方は間違ってる!」って言われても、言われてるほうは、チンプンカンプンでしょ?(笑)。

 

だから必要なのは「お互いの立場」を理解すること。何が何でも答えはひとつ、っていうんじゃなくて、お互いにお互いの目線までいって話をする。それが大事なんじゃないのかな。

 

「高いギター」は、お金さえ払えば買える。

「廉価版ギター」をバカにしたら、話はそこで終わり。

 

でもどっちも「音楽」には、関係ないよね。「ギター」が目的じゃないでしょ?その先にある「音楽」に手を伸ばしたいだけじゃない。だったら、そんなところで言い争ってもしょうがないじゃん。

 

高いお金を払わなきゃ、音楽ができないわけじゃない。高いお金を払ったって、いい音楽ができる訳じゃない。安いギターでだって、じゅうぶん音楽くはできる。でも安いギターじゃ、いい音を手に入れるのはむずかしい。それぞれが。それぞれの立場で音楽に向き合うのに、優劣なんかないよね。

 

言い争いしたって、悪口をいったって、なにも起きないし、何も変わらない。そんなところで立ち止まってるぐらいなら、なんでもいいからギターを手に入れて、さっさと「音楽」に取り組んだほうがいいと思うんだ。

 

私の言ってること・・・間違ってるかな?・・・

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