ブリッジ調整 その3
「アームの狂いを無くしたい」−これは誰でも考えることですよね。普通に「ロックされてないギター」は、ペグを回
せば、すぐチューニングを直すことができます。「ロックされてない」ことの利点でもあり、欠点でもあります。そし
てまずそれを解消する為に、「フロイド・ローズ」には、「微調整ネジ」が付けられました。
この「微調整ネジ」は・・・画期的でしたね(笑)。ロック式の場合、チューニング後、「ナット」をロックすると、わずか
ながらチューニングがずれます。これを、みごとに解決してくれました。今時、「微調整ネジ」がない「フロイド・ロー
ズ」を使ってる人なんて・・・ナイト・レンジャーのブラッド・ギルズぐらいなもん(笑)。でも、いいんです。彼のギターは
「狂わない」から(爆)。
でもこれも、「根本的な解決」ではありませんでした。弦が切れたら終わり、ですよね。そこで登場したのが・・・
アーミング・アジャスター
トレム・セッター
トレモール・ノー
今のところ、この3機種かな。ググればすぐに出てきます。いずれもアーム機構のバネ側に装着し、アームの動き
に対して「逆の力を加える」機能を持ってます。「バネ」と「弦」の不安定なバランスを、「第3の力」で安定させる機
能があります。
これを「標準装備」しているギターもあります。ヴァン・ヘイレン・モデルの「ドロップD」機構が付いている「フロイド・ロー
ズ」には、これが付いていないと、使うことができません。「E弦」を「D」に落とすということは、他の弦の音程が、上がる
ことになるからです。たしか・・・江口のギターにも、付いてたと思います(笑)。
この3機種は、それぞれに良く出来てます。画期的な機能です。ただし・・・万能ではありません。一度使って見るとわ
かるんですが、ある人は「スゴイ!」って言うし、またある人は「あんまり、役にたたないなあ〜」っていう人もいます。
なぜでしょう?(笑)
これは3機種とも共通なんですが、「とある目的」−その人が求めている「アームに対する困ったチャン」の1点に絞っ
てセッティングしないと、その効果が発揮されない、というところにあります。ひとくちに「アーム」といっても、みんなそ
れぞれに「使い方」が違います。
「普段、アームは使わないんだけど、チョーキングの時の音程が下がるのだけは、解消したいなあ」
「アーム・ダウンとかの効果音的に使うんだけど、弦が切れた時、せめてその曲だけでも最後まで弾ければいいんだけど」
「アップもダウンも、ガンガン使うゼ!」
「ドロップDをよく使うんだよね。アームもフレーズによって時々使う」
「俺、ベンチャーズしか、弾かないんだけど」(笑)
この「アームの使い方」の違い、すべてに対応できるものは・・・残念ながら、ありません。
ただし、それぞれ「ひとつ」に焦点を絞れば、この3機種で、大体対応できます。
もっとも後発の「トレモール・ノー」には・・・、
「フローティング・モード」
「ダイヴ・オンリー・モード」(ダウン専用)
「ハード・テイル・モード」
のセッティングがあると、最初から書いてあります。つまり・・・
「万能ではないよ。どれか一つに機能を絞ってネ!」
って最初から宣言してます。ということは、基本的に構造が似ている「アーミング・アジャスター」にも「トレム・セッター」
にも、同じ事が言えるんです。そこをわかって使えば、この3機種とも、かなり有効です。
なんですが・・・(笑)。ネットで見ると、みんな自分で付けてるよね。割と「安い」ので、「買って、チョット試してみよーか」
ぐらいのカンジで。いや、いいんですよ、それでも。でも・・・
できれば、それぞれに「熟知したプロ」に付けてもらうと、バツグンの能力を発揮します。「これを、アームのこの欠点を
直すためにセットして欲しい」といえば、ジャストにセッティングしてくれます。いやね、機能として「微妙」なんですよ、こ
いつら。「取付位置」「弦のゲージ」「ブリッジの状態」等々、慎重に細かいセッティングが必要なんですね。目黒君じゃ
ないんだけど、とあるお店で相談したら・・・
「ウチで取付までしないと、機能は保証できません。素人セッティングでは、50%も機能を発揮しないと思います。すい
ませんが、本体より取付工賃−調整費のほうが高くつくんで、あんまりお勧めはしてないんです。高いっていわれるし。
でも、本当に面倒なんですよ、コレ。」
って、自信満々に言われちゃった(笑)。たしか、江口もディバイザーの人に、そう言われたとか言ってた(笑)。
「ジャンク」って言ってる割に、頼んでばっかジャン!(笑)。
でもね、たしかに「自分でやる」のは、楽しいんだけど、ちゃんと動かなければ、「意味が無い」っていうのも、真理なんだ
よね。だってね、こういうモノって、答えがドコにあるのか、「正解」がどれなのか、決めにくいんだよね。ところがその道の
「プロ」は、やっぱりある程度「正解」を知ってるんだよね。この使い方をする為には、どんなセッティングがベストか、って
いうことを。
だから私は一度は「プロがやったもの」を見て、できれば目の前でやって貰って、納得するまで説明・解説してもらって、そ
のうえで、「次は自分で」っていうスタンス。あるいは「プロがやったもの」に、「自分のアイデアを足してみたい、試してみた
い」っていうのが、私の「ジャンク」。
ただし、私はこの3機種とも・・・使ってません(笑)。基本、アームは使わないし、「アーム専用」のギターの場合は、「あるが
ままに」だし(笑)。ただ、「現役」の頃にあったら・・・、たぶん使ってた(爆)。今はどちらかといえば「テレキャスター」の「オク
ターブ」の方が気になって、とてもじゃないけど、「アーム」のことなんか、考えたくない(笑)。