第11回
Fender Ultra Chorus USA 1992
出身地 USA
生息地 万代書店
金 額 40000円
ついに完成。その名も・・・
「Fender Ultla Chours Liuteria-MK Custom」
これは「安い Fender Amp」を買ってしまった(汗)私のために、リペアーマンが知恵を絞って、
「私が求めていたアンプ」にまで仕上げてくれました。 その「記録」です。
このアンプは1990年代、フェンダーが「対ジャズ・コーラス」用に作ったトランジスタ・アンプ。
カタログ上のスペックは65W×65W。計130W(笑)のはずなんですが・・・
実際に使用してみると、「音が小さい」。これが単に「音が小さい」というより、「なんかヘン?」っていったカン
ジ。どうにも、「なんか、どっか、違わない?」っていうアンプでした。こりゃ「ハズレ」を引いたかなと(笑)。素直
に「サイバー・ツイン」を買えばよかった・・・(泣)。
もともと私が欲しかったのは・・・
◇ フェンダー系の音の出る、アンプであること。
◇ アメリカン・ロックを中心に、多彩な音がでること。
◇ クリーンな音が、美しいこと。
◇ ジャズ・コーラスのように、ステレオであること。
◇ 出力がでかいこと。
◇ 私の車で、持ち運びできる大きさであること。
実際に買う時に試奏した感じは、すごくよかったんですが、この「でかい音がでない」っていうところまでは、気
がまわりませんでした。試奏のカンジはよかったんです。だから、素性は悪くないハズ。でも・・・どっか、ヘン(笑)。
で、リペアーマンに相談。最初は上記条件を満たすアンプはないかな?と捜して貰いましたが、現行の製品で、
ピンとくるものが無い。しまいには、「ツイン2台、買わないとダメなんじゃないすかー」(笑)などと、あきらめ気分。
ものはためしと、こういうアンプはあるんだけど・・・と、アンプをお店に持ち込んで、これこれ、こういう「症状」なん
だけど(笑)。
「ちょっと、待って下さい。」
といってリペアーマンは、何を思ったのか、アンプを床に寝せてしまいました。スピーカーを上に向けて背面を床
で閉じるかたちに。
すると、どうでしょう。いままで大きい音では「輪郭」がぼやけていた音が、急にスッキリ。
「これはですね〜、いろんなところの効率が悪くて、音が前に出てないんですね。後ろにも回ってるんで部屋が
鳴っちゃって、そこそこ大きい音には聞えるんですが、ステージに持っていくと、音が前に出ないんで、物足りな
くなっちゃうんですねえ〜。」
「なんで、そんなこと、わかるの?」と言う私の顔を、いつものようにニコニコしながら・・・
「だって、後ろにいるほうが、音が大きいんですよ。」
半信半疑の私(笑)。アンプを後ろ向きにしてギターを弾くと・・・
「!」
確かに!!。前面のような繊細な部分までは出てこないものの、かなり大きな音。というより、これじゃ出力の
2分の1は後ろに・・・?
「そうなんですよ〜。だから音圧がなくて、音がぼやけるんです。後ろ、塞ぐと、いいでしょう?」
そんなこと、全然気が付かなかった。っていうか、気付くはずないじゃん(笑)。
「で、ですねえ〜。これ、スピーカーの効率が悪いんだと思います。ちょっと、試して見ましょうか?」
といいながら、さっさとスピーカーの配線を外すリペアーマン。なにをするかと思いきや・・・
「これ、多分、今最高のスピーカーだと思うんですケド・・・」
といいながら、お店にあった「AC30」のスピーカーに結線。
「わかりやすいように、1発だけにしますね。」
私のアンプから「AC30」のスピーカーに、1発だけ結線が出張。音を出した瞬間・・・
「なに、これ?」別世界の音がしました(笑)。とにかく音が、デカくなる。
「でしょう〜?たぶんそうだと思いました。」満面の笑顔の、リペアーマン。
「これ、セレッションのアルニコ・ブルーっていうスピーカーなんですけど、最高出来がよくて、たぶん
ときたさんの言ってるのは、こんなんじゃないのかなあ〜って。」
同じアンプからの出力で鳴らしてるはずなのに、「アルニコ・ブルー」のほうが10倍ぐらい音がでかい。
ここからはチョット長くなるんで(笑)、要約します。
まずこの「AC30」。読んで字のごとく「30W」なはず。かたや私のアンプは1発でも「65W」はあるはず。
ところがこの「セレッションのアルニコ・ブルー」から出てくる音は、私のアンプのフェンダー純正スピーカ
ーの10倍ぐらい、音がでかいんです。スピーカーの出来不出来はおいといて、この「W」−ワット数ってい
うのは、あくまでも「消費電力の表示」であって、「聴感上の音圧」とは、関係ないと。アンプそのものの
「増幅機能」はあくまでも「30W計算」だけど、「音の大きさ」は別モノだという説明。もし、「このテスト」を
見て(聴いて)なければ、私も納得はしなかったハズ。ところが現実的には「30W」であるはずのスピー
カーのほうが、音が大きいんです。これは・・・強烈な体験でした。
ちょっと、ここを見て下さい。このアンプの「スペック」です。
定格電圧 100V
定格消費電力 400W
こう書いてあるからって・・・このアンプ、400Wって思う人は・・・いないよね(笑)
どこにも「65W?65W」とか、「130W」っては、書いてない(爆)
そして、呆然としている私に追い討ちをかけるように・・・(笑)
「それと、このアンプ、軽いんですよ。木が薄いんだと思うんですケド。いい音のでるアンプって、重いんですよね。」
もうお店にある「高いアンプ」、みんな持ち上げてみました。確かに・・・重い。これは「重い箱」−「エン
クロージャー」だと、スピーカーの音を「箱」が受け止めて、増幅してくれるんだそうです。ましてや、
箱だけじゃなくて、「アルニコ・ブルー」はスピーカー自体、後ろの磁石が大きく、とても重い。この相
乗効果で「アンプ全体」に「重量」が生まれ、低域から高域までまんべんなくでる仕組みなんだそうで
す。目の前で見せられたら・・・納得するしかありません。いろいろ試した結果・・・ほんとに「箱が軽い」。
アンプを「軽く」するため、全体が「薄い木」なんです。ちなみに周りにあった、AC30、レイニー、ブギ
ーの箱をコブシで叩くと、「ゴンゴン」という鈍い音、ないしは硬い響かない音なのに、私のアンプは「コ
ンコン」という軽い音。ちなみに、「レスポール」の「ブリッジ」の下あたりも、「ゴンゴン」で響かない音。
とにかく音が「後ろに逃げない」ように、熱効率を考えて、できるだけ塞いでしまいましょうということに
なりました。それと重さは・・・鉄アレイでも入れようかと(笑)。いや、マジだよ。多分それだけでも、音
が安定するってさ。まあ、出来上がってみたら、かなりな重量になったんで、結果オーライだったけど
(笑)。ちなみに、俺のアンプより、レイニーのヘッドだけの方が重い(泣)。木の厚みが全然違う。AC
30なんか、論外に重い。とりあえず後ろに出来るだけ重いバッフル板を追加しょうとうことで。最初は、
ジャンクものの「ツインリバーブ」の箱に変えることも、視野にはいれてました。
「ときたさん、これ、スピーカー変えて、後ろを塞ぎましょう!!」
といいながら、さっさとアンプをバラしちゃうリペアーマン(笑)
まず、バラしてみてわかったことは、このアンプの製造年月日は1992年。4つのトランジスタによるア
ンプで、内部パーツは日本製が多いこと。アンプの後面には「USA」の文字がありますが、もしも壊れ
た時、日本でなら、すぐ同じトランジスタや、抵抗が手に入るそうです。電気的なことは詳しくありません
が、その基盤の「簡素さ」かげんは、俺にもわかるぐらい、整然とした基盤でした。一部、フェンダーらし
い「壊れるパーツ」が使われているため、要注意。オールドのフェンダーアンプと同じように、トランスの
ハム・ノイズ、セメント抵抗の破損は、いつか必ず出るだろうということでした。
電源部
まずその大元である「電源部」にできるだけ「キレイな電流を確保する」ため、本来ついていた「電源コ
ード」をはずし、裏面に「ソケット」出しして、他の「電源コード」を使用できるようにします。これは2人の、
共通意見でした。すでに元から着いている電源コードの3本足の「アース」も折られていたため、再度、
別に電源コードを製作し、電源を供給するようにします。俺の求めている、「立ち上がりのいい、太い音」
を出すことを考え、チョイスすることになりそうです。この辺は、とりあえず、リペアーマンの長年の経験
で、お願いしました。
スピーカー
次にこの「ほどよく音が歪んでしまう」原因をさがしてみると、どうもスピーカーに問題があるようです。俺
のアンプには、フェンダー純正のスピーカーが2発搭載されてます。そのまま、セレッションのアルニコブ
ルーを乗せてもいいんでしょうが・・・高い!!アンプの値段より高くなってしまいます。ということで、散々
データーとニラメッコして・・・(笑)。今回は同じセレッションの「ヴィンテージ30」をチョイスしました。いろ
いろ調べると、このスピーカーが、「俺好み」のアンプに使用されているのがわかりました。
ということで、
スピーカーは「セレッション Vitage 30」に決定
電源ジャックを外出しにする
エンクロージャーの裏を塞ぐ(バッフルの追加。ハーフクローズ)
これが今回の改造。
わたしもねえ〜、「出来上がり」を見なければ、けして信用しなかったと思います。こんな「改造」で、ア
ンプが、どうにかなるなんて(笑)。
これが改造前。問題のスピーカーはフェンダー純正なんだけど、ちょっとマグネットが小さい?(笑)
これが、できあがり。もう、スピーカーは見えません。
結構いいよ。なかなか、キレイでしょ?リペアーマンは「エフェクターのカスタマイズに使おうかなあ〜」だって。
これが、電源。このトランス、フェンダー「独特」のもので、必ず「ノイズ」が出てくるようになるそうです。
この改造、すごい!!φ(._.)メモメモ
コントロール部の解説も含めて。
つぎが「Normal Channel」。すごい、セッティングになってるでしょう?(笑)。MIDとBASSがドーン、みた
いな(笑)。TREBLEが、効く効く(爆)。さすが、トランジスタ・アンプ!!。高音がツマミにを動かすと、自由
自在。Volumeはもう3〜4で、うるさいうるさい。もう、箱が鳴りまくり(笑)。
その隣が「Drive Channel」。Volume10でGain0でMid Boostボタンを押すと、「Normal Channel」と
同じ音量になってます。こっちに「Chorus」を掛けてるんで、PresenceとTrebleが、上がり気味。各チャン
ネルに付いてる「緑」と「赤」のランプが「使用チャンネル表示」。ちなみに「Reverb」が「0」なのは・・・はずし
てるんです、リバーブを。使わないからはずして、ってリクエストしました。
その隣が「Chorus」。間にON−OFFスイッチ。ジャズ・コーラスとはちょっとカンジが違って、「エフェクター」
っぽい音。これはこれで、なかなかキレイな音です。このアンプの「心臓部」だからね。
その隣が「Foot Switch」。その下の「白い四角」が、動作ランプ。Chorusのスピードで点滅します。そして
「Send」&「Return」のジャック。MonoとStereoの2種類を用意。ここに・・・ちょっと、「入れてみたいモノ」
があるんです。うまくいったら・・・加筆しますね。
欠点
データーは無いは、カタログは無いは、もうフェンダーの「鬼っ子」だね(笑)。後継機種の「Ultimate Chor
us」の値段が定価99000円なんで、多分同じぐらい。売値で8〜9万円ぐらいかな。ちょっと、高いね(笑)。
この「改造」をしないと、「Rock」にはツライかも。「30Wのアンプ」ぐらいに、認識して下さい。
総評
「ジャズ・コーラス」とは異なる「コーラス・アンプ」を求めてる人は、「やる価値」あり。中古で4〜5万円で買っ
て、この「改造」したら、定価と同じぐらいになっちゃうけど。というより「この仕様」のアンプなら、「売れる」かも。
「ジャズ・コーラス」には無い、「豊かなミッドレンジ」が手に入ります。「アメリカン・ロック」には、ピッタリです。
上記のセッティングで私の「トーカイ」のテレキャスターをぶち込むと、「オーバー・ドライブ/ディストーション」の
切り替えで、「Boston」の音から、「ワディー・ワクテル」のドライブの音まで、気持ちよくコントロールできます。
今回の「改造」は、フェンダー系のアンプ全体に有効だと思います。気に入ってるアンプの「パワー・アップ」に
は、お薦めな改造です。
余談
これ、見て!
でも、「コーラス」を動かしてると・・・他のランプがにぎやかだよ!(ちょっと、うるさいぐらいに)(爆)
おまけ
なんとなく・・・「古いフェンダーのカタログ写真」っぽくない?(笑)