Columu 47

謎・ナゾ・なぞ・・・


またまた、ネットを見てたらね(笑)

こんこんと初心者を説得してる人がいたの(爆)。

それは「オールド・ギター」の講釈で、

「なぜ、オールドのギターは良いのか?」

「なぜ、良い音のするギターがあるのか?」

「なぜ、長年弾かれてきたギターが、良い音がするのか?」

 

これって・・・「定説」はあるけど、確定的な答えは無いのね。その「定説」したって、年々変わってきてるし、人によって「答え」が違うんだね。なのにそれがまるで「常識」のようにしたり顔で、書き込んでるんだ。

なぜ時間が経過したオールドのギターが「よく鳴るのか」についての最近の主流は、「導管」 − 木の細胞中の水分がギターが振動することによって無くなり、結果細胞の空間が広がって木が軽くなり、より振動しやすいから、っていう理屈。

これは、ある程度は、納得してます。実際に「水分」云々は置いといて、ガンガン弾かれてるギターのほうが良い音がするっていうのは、私もわかるし。また「この説」をじっくり検証してる人もいるので、研究に値するものだし、「正解のひとつ」であることは間違いないと思う、だけど・・・

この書いてる人がその「定説」と、「自説」を交えて書いちゃってるのね。「導管の水分」の件については、前々からネットで見かけてて、じっくり考えられてる説だっていうのは、私も知ってる。ただそれにしたって、まだまだ検証の段階。私が見ていても、果たして「塗装された木材」から、振動だけでどれだけの水分が抜けるのか。尚且つ、「塗装された木材」から水分が「抜ける」なら、逆に水分を吸収することはないのか。単純に水分が無い木材が良いのなら、機械乾燥ではなぜだめなのか。ポリ塗装から「水分が抜ける」という理論が成り立つのか。目止め − シーラー+複数回塗装されたものから水分が抜ける現象は、科学的に証明できるのか。水分が抜けて「軽い木」のほうが「良い音」がするというのは、証明できるのか。などなど、その「根拠」となる「事実」について、知りたいことは山ほどあるんです。

でも「振動させたギター」が「良い音がする」というのは、長年ギターを弾いてると、経験として納得できる「感覚」はあるんです。私も一度「そうであろうと思われる事」を経験しましたし。ただこれは「最新の説」ではあっても、科学的に100%証明されたことではありません。「○○○○というのが、現在の定説です。」という書き方ならよいのですが、あたかもそれが「真実」のように書かれてしまうと、私がいつも心配している「ネットの話にネットの話が重なって、まことしやかに伝わってしまう」という現象になってしまうんです。ましてや今回は、この話と「アメリカの気候だから良い音がする」なんていう、なんの根拠もないバカ話を、同列にされてしまっていて。

 

ある程度ギターのことを知っている人はこんな説が出ると、「ああ〜、また始まったなあ〜(笑)」ぐらいの感覚で聞き流せるんですが、何も知らない初中級者が見てしまったら、まるでこれが「真実」のような錯覚を受けてしまいます。とするとそれを読んでしまった人が、また誰かに「証明されてない真実」を、あたかも「真実」のように伝えてしまうという、悪循環になってしまいます。そういう人がここに来てしまったら、どちらかといえば、私が「ウソツキ」になってしまうわけです。だって、ネットにはそう書いてあったと・・・。

 

「導管から振動で水分が抜ける」あるいは「繰り返しの振動でギターの音がよくなる」という説に関しては、私は「同意できる」ほうに近いです。完全に私の疑問がなくなってるわけではないし、この説が100%証明されているわけではありませんが、少なくともこれまであった「説」よりは、真実に近いのではないか、と「私は」思っています。でもそれと同列に語られていた「アメリカの気候だからギターの音が良くなる」という話には、120%同意できません。「日本の気候」だからギターが鳴らなくて、アメリカの気候だから鳴る?そんな、ばかな(笑)。それは200%ありえません(笑)。

 

この話が「カリフォルニアのような気候のところでは」というのなら、まだわかります。「乾燥した土地」に置いておいたギターのほうが、カラッとした音になりやすいというのは、なんとなく納得できます。ただ、これで「アメリカで」って言われても・・・。ミシシッピーのデルタ地帯、ロッキー山脈の中、ワシントン以北の比較的寒い土地。同列に「アメリカ」にしちゃうんですか?(笑)。別にアメリカ中がカリフォルニアのような気候じゃありませんよね。アメリカ中が乾燥してるの?(爆)。それに・・・

古い話で申し訳ないんですが。60年代から70年代にかけて「ロックを制覇」してきたのは、「イギリス」ですよね。ハードロックの本場は、イギリスですよね。そこではギターは「良い音」は、してなかったんでしょうか?イギリスは、「霧の町・ロンドン」ですよ?(笑)。日本よりも湿気が多そうじゃないですか。でもイギリスはアメリカじゃないから、ギターは良い音にならないのかな?。マーシャルは、湿気が多いから良い音なのかな?(笑)。

 

それと「オールドのギター」と「時間経過の推移」は、証明されていませんよね。「オールドのギター」とその「ギターが製作された時代背景」は、証明されています。当時の木材、当時の材料・当時の技術・当時の機械などなど、古いからこそ「現代に再現できない事」があるのは、証明されています。特にギブソン社の「PAF」については執拗に研究されていて、その再現が非常に難しいこと、あるいは再現することにより「価格が跳ね上がること」など、かなりのことがわかっています。また「PAFの枯れた音」に関しても、その「要因」が何処にあるのかも、ほぼ解明されています。少なくても「磁石の磁力が低下する」などという非科学的なことを言う人は、とても少なくなってきています。ただし、ただしですよ。少なくとも「PAF」は「当時から良い音」であったこともわかっています。時間が経過したからいい音になったのではなく、「元々良い音」だったんです。それはテレキャスター、ストラトキャスターについても同じです。「良い音のするギター」は「最初から良い音」であって、それを長年自分の手足のように使ってきたギタリスト達が「さらに磨きをかけた」だけのことです。1952年に作られたギターは、1952年でも良い音なんです。さらに1962年になっても良い音です。たった10年で「オールド」にはならないですよね。また、1962年に作られたギターが、1952年に作られたギターより「劣る」ものでもありません。違いがあるとすれば、「技術が進んだこと」。そして前記の「材料が変化した」だけのことです。

 

もうひとつ、違った側面から「オールド・ギター」を考えて見ましょう。

「オールド・ギター」で一番高いもの、なんだかわかりますか?それは「デッド・ストック」 − いわゆる「クローゼット・クラッシック」です。簡単に言えば、たまたま倉庫や押入れ(アメリカに押入れがあるかどうかは、別にして。笑)に、ケースに入れられたまま忘れ去られていたもの。光も当たらず、一定の温度下にあり、ウェザー・チェックも入らず、まるで新品のような1950年代のギターです。コレクターの間では、一千万円から二千万円近い値段で取引されています。実際にはもう10本にも満たない、貴重なギター達です。弾かれた跡も無く、触られた跡すらほとんどなく、たった今工場から出てきたような状態で現存しています。

さて、これは完全に、「パーフェクトなオールド」です。では、はたしてこのギターは、良い音がするのでしょうか?このギターは、誰にも弾かれてません。振動はまったく与えられていません。「経年的劣化」も、他のギターに比べればものの数ではないぐらい、ダメージは少ないでしょう。誰にも弾かれることなく、現存している訳です。この、まったく「使われることのなかったギター」「経年的劣化の最も少ないギター」。「良い音」はしないのでしょうか?

前出の説と、合致しませんよね。でも間違いなく「良い音」はすると思います。これはあくまでも「私の推測」ですけどね。1950年代当時に作られたギターは、そのまま、たとえ「オールド」にならなくても、「良い音」はするはずです。だって「良い音の基準」が、「そのギターの音」なんですから。「そのギターの音」そのものが、「Rockにおけるギターの良い音の基準」なんですから。

 

「ギターとしての良い音」 − この「基準」があいまいなんですね。プロのギタリストは「オールド」をよく使っています。なぜなんでしょう?今のほうが、はるかに技術が発達していますよね?。作る側の腕も、相当上がっているはずです。なのになぜ、「オールド」なんでしょう?

当然ですよね。彼らプロのギタリスト達が聴いて育ってきたのが「オールドのギターの音」なんですから。自分がRockをやりたくて、目指してきたのが「オールドのギターの音で作られてきた音楽」なんですから。そう考えれば、「それ」を基準にするのは、当たり前なんですよね。

「ギターの音が太い」 − みんなが良く使う「表現」なんですが、なぜ太くなければいけないのでしょう?「ギターの音が細くてもいい音楽」はないのでしょうか?いや、現実には「細く」たっていいんだと思います。ただ、今まで聴いてきた「自分の好きな音楽のギターの音」が「太かった」だけ、なんだと思います。とすれば、「オールドの音を好む」というのに、説明がつくでしょ?

 

私は「オールド論争」は、ギタリストの「永遠の謎」であって欲しいし、「楽しい論争」であって欲しいんです。手の届かないもの、手にすることのできないものに憧れて、「いつか俺も!」って思えるのは・・・楽しくないですか?(笑)。それは「作り手」の立場でも、同じだと思います。まあ逆に「オールドに悩まされている製作者」の人が、かわいそうだと思うこともあるんですが(笑)。たかだか5〜60年前のギターに振り回されている製作者の人は、大変だと思います。でもそんなこと関係なしに、「今のギター」を作ってる製作者、そして「明日のギター」を一生懸命作ってくれている製作者の人もいます。私はどちらかといえば、「そういう人」の方に肩入れしたいですね。私にとっては「オールド」の存在は認めるけれども、私は「今のギター」のほうに、大きな興味があります。私の好むネック、私の好むピックアップ。それは逆に「オールドの中」には、存在しません。

 

話がそれるのは、いつものことなんで、カンベンしてください(笑)。ただ少なくても、ここに来る人だけでも、あんな非科学的なバカ話には、釣られないようにして下さいね。ほんのちょっと、ほんのちょっと考えればわかる事だと思うんですが・・・(爆)。私も「アメリカ」は大好きですが、いくら「ギブソン」「フェンダー」がアメリカ産だからといって、アメリカじゃなきゃいい音がしないなんて、バカもほどほど、いい加減にして欲しいものです(笑)。お願いだから、こんなのに引っかからないで下さいね。値段は多少高くなりますが、いい音のするギターは、日本製でもいっぱいありますから。

 

 

追伸

そうそう、ひとつ忘れてましたが、電源が117V(笑)。これで日本製の100のチューブ・アンプを鳴らすと、すごいハリのある、いい音がします。ただし、約5分程度でヒューズがとびますケド(笑)。一度間違って、レスリー用に用意した120のコンセントにアンプを挿したら、メチャメチャいい音がしました。約5分間だけ(爆)。これは、「実」体験談です。(^O^)/

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