Columu 48

電源まわり


一部、エフェクター・ボードについて、「電源」のことを相談されました。実際には、どうすればいいのかと(笑)。これは個人個人で工夫するのと、人のを見ながら試行錯誤するしかないんですが・・・

いくつか書き忘れたことがあるので、記録しておきます。

 

まず「言い方」「呼び方」なんですが、普通の「電源コード」 − これは通称「タップ」で通じます。「タップ、貸して下さい。」「タップの電源、どこから取ったらいいですか?」。これで、意味は通じます。正式名称は、わかりません(笑)。

これが、普通のタイプ。ただこれだと、「例の四角いヤツ」(笑)は2個が限界です。自分で試して見て下さい。

で、こんなのを用意すれば、

もう少し、繋げます。

こっちが私の使ってるタイプのタップ。これだと「例の四角いヤツ」でも3個取れます。

さらにこれがあれば、5個まで増やせます。

このタップなんですが、上のタイプでも困ることはないんですが、私のタイプよりは、ノイズがのり易いような気がして、あまり好んでは使いません。少なくとも私が普段使っているタイプのほうが、ジャックもタップ部分も頑丈です。
通常ライブハウスでは、電源で困ることはあまりありません。タップを忘れても、貸して貰えます。
ところが「催し物」になると、話は別です。PA屋さんも、あまり「予備」を多くは持っていません。そんな時のために私は、こんなのも持ってます。

まずこれが「非常用分岐」(笑)。どれも全部持ってます。安いですからね。

ウチのPAセットには、いつもこのタイプが数個入ってます。アースが取れるタイプのほうが、信頼性は高いですから。

この他にも、いろいろお便利君があったりします。たとえばこんなヤツ。

上に出てきたヤツの二股タイプなんですが、なかなか考えられてます。

でこれが「電工ドラム」−通称「電ドラ」です。約2〜30m程度電源を引っ張れます。コレさえあれば、最低でもギター2人分の電源はどこでも確保できます。

私は「個人商店」で(笑)、小規模ながらPAを2台所有しています。そういったモノを使う時には、必需品だったりします。
これはあくまで「電源」を引くためのもの。音的にどうこういうものではありません。もちろん高いのも安いのもあります。これの「線」だけのもあります。これも持ってます。

電気で大事なのはアンペア数。いろいろなものに「○○A」と表示されています。タップ自体にその「許容容量」がかいてあります。

見づらいですか?(笑)。良く見ると、「15A・125V」と表示されています。つまり、3つの合計を「15アンペア以下で125V以下にしろ!」という意味です。それ以上になると、熱を持って、効率が悪くなります。エフェクターの電源には、それぞれ書いてあります。それを参考にして下さい。
それと、1本のタップから多数の電源を分岐する−いわゆる「タコ足配線」は、確実に音が悪くなります。たくさん電源を使うときは、できるだけタコさんにならないよう(笑)、考えたほうが無難ですし、無用なトラブルも避けられます。

 

で、もう少し「電源」に気を配りたい人は・・・

「スライダック」−安定電源供給装置ですね。低くなってしまった電流を100Wまで持ち上げ、電源を安定させてくれます。これは、結構高いです。メーターが付いてるタイプだと、もっと高いです。

 

ドンジリに控えしは「高級オーディオ用タップ」。いわゆる「整流」してくれるタイプです。クリアな100Wを供給してくれます。コレ、レコーディングの時、シンセなどを繋ぐと、威力を発揮することがあります。専用のアースも付いていて、「キレイな電気」を作ってくれます。
この手の整流タイプのものを「ホスピタル・グレード」と呼んでいて、高級オーディオやスタジオではおなじみのものです。「ホスピタル」は、いわずと知れた「病院」(笑)。「病院で使える安心な電源」っていうことです。
例えば手術用のレーザー・メス。あるいは心臓の補助をする機械。一定の電源が供給されないと困りますよね。電圧が下がって、急にメスの切れ味が悪くなったり、心拍のペースが落ちたり(爆)。有り得ないですからね。
病院はもともとの電源も「ホスピタル・グレード」です。いわゆる「壁コンセント」自体が、こんなので出来ています。「電源に気を使わなければいけいないところ」では、この類のものが壁に付いています。
この2つのタイプが一般的。

この丸っちいコンセントが、「マリンコ型」といってホスピタル・グレードのジャックです。それより小さい、他に2つ写っているのは、「アリンコ型」(ウソです!笑)。マリンコよりは、グレードが落ちます。3芯でアースがあるだけでなく、「もっともノイズの乗りにくい設計」になってます。信じられないかも知れませんが、この上の写真・右の「銀色のハコ」、重量が10kg以上あります。ジャック・内部配線・箱、そのすべてが「シールド」−被覆されており、まったくノイズが入る隙がありません。

この「ホスピタル・グレード」。「線」だけのタイプでも売ってます。アンプの電源やPCの電源に使ったりします。でも・・・
最低でも1万円以上します。これ1本でですよ(笑)。これ1本で3万円とか、5万円のヤツがあります。勿論、上のタップタイプだと・・・10万円オーバーのものも出現します。このグレードで信頼が高いのが、「ベルデン」のシールドだったりします。

 

 

 

さてここで、大〜〜〜きな疑問がひとつ。

この「ホスピタル・グレード」を使うと、音は良くなるのでしょうか?(笑)

 

音は良くなりません!!

 

・・・(笑)。
誤解しないで下さいね。これは表現上の問題です。

確実な表現をすれば「音は変わります」
だけど、「良くなるかどうか」は、また別問題です。

 

単純に考えて、ギターにアンプとスピーカーと発電機が付いていて、ピックアップの線が数センチでアンプと繋がり、数センチで電源を供給出きれば、その「ピックアップ本来の音」あるいは「ギターの持つ100%の音」が出ます。ところが・・・

現実的には、ムリですよねそんなギター。と言うことは、あとは「信号がロス」するだけだということです。この「高い電源」あるいは「高いシールド」を使う理由は「そのロスをいかに少なくするか」この1点にかかっています。単純に言葉上の表現の問題なんですが、「音が良くなる」のではなく、どんどん「本来の音」に近づいていくだけのことなんです。

 

ところが不思議なことに、この「ロスを失くす」はずの高級電源・高級シールド。メーカーによって音が違います。これが困るんですねえ〜。高いやつを使えば、どんどん「同じであるはずの本来の音」に近づくはずなんですが、それぞれ違ってきてしまいます。だから「音が良くなる」という表現を使いたくないんです。
またすいませんが、これは・・・「好み」なんです(笑)。

 

サウンド&レコーディングで毎月、こういった機材の評価を書いている人がいるんですが、その表現は・・・

「中音域の密度が上がった」
「高音・低音が良く出るようになった」
「音の解像度が上がった」

「音にスピード感が出た」

などなど。いろいろな表現で教えてくれます。でも、これのどれが一番良い音なんでしょう?(笑)
ProToolsを使っているMacの電源を変えると、音がみな変わるそうです。私はよくわかりませんが(笑)、シンセの音やベースの音が変わるのはわかります。レコーディング・スタジオ・クラスのモニターなら、はっきりわかります。ただ・・・それが「良いか・悪いか」・・・になると、なんともいえません。「シールド」の時と同じなんですが、「好み」以外のなにものでもないと思ってます。

 

実際に高いシールドを使い、高い電源を使うと、音が整流されて「キレイ」になった印象は受けます。ただギターの場合、それが「ロックにむいてるかどうか」あるいは「自分の好みなのかどうか」は、また別問題です。「キレイ」になりすぎて、チリチリ感がなくなり、適度なディストーション感が失われる場合もあります。逆にディレイやリバーブでは、密度が濃くなり、キレイに広がる印象を受けたりします。ということは、やはり・・・


まずは「自分の出したい音」ありきなんです。自分の好きなギター・好きなアンプ。そこにシールド・電源・エフェクターがあって、その中の「順列組み合わせ」で考えるしかないんです。

 

たとえば「ハイ・インピーダンス」と「ロー・インピーダンス」、わかりますか?(笑)
ギターでいうと「バッファー・アンプ」を通すと「強い信号」−ノイズの乗りにくい「ロー・インピーダンス」に変えることができます。ところが「はい、これがバッファー・アンプですよ」といって使わせただけで「線が細くなった」という人もいれば「高音・低音の出が良くなった」と、両極端のことを言う人がいるんです。
当然「ロー・インピーダンス」に変換すれば、機材の他の部分も「ロー・インピー対応」のほうがいいんです。アンプの受けも「ロー」で受けたほうが理想的です。でも実際にギターで「「ロー・インピーダンス」を好んでる人は、プロのごく一部の人だけだったりします。「ロー・インピーダンス」のほうがいいことずくめなはずなんですが、好んで使ってる人は少ないです。なぜなんでしょう?

やはりすべては「好み」なんですね。「理論上良い事」がすべて、「ギターにとって良い」わけではないんです。

それとライブでベースを繋ぐとき「DI」−「ダイレクト・ボックス」を使います。ベースは大抵これを使います。レコーディングの時もです。この「DI」の主目的は、信号をライン送り−PAに送るための信号、ローインピの変換するためのものです。自分のアンプには、ハイ・インピーの信号、ラインに送ってモニターに返してもらった音はローインピー。でも・・・あんまり文句を言う人、いませんよね?(笑)。

 

以前、私のバンドのメンバーは「スライダック」を使用していました。いろいろな「催し物」に参加するのに、自分の電源を確保するのが目的です。今は使ってませんが・・・(笑)。当時から、私は使ってませんでした。私としては、その「必要性」をあまり感じていなかったからです。
私は、こと「電源」に関しても「安いモノ」を使っています。アンプを改造するときに、ちょっと「高めの電源コード」を試しましたが、あまり必要性をカンジませんでした。もちろんいつものリューテリアMKでです(笑)。なので、目黒君もあまり私に勧めませんでした。私のアンプでは、あまり変わって聴こえませんでした。なので今は、わりと汎用の電源を使っています。

 

 

いつも言ってることなんですが、機材は「自分が納得できる」ことが、一番大切です。まず「自分の好み」ありきです。今、自分で納得できる十分な音を出せているなら、なにも不要な機材を買う必要はありません。上記の電源でも、私はなんら疑問も不満も感じていません。であれば「変える必要はない」「買う必要はない」ってことなんですね。

 

 

今回ここで私が書いているのは、「実際にライブ活動を行うのに、困らないようにするには?」というのが主題です。「より良い電源を使いましょう!」ではありません。その点においては、私は失格ですから(笑)。お金がかかるところは「ヲタク」じゃないです(爆)。

それよりもまず、ライブハウスに行った時、催し物に行った時、「電源で困らないようにするには?」のほうが、私にとっては大事だったりします。「さあ、セッティングしましょう!。あれ?電源が届かない?」では、精神衛生上、とてもよくないですよね。ただでさえ、そう頻繁にあるライブではありません。こういった時ほど、「普段、起こりえないこと」がおきてしまうのが、マーフィーの法則です(笑)。

 

なにか「催し物」があったとします。「なんちゃらフェスティバル」みたいなヤツです。会場はデカイし、ステージが予想以上に広かったりします。

さあ、セッティングしましょう!あなたの「立ち位置」まで、シールドが届きません。電源が届きません。ステージが広いので音をでかくしたのはいいが、近すぎてハウります(笑)。こんなことが、よくおきるんですよ(経験者談@笑)。それが「本番」というものなんです。

 

一挙に高級電源・高級シールドを買えば、たしかにそのほうが安く済むのかもしれません。「これなら武道館でもオッケー!」みたいな(笑)。でも・・・実際はそうはいきませんよね。なんせ「高い」ですから。それならば、自分の「身の丈」でなんとかするしかないですよね。自分の予算内で済ませる方法、済ませられるモノ。
「日常にあるもの」からスタートしていいんじゃないですか。ふつうのタップなら、みんなの部屋にもあるし。ただそれを「ライブの時に持っていってるか、そうでないか」の差です。こういったモノは、持って行ってない時に限って必要になるものです。私はそういったことに精神的に弱いので(笑)、事前に準備するだけです。いつでもどこでも「自分の機材フルセット」があってくれれば、私は「安心」できるんです。また話がそれましたが・・・それが「自分の機材」だと思ってます。

 

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