Columu 54 |
コードをおぼえよう! |
質問 |
ギターのコードって180ぐらいあるそうですが、全部おぼえなければいけませんか? また、どうやっておぼえればいいですか?
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・・・(笑) |
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いやあ、質問にはまじめに答えたんだけど・・・おかしくってさあ〜 (^O^)/ 前にざっと数えてみたら、普通に500ぐらいは使ってるハズなのね。こんなの数えたことないし、数えるなんて発想は、出てこないからさあ。 実際に500っていう数字を、どう計算したのかはおぼえてないけど、確実にそのぐらいは使ってるハズ。 でもねえ〜
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コードは、必要な時におぼえて下さい!
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今ここで教則本を買ってきてダイヤグラムとにらめっこしても、絶対おぼえられるハズがありません。 まずはなんといっても・・・
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今、弾きたい曲のコードだけ、覚えて下さい!
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そして、次の曲、次の曲っていけば、どんどん勝手に覚えてしまうのが普通です。 たしかに「楽典」として、勉強するのも大切だと思います。ただそれをするなら、正式に順序良く覚えないと、すぐに忘れてしまうことになります。なぜかというと・・・
「コード・フォーム」っていうのは、正解があって、無いようなものなんです。教則本を買ってくれば、かなりの数のフォームが書いてあります。ただし、それがすべてではありません。実際に使うのは、その数倍のカタチがあるんです。良い機会なので、単純な例でお話します。むずかしそうに聞こえるかもしれませんが、実際にはごくごく単純な話です。これを理解して応用できれば、「コードなんて覚える必要がない!」ってことがわかると思います。まあ、「覚える必要がない!」っていうより、「あっ、コードってこんなモンなんだ!」ってわかると思います。では・・・
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まずは、基本の基本。用語からです。
さて「コード」とは?
これは、わかりますよね。日本語にすると「和音」です。「ドミソ」のことですね。で、「ドミソ」ってことは、音が3つあるの?
「和音」とは?
和音は「2つの音」があれが、構成されます。「ドとミ」「ミとソ」。みんなが「ハモる」って言ってるのは、このことです。じゃあ、和音の構成音って、2つでいいんだ。
「構成音」とは?
2つでも「和音」にはなります。でも、3つでも、4つでも、「和音」になります。「Fのコード」を考えて下さい。弦6本、みんな弾いてますよね。ということは、6つでも「和音」です。つまり「2つ以上」音があれば、それはすべて「和音」の「構成音」になるわけですね。ギターは弦が6本ですが、ピアノで弾けば指10本分、全部鳴らすことができますよね。それをギターでやることは出来るの?
「コード・フォーム」とは?
ギターは弦が6本。それ以上は、同時に音は鳴りません。じゃあもし、7つ構成音のコードを指定されたら、それは弾けないの? 実際には、弾けません。ただし「7つの音」があるのと、「同じ効果」を出すことはできます。それをカタチにしたものが「コード・フォーム」なんですね。 単純に「和音」−「コード」を指定するときには、「C」で用が済みます。でも実際には、みなさんがご存知のように「ロー・コード」があり、「ハイ・コード」もあります。「ハイ・コード」は通常2つありますね。 ただ単に「ドミソ」を出して欲しければ、その表記は「C」だけで済みますが、そこで「ハイ・コード」を弾いて欲しいというのがあれば、その「フォーム」−カタチと場所を指定します。そう、「コード・フォーム」というのは、「押さえるカタチ」と「その場所」を指定したもので、それを指し示すのが「コード・ネーム」なんですね。
この「押さえるカタチ」と「その場所」を覚えるのが、コードを覚えることになります。ギターのネックは、約65cm。21〜22フレットあり、弦が6本あります。押さえる場所は、22フレットで、132箇所あります。ここを縦横無尽に駆け巡るわけです(笑)。 ただ「音階」は、「12」しかありません。ピアノで考えて下さい、1オクターブの中に含まれる白鍵と黒鍵は12個しかありません。「C」のコードを1フレットずつ順番に12個ずらしていけば、いわゆる「メジャー・キー」のコードは、すべて登場してきます。それは「F」のコードでも、「B♭」のコードでも同じです。
なあ〜んだ、簡単ジャン!
・・・(笑)
そんなに簡単なら、「教則本」なんか売れる訳ないですよね(笑)。 めんどくさいから、必要な時に覚えればいいんです。
本題に進みます(爆)
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まずは、コレを見て下さい。
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左上の「コード・ネーム」が付いていないヤツ。これは単に1フレットの1〜3弦を人差し指1本で押さえたものです。誰にでもできますよね。
ではこれは、何のコードなんでしょう?
音が3つ出ているので、「和音」なのは間違いありません。一番簡単に思いつくのがその下の「Fm」のコードの「下3つ」ですね。でもその「Fm」ですら、バリエーションがあります。 他のも良く見て下さい。この「3つの音」に対して、他の音を付け足してみました。そうすると、あれよあれよというまに、小難しい「コード・ネーム」が付いてきます。しかも、音を1つ2つ足しただけなのにそのコードは、「A♯」「C♯」「G♯」「D」とまったく違うキーの音になってしまっています。 単純に見て、コードのバリエーションが、11種類。これを22フレットずっと移動させると・・・
11×22=242
この「指1本」の押さえ方で、242のコードになります。実際は13フレット以上は「オクターブ」−1フレットからの繰り返しになります。繰り返しにはなるんですが、「どこに何があるか?」は、覚えなければいけません。たったこの3つの音、指1本のフォームが、242種類の働き、何らかのコードの「代理」をしてくれることになります。さあ〜て、これを全部おぼえますかあ〜(爆)
ところがですねえ〜(笑)。事はそう単純じゃないんですよ。でたっ!得意のフレーズ!! コレを見て下さい。
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指を1本、動かしてみました。これは、そう、そのすぐ下にある「Dm7」のフォームですね。これに先程のように、他の音を足してコードを作ると・・・ あーら、不思議(笑)。さっきとは全然違うバリエーションが出てきました。先程と同じように、たった3つの音に、いくつかを足しただけなんです。それなのに、また13のバリエーションが。これも22フレット分で計算すると・・・
13×22=286
あくまでも大まかな計算上ではありますが、なんと286通りのコードの代わりになるんですね。じゃあこれも全部、おぼえなきゃね(笑)
って、私がそれで終わるわけないですよね(爆)。 これを見て下さい。
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で、今度は何かというと、「3和音」で構成する「押さえ方」。書き方の都合上、2フレットを押さえてます。この3つの音のうち、1つだけを動かしてみました。どれも前の押さえ方のバリエーションです。3つなら、誰でも押さえられますよね。でも考えてみるとこの15種類の押さえ方に対し、前出のようなバリエーションが存在するとすると・・・この15種類の押さえ方に、約10種類のコードができて、それが22フレット分あるとすると・・・
15×10×22=3300
3300種類?!
恐ろしいので(笑)、12フレットで計算すると・・・
15×10×12=1800
それでも、1800種類あることになります。 でも・・・実は・・・これだけじゃないんですね(爆)
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「3和音」を縦に並べるのって、4種類あるんですよ。計算・・・しちゃいます?(爆)
15×10×22×4=13200
15×10×12×4=7200
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たったコレだけのことなのに、理論上、少なくみても7200種類あるってことなんですね。 まあ実際には「使わないフォーム」「使えない音」「使わない音」「押さえられない場所」もあるので、10分の1としても、720。でも・・・
よくよくみると、普通におぼえる「ノーマルなコード・フォーム」が、まだぜんぜん入ってないんです。そしてこれはあくまでも「3和音」を基準に考えたものです。実際には「4和音」「5和音」「6和音」そして「2和音」の「カタチ」もあります。まだ、オーギュメントもディミニッシュも出てきていません。 また「同じコード・フォーム」−例えば「C♯」はキーが変わることによって「D♭」と呼ぶことがあります。ひとつのフォームに「2つの名前」があるんですね。これ全部・・・覚えます??(爆)
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いや、実際には使ってます。すべてではないですよ。ひとつずつの「コード・ネーム」を覚えてるわけじゃないし、普段使わないものもありますし。でもいわゆる「上級者」は、自然にこれを使ってます。それは「コード・フォーム」に対するバリエーションが、体に染み付いているんですね。頭で考えるより先に、手が自然にその「フォームのカタチ」になっちゃうんです。 前に計算したときは「メジャー」「マイナー」「セブンス」・・・って「コード・ネーム」を、掛ける12で計算したと思います。それで「約500」って言ってたんです。でもこうして「理論」で追いかけると、とんでもないそれこそ「天文学的な数字」になっちゃいそうですよね。
「コード」っていうのは、「理論」で説明できるものなんです。「ドミソ」−通常の長3度の和音に対して、テンション・ノートを足していくのが和音です。長3度がメジャー・コードで、短3度がいわゆるマイナー・コードです。そこにテンション・ノート−「4」「5」「6」「7」「9」「11」「13」度の音が、ある時は1つ、ある時は2つ。またある時は♯、ある時は♭で、これらの音を「3和音」の上に足していきます。3度の音を抜く−いわゆる「オミット」することも、5度の音をオミットすることもあります。そしてそのバリエーションの極端なカタチが、今日上から順番に見てきた「コードの一部の音で代用するコード」だったりします。
ギターは一人で演奏する場合「ベースの音」−いわゆる「ルート」の音を弾きます。「C」のコード、「ドミソ」で言えば「ド」の音ですね。でもバンドで演奏する場合、ベースがルートを出す、あるいはキーボードが和音やルートを出すことによって、ギターは音を抜いたり足したりすることができます。極端な話、3和音を弾かずに、テンション・ノートだけをぶつけたりすることができます。それこそが「アンサンブル」だったりします。
この「コードの理論」は、難しいけど楽しいです。ロックに比べると、ジャズはこの理論の塊(かたまり)です。わかってくればわかってくるほど、その美しさにはまります。理論がわかればわかるほど、ロック→フュージョン→ジャズって行きたくなる気持ちを理解することができます。でも、これがすべてわかったからといって、偉いわけではありません。すごいわけでもありません。
「楽典」の「理論」を理解し、使えるようになることは、確かに大切なことです。ただし「世界の名曲」は、もっと単純なコードでできています。Cの循環コード−「C→Am→F→G7」。こんなコードでできてる曲が、世界中の人々に愛されています。ブルースやロックンロールは、もっと簡単ですよね。コードは3つ−「A→D→E」です。名曲「ジョニー・B・グッド」や「サーフィンUSA」は、この3つのコードでできています。高度な音楽理論が無くても、だれも幼稚な音楽だ!とはいいません。
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最初のウチ、ある程度の「コード」を覚えることは必要ですが、質問のように180も覚える必要はありません。「コード・ネーム」や「コード・フォーム」をどれだけ知っていても、コードは「使う場所」「使う方法」を知らなければ、何の役にも立ちません。それは「スケール」も同じです。「使い方の理論」が判らなければ、何の意味もないんです。その「使い方」を、「楽典で学ぶ」こともできます。ちゃんと授業として理路整然と教えてもらえば、判ると思います。でも・・・それで、楽しいですか??(笑)
最初に「音楽」があって、「理論」は生まれました。「ある音」の存在意義を体系化したのが「楽典」です。基本は「楽典」の中にありますが、今でさえ、「新しい理論」「新しい音の使い方」は生まれています。昨日までダメだったものが、今日は「カッコイイ!!」とされるものもあるんです。理論上「不協和音」−使ってはいけない和音が、今の音楽の中では、当たり前のように使われているものもあります。
「学ぶのをやめろ!」と言ってるわけではありません。ゆっくり順番にひとつずつ学んでいけば、学校に行かなくても、音楽は学べます。だって「実物」が目の前に、いくらでもあるんですから。
「俺は3コードがあれば、理論なんかいらねえーー!!」
でも全然かまわないんです。だって、それが・・・
Rockでしょ?(笑) |
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