Columu 80

歌がうまいということ


今日は、ギターからちょっと離れます。
たまには・・・ねっ(^_-)-☆
 
 
「歌がうまいって、どういうことなんですか?」

この質問、よく知恵袋でみかけるんですよ。いや自分のわからない事を知りたいのは、間違ったことじゃないんですケドね。でも・・・

「この饅頭が美味しいって、どういうことなんですか?」

「この車が乗り心地がいいって、どういうことなんですか?」

(笑)
この答えに的確に答えられる人、います?(笑)

「例え」はなんでもいいんですよ。「ギターがうまいこと」でも、「サッカーがうまいこと」でも。

 
これね、たとえば饅頭なら「食べたことの無い人」に、説明はできませんよね。「どういう味なのか」は、伝えられます。自分が思っている「うまい・まずい」も言えます。でも「美味しいのが、どういうことなのか?」には、説明になっていません。というより・・・

質問のしかたそのもの自体が間違ってることに、気が付いてもらわないと(笑)。
 
例えの「歌」にしても「饅頭」にしても、どこにも「線を引くこと」はできません。饅頭のほうがわかりやすいので・・・(笑)

それが「甘い」のか「しょっぱい」のか。どこかに線を引くことって、できます?。個人が感じる部分で、ONかOFFか、YesかNoか、なんていう明確なラインをひくことは不可能です。「美味しい・不味い」もですし、「多い・少ない」もです。「この饅頭は大きいですか?小さいですか?」と言われても、答えようはありません。そこにあるのは「個人の尺度」「個人の感覚」ですよね。そして・・・「いままでの経験の積み重ね」です。
 
饅頭の大きさを問われて即答できるのは、沢山の饅頭を見て触って食べてきた人。それはそれまでの経験上「他のものと比べて、一般的に考えると大きい」とか「小さい」とか言えるわけです。饅頭を1個しかみたことの無い人は、それと比べて大小を決めるしかありません。「前に見た1個より大きい」です。でも饅頭をいっぱい知ってる人からすれば、それは小さいほうの部類に入るかもしれません。そこでお互いに「大きさの大小」を論じても、話が噛み合うわけがありません。実は「歌」も、そうなんですね。
 
私はココでもブログでも「ウマいっ!」っていうのは良く言います。でも「ヘタッ!」っていうのは、あまり言わないようにしています。私はまがりなりにも一度は「歌を歌うこと」を職業にしました。それなりの訓練を積み、まあ「それなり」だったと思います(笑)。当然「プロのボイストレーニング」も受けていますし、「プロのレコーディング」も体験しました。だからというワケでもないんですが「歌を歌うこと」に関しては、人より「厳しい目」(耳?笑)で見ます。最低限自分の目指したラインがあり、今でも自分の中に「基準」があります。そして当然のこととして、人に対しても「基準ラインのクリア」を求めます。「プロとして、当然クリアしていなければいけないライン」があると思っています。
 
ただそれを「どういうことですか?」と言われても、答えられません。

 

「このぐらい、ビブラートを使える」

「このぐらい高い音が出る」

「ここまで音が伸ばせる」

 

それは数値化できるわけでもないし、ラインを引けるワケでもありません。ただ「うまいですか?ヘタですか?」と二者択一で求められたら、「自分の基準」に従って、どちらかに判断します。まあ普通、ラインぎりぎりの人に対しては「普通!」って言って逃げますケド。

それは「そういうこと」を聞いてくる人のほとんどが、「その歌手が好きな人」なので。「ヘタッ!」っていうと、たいがい逆ギレされます。でも私の中の基準に達していなければ、私の中では「ヘタッ!」(笑)。それを「どういうことですか?」と私に問うなら・・・
 
あなたも歌の勉強をしなさい。あなたが「歌うこと」に関して一定のラインまで到達すれば、あなたも私と同じことを言うと思います。
 
これが「私の答え」なんです。普通はめんどくさいから、言いませんケド(笑)

そしてこれは必ずしも、自分で「歌う」ということしていなくても、「そういう環境」に身を置けば、自然とわかるようになります。ディレクターやプロデューサーは、必ずしも歌えませんし、歌ったとしてもウマくはありません。でも彼らは「歌がうまいこと」に関しては、わかっているワケです。私もレコーディングの時は、散々イジメられました(笑)。いや、いじめるワケではないんですけどね。「ドコがダメで、ドコが良い」。あるいは「この歌の歌い方の正解」が見えています。それこそ「泣きたくなるぐらい」責められました(爆)。でもそれはあくまでも「私の歌」を正解に導くためのアドバイスですし、私の能力を引き出すための作業。「もっと良くなるハズ」という期待がなければ、そこで終わってるハズなんです。
そしてボイストレーニング。これも、メチャメチャやられました。完膚なきまで、叩きのめされました。「歌を歌うこと」を、根本から直されました。でもそのおかげで「自分基準」が、10段階ぐらい上にあがりました。このどちらの場合でも、「その言われていることが、どういうことなのか?」ということがわかってくると、「なるほど!」と納得できること。そんな修羅場をくぐって(笑)、「私自身の基準」があります。
 

 
時々失言で、「ヘタッ!」って言っちゃうことがあります。ほとんど、逆ギレされます。でもその逆ギレしてる人に対して、「あなたはわからないの?」って小さく逆ギレしているのが、私の本音なんです(笑)。わからない人に説明って・・・できませんよね。「歌を歌う」「歌を作る」現場にいる人からみれば、みんな私と似たり寄ったりのことを言うと思います。でも「その基準を持ってない人」から見ると、その「評価」は納得できないんですね。「その人の基準」から見てしまうと、「ウマいッ!」って思ってしまっているんですから。
 

 
こういう「例」を出すのは不本意なんですが・・・(笑)。でも私が「例」として出す場合、「好き!」なんです(爆)。好きだから、「もっとウマくなって欲しい!」「もっとウマくなれるハズ!」っていうのがあるんです。誤解しないで下さいね。私は「この人はヘタだ!」って思ってる人は、話題にしませんから(笑)。

今回の例えは、伊藤由奈ちゃん。期待してたんですけど、まったく間違った方に行っちゃってます(笑)。久々の「ホンモノ一歩手前のコ」だと思ったんですが・・・

由奈ちゃんとセリーヌ・ディオンがデュエットした曲で「あなたがいる限り」っていうのがあるんですが・・・、このデュエット・バージョンは、ようつべではプロテクトが掛かっているようです。なので、バラバラにしかありませんが。ほんもののCDを聴いて欲しいんですが。

 

由奈ちゃん

 

セリーヌ・ディオン

由奈ちゃんもそこそこにウマいです。それは・・・セリーヌ・ディオンと較べなければ(笑)
セリーヌの歌が出てくると「モノが違う」っていうのが、ハッキリわかってしまいます。声・歌い方・解釈。どれをとっても「数段上」としか言えません。誰が聴いても、ハッキリわかると思うんですが・・・。

 

LIVE

CDでは由奈ちゃんがハモりに回ると、ピッタリです。ということは「セリーヌ・ディオンのハモリができる程度の歌唱力」ってことです。それは「ソコまでしかできない!」と考えるか、「ソコまでは出来る!」と考えるのかでは、大きな違いです。私は由奈ちゃんは「ソコまでは出来る!」と考えていました。そして「自分とセリーヌとの違い」に気が付き、そこに向かって行ってくれればいいなあ〜と考えていました。

でも現実には・・・「今、売れること」が優先されました。「由奈ちゃんがウマくなってくれること」を、事務所やスタッフは、望んでいなかったようです。「売れること」が優先されると当然・・・「ウマくなるためのトレーニング」はスポイルされます。それに対する「由奈ちゃんの努力」も認められなかったと思います。

「由奈ちゃんはどうか?」と聞かれれば、「このコ、ウマいよ!」って答えます。確実に「ウマくなれる要素」を持っています。でも未だに・・・ですよね。こういうパターンで消えていくコが、日本ではほんとに多いです。

K−POP(笑)。みんなには嫌われてますよね?(爆)。でもね韓国・中国・台湾・香港。このアジア圏には、目立たないけど「確実に実力を持ってるコ」が、何人もいます。残念なことにその多くが「日本進出をして、ツブされた」ってパターン。日本では「歌がウマい」ことが、あまり評価されません。したがって「聞いてる人」−「リスナー」のレベルも低いです。ココ部分に関しては、炎上覚悟です(笑)。
歌手が「歌のレベル」で比較されないとしたら・・・後に残るのは「可愛い・可愛くない」「カッコイイ・かっこよく無い」これしかありません。残念ながら日本は・・・コレです。

このコ、知ってます?。「シャーリー・クァン」ちゃん。このコも、日本に来てツブされた1人。

 
あなたのために
 
香港のコで、90年代に日本デビューしたんだけど、売れなくて撤退。まあ、90年代にはありがちな曲で、歌唱力はソコソコ。売れなかったのは、なんとなくわかります。だけど・・・これだったら、話は違わない?

 
Honolulu City Lights

 

USカントリー・チャートにいてもおかしくないよね。ずば抜けて、とは言わないケド。でもあきらかに「あなたのために」には、シャーリーの本質を捕らえてないし、シャーリーを理解していないよね。シャーリーが力を発揮できる曲じゃない、っていうこと。この曲は「二名敦子」さん「小林明子」さんも日本語でカバーしてるんだけど、「ウマい!」ってことで比較したら、シャーリーちゃんのほうがはるかにウマい。でも・・・日本では評価はされなかったの、残念ながら・・・。

 

 
一方(笑)「歌がうまいこと」が必ずしも「技術的なこと」でないことも、私はよく言っています。最近では「テゴマス」の「雪だるま」を取り上げましたよね。じゃあテゴマスはどう?って聞かれたら、やっぱりヘタ!って答えます(笑)。じゃあなぜ取り上げてるのかというと・・・

「楽曲にハマッてるから」

これが大きいです。「歌」は歌手1人では完結しません。作詞・作曲・アレンジ・演奏・録音・マスタリング。全てが噛み合う必要があります。その中で「良い曲」に対し、「歌手がそれなりに表現」している場合、私は「いい曲だよね」っていう言い方をします。ウマイ・ヘタより、「楽曲としての完成度」において、歌手がジャマをしていません(笑)。これが「音痴」だったら・・・「足を引っ張る」ことになりますよね。誰とは言いませんが(爆)。「歌がウマくないこと」を、マイナスに作用させないようにしているわけです。

アメリカのアイドルに「Backstreet Boys」、いましたよね?。残念ながら日本のアイドル「Jニーズ」に比べたら、数段歌唱力は上(笑)。っていうか、比べるのが失礼なくらい、上です。あんまり言うと「Jニーズ」のファンの人に、逆ギレされちゃいますが。でも「君だけに」や「雪だるま」を、私は「いい曲」って言ってます。ウマイ・ヘタの前に、「いい曲」です(実はそういった曲には、作詞・作曲・アレンジでの共通項があったりするんですが(爆))。その部分で「歌がうまいこと」なんか、論ずるつもりはありませんし。ただし、単純に「歌手」だけを抜き出したら・・・ヘタです(^_^)

 

 
 
「料理」を食べる人は「ウマイ・不味い」を言います。でもその「食べる人」は、「一般人」「食通」「評論家」「プロの料理人」と、いろいろいます。そしてみんな「それぞれの立場」があり「ウマイ・不味い」を言います。なので、意見が食い違うこともあるんですね。「いつもマズいものばかり食べてる人」にたべさせたら、「なんでもウマい!」になっちゃうし(笑)。
 
これは仙台ではよくあるんですが・・・ラーメン屋ができます。みんなが「美味しい!」といって、行列を作ります。物見遊山で、ウチでも行ってみます(笑)。毎週週末は、大行列。それがいつのまにかドンドン行列が短くなっていって、いつのまにやら閑古鳥。ついには、ツブれる・・・。あれ?美味しいんじゃなかったの?。これは「飽きた」っていうこと?。「飽きるような食べ物」は、美味しいの?。
 
「行列が出来ていた頃」は、みんな「美味しい」って思ったんでしょう。でも実際に何度か食べてるウチに、実は「美味しくないこと」に気付きます。でも、並んでる人に「ココ、不味いですよ!」って言っても・・・聞いてくれませんよね?。お店がツブれてみんなが忘れた頃に、「あのお店、美味しかった?」ってきいたら、きっと「あんまり美味しくなかった」っていうハズ。だからツブれるんですけど。それはみんなが「わかった」結果。「何度か食べる」「他で食べる」という行為で、「味を学んだ結果」です。学んだから・・・マズいって言えるワケですよね。
 
だから「学んでない人」に説明するのって、とても難しいんです。ましてや「明確なライン」のないことに対してなら、なおさらの事です。「歌がうまいって、どういうことなんですか?」っていう質問自体をおかしく感じない人に、説明するのは非常に難しいってことなんです。
 
 
 
もうひとつ。

「歌がうまくなるには、どうしたらいいですか?」

これも同じような答え。この質問を言ってる人は・・・残念ながら、絶対にウマくなりません。
何度でも言います。

カラオケで100万回歌っても、歌はウマくなりません!

「なぜ?」って思ってる人。じゃあ100m走を100万回走ったら、オリンピックに出られると思いますか?。100万回走ったら、足は早くなります。それは「アマチュアのレベルで」です。友達の中では、ダントツに早くなることでしょう。でもそれなら、「プロのコーチ」「プロのトレーナー」がいなくても、世界陸上に出られるっていう理屈です。「カラオケ」は、まさにコレです。

「じゃあどうすればいいの?」(笑)

残念ながら、カラオケで100万回歌う努力もせずに、「どうやったらウマくなるか?」って考えてる人は、何をどうやっても、ウマくなることはありえません。本当に「歌がうまくなりたい!」って思ってるなら、すでに「カラオケで100万回歌う努力」はしてるハズだからです。その上で「カラオケで100万回歌っても、歌がうまくなりません。どうすればいいですか?」ってきかれるなら、「私の方法論」は教えます(笑)。
 
「カラオケ」で出来ることは「歌うこと」のみです。そこには「歌を学ぶこと」は、1つとしてありません。結果「歌うことに慣れる」というのはあります、よくいますよね、飲み屋さんでとんでもなく歌のウマイ人(笑)。この人は100万回歌った結果、「歌うことに慣れてる」んです。でも・・・「プロ」−「歌手」になれることはありません。歌うことを「学んではいない」ってことなんですね。
 
前にブログで中西保志くんの事を書きました。反応は、ほとんどありませんでしたが(笑)。では実際に、「プロのボイストレーナー」の人に「中西君の歌い方」について尋ねてみて下さい。たぶん私と同じような評価をするはずです。少なくとも「歌を学んだ私」からみると、「とんでもなく基本に忠実な歌い方」です。「あの歌い方」を教えてくれるボイストレーナーなら、私は信用します。まさに「歌い方」の「基本中の基本」の歌い方です。あれと同じことをしろって言われたら、私は断ります(笑)。あの「基本に忠実な歌い方」は、実はとてつもなく「難しい歌い方」なんです。言い方を変えると「うまく聞かせることが難しい歌い方」。中西君は、どこも「歌を崩す」っていうことを、一切やっていません。リズムから外したり、不要に音を伸ばしたり。そういう「歌がうまく聞える手法」をまったく使わずに歌っています。言うなれば「譜面通り」なんです。これでウマく聴こえるって・・・実はとんでもなくウマい!ってことなんです。
 
って言っても、わからないですよね(笑)。譜面に忠実どころか・・・歌の譜面すら見たことの無い人がほとんどでしょう。「歌がウマくなりたい!」って言ってるのに、「その歌の譜面を、一度も見た事が無い」(爆)。私からすれば「ありえません」(爆×100)。
 
今、あなたが歌っているのは、何音符?

楽譜では、その音をドコまで伸ばすように書いてあるの?

その音の運びは、譜面と合ってる?

「カラオケ」で「歌詞カード」を見てても・・・、ダメですよね。ましてや「採点」に夢中になってるようでは(笑)。「歌うこと」は「採点機」と合ってることなんですか?。あなたは、「誰の歌い方」を学んでいるんですか?。その歌は「どういう歌」なんですか?。
何も考えずに100万回走っても、オリンピックには出られません(笑)。「意味」「意義」そして「内容」ですよね。1回ごとに「速く走るには、どうしたらいいか?」を考えなければ、全ては「無意味」です。
 
 
でも・・・結局は「個人の勝手」です。ウマいとかヘタとかよりも「好き・嫌い」が優先するのが「音楽」です。「私の中の基準」よりヘタであっても、あまり言わないようにします(笑)。ヘタなのに「私はウマい!」って思ってる歌手の人には、イラッとしますが(爆)
 
音楽は「聞くこと」にプロもアマもありません。好きなものを好きなように聞けばいいだけ。ただし「自分が歌う」「自分が演奏する」となれば「プロ」「アマ」はっきりわかれます。ただそれに対して、「誰が何を言ってもいい」のが「音楽」でもあります。こんな疑問を持たずに、自由に音楽して下さい。
 
 
 
最後に・・・もうひとつだけ(^_^)

 
あなたがもし真剣に「歌の練習」をしたいなら・・・
「英語の曲」でやったほうがいいと思います。
コレはあくまでも「私だけの自論」です。
私の経験でしかありません。
でも・・・「英語の曲」で練習することを、おススメします。

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