Columu 88

CDが売れない!


前回、こんな風に書きました。世の中でも、そう書いてありますよね。

でも・・・

 
「CDが売れない!」じゃなくて、「音楽が売れない!」が真実なんですよ!
  

 
皆さんは「We are the Worldの呪い」ってご存知ですか?(笑)

いや何も「We are the World」に幽霊が映ってるワケでも、変な声が聞えるワケでもありません。この「We are the World」は80年代までの音楽の総決算のようなカタチで、象徴的に出てきました。そこに出てきた人は、ホントにホントのBIG NAME。世界のトップ・クラスの人達が集まったわけです。曲も企画も成功しました。そのかわり・・・
出演者がことごとぐ、90年代の音楽シーンから消えているんです。これほどビッグ・ネームなのに、90年代にはほとんどヒットしていません。80年代から90年代に移る時の、象徴的な出来事として「We are the Worldの呪い」と言われています。
  
1つの要因がレコード→CD。これは、前にも述べましたね。それとやはり60年代から80年代にかけて盛り上がってきた「音楽」が、ここで一息ついてしまったんですね。走り続けてきた現役世代が、休息してしまったんです。その大きな要因が「CD」。これからどうなるのか、みんな「様子見」になっちゃったんです。それでも「商売」は続けなければいけません。大物が休むなら、新人を送り出す必要があります。これで・・・レベルが下がることになるんですね。
 
「世界の音楽業界」と「日本の音楽業界」の「大きな違い」はわかりますか?。「世界」は単位が「アルバム」です。そして「日本」の単位は「シングル」。「世界」の人は、アルバムを作って、そこから「シングル・カット」。「日本」は、シングルを集めて「アルバム」。「売上げ」が落ちれば、考え方は「小さいほう」にいきますよね。売上げが落ちていく中、洋楽の情報がどんどん止められ、日本は「シングル」の業界になっていきます。CM・番組とのタイアップで、「シングルの売り込み」になるわけです。
 
もともと「洋楽」では、「アルバムから、どの曲をシングル・カットするか」で悩みます。人によっては「シングル・カット」が無い人もいます。60年代まではまだ、「オールディース」の流れがあり、シングル盤が良く出ていました。それは「洋楽でも」です。洋楽では「シングルが売れれば、アルバムが売れる」という図式がありました。それが70年代に入ると、圧倒的に「アルバム」の時代になってきます。シングル・ヒットが無くても、アルバムが売れていきます。
  

  
あなたは「天国への階段」のシングル盤を見たことがありますか?

  

「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のシングル盤をみたことがありますか?

  

シングル・カットなど無くても、アルバムは売れるわけです。なので1千万枚単位で売れるモンスター・アルバムが出てきました。これはここから「ウェスト・コースト」「フュージョン」「AOR」と、ずっと続いていく傾向です。この時代の曲を、シングルで買う人のほうが稀。みんな、当たり前のようにアルバムを買っていました。
 
それが90年代に入って、「シングル盤」にシフトしていくわけです。「ヒット曲」にならないと、まずアルバムは売れません。なにがなんでも「ヒット曲」が欲しいわけです。昔から「日本」は「シングル盤」が根強い国なんですが、それが一層顕著になっていきます。
 

 
「歌謡曲」「演歌」

 

どう考えても、「シングル盤」ですよね。「ザ・タイガース」のレギュラー・アルバムの名前を挙げられる人、いますか?(笑)。「世界は僕らを待っている」「田園コロシアム・ライブ」を挙げられる人は、そうとうなマニアです(笑)。私でさえ「ザ・ワイルドワンズ」のものは、全部シングル盤。その当時はまだ「LPは高い」時代だったんです。それが、どんどん「音楽が商売になる」ようになってきました。でも・・・
「ピンク・レディ」「キャンディーズ」(笑)。レギュラー・アルバムの名前を挙げられる人、いますか?(笑)。日本はずっと「シングルの音楽文化」なんです。それが70年代80年代とだんだん「アルバムの時代」になってきたのに・・・また90年代に逆戻りしました。CM・番組とのタイアップでヒット曲。そしてそれがどんどん酷くなってきて・・・今は「A面のみ」の時代になってしまいました。
 
「ベストアルバム」が「A面の寄せ集め」なのは、わかりますよね。なので私たちの時代には「ベストアルバム」は、あまり意味の無い、エセ・ファンのためのものでした。それがドンドン音楽の品質が落ちていって、「B面など要らない」時代がきたんです。シングルも買わない。アルバムも買わない。ベスト盤が出たら買う。ねっ、今はそうでしょ?。70年代80年代と、日本にも「アルバムの文化」は芽生え始めていたんです。特に「フュージョン」の頃など、名盤の連発でした。でもそれが90年代になって・・・。
  

  
この「CD」だけが「戦犯」なわけではありません。途中に中途半端なメディアとして「DAT」や「MD」がありました。レコードの時代にみんなが音楽を外に持ち出したきっかけが「ウォークマン」。ところがCDの時代が来ても、外に持ち出す決定的なメディアがありません。それどころか・・・「CDを再生する機器」自体が、「高くて買えなかった」んです。なので、すべての売上げが、落ち込む方向に向いてしまいました。
 
今、ネットの普及により、「買わなくても聴ける」ようになりました。そしてネットでは「1曲単位」で買えてしまいます。どんなに売れようとも、売れるのは「その1曲」のみ。アルバムにいい曲が入ってるとか、B面がいい曲だ、なんていうのは、すっかり消えてなくなりました。そう考えると・・・
 
 
悪いのは誰ですか?
 
今の「CDが売れない」状況を作ったのは、誰でしょう?
 
みんなが買わなくなったから?

 

それは「結果」ですよね。
 
引き金を引いたのは誰?
 
そういう時代にしたのは誰?。
 
「CDを売ってる人」が、そうしてしまったんです。
 

 
我々はまだ「アルバムで聴く習慣」「アルバムを買う習慣」があります。私はアルバムを買ってなお、シングルを集めるオバカチンです(笑)。大好きな「ロギンズ&メッシーナ」や「デイブ・メイソン」などは、全アルバムを一挙に聴く楽しみもあります。忘れかけていた曲が急にいい曲に聴こえたり、昔聴いた曲が新鮮に聴こえたり。それが「あたりまえ」だと思って「音楽」に接してきました。でも今は、1曲ずつ細切れです。ベスト盤に並んでる曲が、その人のすべて。私が「ロギンズ&メッシーナのベスト盤」を買った理由は、「ジャケットの写真が欲しかったから」(爆)。曲はすべて、レギュラー・アルバムに含まれているので、目的にはなりません。ボーナス・トラックもありませんし。ヒット曲を並べられても、レギュラー・アルバムの魅力にはかないません。それどころか「曲順」に違和感を感じることもあります。
 
私たちは「そういう音楽」に育てられてきました。なので「1曲買う」というのが、とても不自然だし、逆に損した気分になります(笑)。

「B面はないの?」(爆)

「デジタル先行配信」などは、1曲のほうが多いです。シングルを何枚か出して、それがアルバムになるのを待たなければいけない時代になりました。「シングルの寄せ集め」と「ベスト盤」の区切りが難しいです(笑)。
「6曲入りミニ・アルバム」なんて言ってますが、外国ではそれは「シングル盤扱い」です。テイラーちゃんの「クリスマス・アルバム」がそれにあたってしまい、なかなか日本に入ってきませんでした。HMV・タワーレコードでも、シングル盤はめずらしいですからね。日本で言う「6曲入りミニ・アルバム」は、「シングル盤3枚」の寄せ集めでしかありません。
 
「CDが売れない」のは、聞く側に問題があるからではありません。そうしてしまった「売る側の問題」です。AKBもKARAも少女時代も、可愛いいです。でも「女のコが集団」で歌っていたら、「おニャン子」となんら変わりません。「顔」が入れ替わっただけで、中身は一緒です。ついでに、作ってる人も一緒(爆)。そんな「売り方」が、いつまで続くと思いますか?。そういったことに「売る側」が気が付かないうちは、どんどんジリ貧になるだけです。どこまでも「目の前の利益」だけを追ってると、「目の前」が無くなった瞬間に「崩壊」です。
  

  
ちゃんとした「音楽」を作りましょうよ!!

音程を機械で直さなければいけない歌手など、この世には必要ありません。そういう人はヒット曲を連発したとしても、消えてますよね?誰とは言わないケド(笑)。とても、ライブには出せませんから。そういう人は「作家」に回ってもらって、「ちゃんと歌える歌手」を育てるべきです。
「後継者」−わかりますよね?。私より業界の人のほうが、もっともっとわかると思います。ちゃんと、育ててますか?。佐野元春さん・浜田省吾さんの後継者に、残念ながら亡くなってしまった尾崎豊君がいました。さらにその後継者、誰かいますか?。佐野さん・浜田さんがいなくなったら、それで終りですか?。中島みゆきさん・ユーミンがいなくなったら、どうするんですか?。小田さんを引き継ぐのは誰?
 
Youtubeと同じことがニコニコ動画にできて、なぜあなたたちにできないんでしょう?

  

iTuneもAmazonもできますよね?

  

Appleの顔色をうかがって、小銭を貰って、それでいいんですか?

 

あなたたちの売ってる値段より、Amazonのほうが安いって、ありえないでしょ?

 

今、今やらないと・・・もう間に合わないと思いますよ。
  

  
「違法DL法」が施行されても、絶対にCDの売上げは伸びません。これだけは、ハッキリ宣言しておきます。「何百万ダウンロード」がただの泡沫だったことは、わかったでしょう?。あんなものは「歌手」に対するバロメーターにはならないし、継続するはずがありません。あの「何百万ダウンロード」というのは、「携帯電話」「スマートフォン」という「媒体の能力」であり、「CDを買わない人の数」です。ネットでの「何百万ダウンロード」がCDの売り上げをカバーしてますか?。Youtubeの「何百万回再生」がCDの売り上げをカバーしてますか?。

ほんとうにちゃんとしたものを作れば、正直に「CDの枚数」になって出てきます。それだって、わかってるハズなのに。「売れ続ける」なんて、普通はありえないんです。何人か芸能界には「怪物」がいますが(笑)、それはほんとに「その人だけ」なんです。売れ続けるためには、その「歌手」を成長させ、なおかつ「次」を育てないと、聴衆はついてきません。フェスティバルもタイアップも、もうみんな「飽きてる」んです。「音楽を聴く体制」「音楽を作る体制」を今整えないと、すべてが終わりますよ?。
 
 
CDを買って下さい!
 
って言っても・・・「誰の?」「何を?」って言われるのが関の山。
 
それが・・・「現実」です。

 
 
某有名ミュージシャンのT・Oさんが(笑)、当日のライブをそのままパッケージしたCDを、販売したそうです。(個人的にキライな人なので、実名は避けますが(笑)。前に私が、「誰もやらないの?」って言ってたヤツです。いわゆる「インスタント・ライブ」って呼ばれてるモノ。一番有名なのは、Allman Brothers Band。ライブをほぼ手を加えずに、CDとして売ります。ジャケットは毎回共通で、日付と曲目、場所名だけクレジット。Allmanの場合、3人のギタリストが入れ替わり立ち代りなので、非常に有効な「資料」なわけです。
 
それを某T・Oさんが2枚組4000円で出したところ、完売。実際の枚数は表記されていませんでしたが、100〜200セットが現実的な数字でしょう。1000人規模でライブができるなら、まず売り切れ必死。そこにいる千人は、「ファン」であり「CDを買う可能性のある人」。「そこに自分がいたLive」であれば、私も欲しいです。
 
これ、考えると「問題」はいろいろあるんです。まあ、いわゆる著作権絡みのね。今はそれは、置いといて・・・(笑)
 
 
なんでみんな、やらないの?
 
手間が掛かるから?
 
儲からないから?
 
問題があるから?

 

「CDが売れない!」って言いながら、「売る努力」をしてないジャン。この「インスタント・ライブ」だって、やり方はもっとあるよね。「ライブ会場限定」「ファンクラブ限定」「ネット限定」などなど。たしかに「問題がある」のは、私でもわかります。でも・・・その日のライブを、カーステレオから流して帰れるなんて、最高の幸せじゃない?(笑)
 
絶対、儲かりはしないと思います。4000円×100セット=40万円でしょ?ヘタしたら、経費だけで足が出るよね。でも「CD販売促進」には、有効じゃない?ファンなら、全部集めようと思うし、新曲があったら、「完成品」のCDも聴きたくなるよね。ツアー全部をコンプリートしてネットで受注販売したっていいし。

  

「売れないモノ」なら、「売る努力」が必要なんじゃないのかな?
  
これ、「映像」だって不可能じゃないよね。いわゆる「BOOT」−「海賊版レベル」だって、ファンなら充分納得して、買ってくれるもん。「CDが売れなくなった原因」はいろいろあるけど(笑)、「売れない!売れない!」って言ってても、何も変わらないと思いません?「買わない人」に「売る努力」をするより、「買ってくれる可能性のある人」に「もっとサービス」すべき。
 
 
もう純国産のレコード会社は・・・
 
ほとんどありませんからね。

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