Columu 98

ちょっとおいしい、コピー講座 Part 5


みなさん、お元気ですか(笑)。 今日は予告通り、「カノンにまつわるお話」です。

 

この「カノン」というのは、「パッヘルベルのカノン(Canon in D)」というのが原題。ヨハン・パッヘルベルという人がつくった「カノン形式の曲」ということです。ヨハン・パッヘルベルは、バロック音楽の人。「カノン」というのは、難しく言うと「複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式の曲」です。これを平たく言うと(笑)、一つの進行の中に複数の旋律が共存し、ある時は輪唱、ある時は倍速、ある時は二重・三重旋律になることを指しています。もっと簡単に言えば、同じコード進行で複数のメロディが絡みあうっていうことです。これがオリジナルの「カノン」

 

「パッヘルベルのカノン(Canon in D)

 

読んで字のごとく、「Key:D」です(笑)。みんなのよく知ってる「カノンロック」も「Key:D」です。

 

「カノンロック」

 

別に、誰のでもいいですけどね(笑)。最初に目についたのがこの人だったので(爆)。

「Key:D」だと説明しずらいので、「Key:C」に直しますね。

  

D A Bm F♯m G D G A
C G Am Em F C F G

  

これが「標準のカノン」です。これも「F」が「Dm」になったりするのと同じで、バリエーションがあります。

いくつか、バリエーションを記述します。

 

1 2 3 4 5 6 7 8
C G Am Em F C F G
C G Am G F Em Dm G
C G/B Am G F Em Dm G
C G/B Am Am/G F Em Dm G
C C/B Am Am/G F F/E Dm G

 

これがバリエーションです。「/」は「on」コード−分数コードです。左側のコードを押さえながら、Bass音だけが移動するパターン。PCだと表記しにくいので、ガマンして下さい(笑)。これ、コードが若干違ってますが、実は内容は同じなんです。そこを知る前に・・・

  

この「カノン進行」と言われるコード進行で作られた曲が、いっぱいあります。書くのがメンドウなので、こちらで用を済ませて下さい(笑)

 

その1

その2

その3

 

ばかですねえ〜、コイツら(笑)。鬼の首でも取ったかのように、したり顔で演ってます(爆)。

達郎さんの「クリスマス・イヴ」は別格。「カノン」を「1人多重コーラス」で再現すべく、作られた曲です。本人は「お楽しみの小品」としてアルバムの最後に入れたもの。それが本人の思惑とは別に、爆発的にヒットしてしまいました。なのでまるっきり「カノン」です。

 

それ以外の人は、だいたい上記進行のうちのどれかのバリエーションになっています。「Cの循環コード」や「Amの循環コード」と同じように、「みんなに好まれる進行」なんですね。それ以外にも「好まれる進行」があります。それはまた次として・・・

なぜこの「カノン進行」は、みんなに好まれるんでしょう?。それがわかればコピーも楽ですよね。その一番大きな秘密(笑)。

それが「ベース音」なんです。

 

もう一度、オリジナルのカノンを聴いてみてください。「Key:D」ですが、頭の中では「C」で考えて下さい。聴くのは、最初のチェロのパート。最も基本となっている「ベース・パート」にして、「第一のメロディ」です。

 

1 2 3 4 5 6 7 8
C G Am Em F C F G
ファ ファ

 

なんの変哲もない、タダのルート音?(笑)。そう、最初のパートはそうなんです。ここにストリングスによる、第二・第三のメロディがかぶってきます。そのメロディこそが、まさに「カノン」なんですね。その前に・・・なんで、これが気持ちいいんでしょう?。何かみんなが「気持ちいいと思う法則」があるはず。どこに???(爆)

 

そう、実はあるんです。第一のベース・パートがあります。ノーマルな「ルート音」です。そこに次々にかぶってくる第二・第三のメロディ。まず「気持ちいい原因その1」が、すべてが「ハモってる」ところにあるんです。「Key:C」ということは、和音は「ド・ミ・ソ」です。次々出てくるメロディーが「ドから始まる」「ミから始まる」「ソから始まる」。いわゆる「対位法」になっていて、主旋律に対し「ハモっているのに独立したメロディ」が絡み合っている状態。それがメロディアスに、リズミックに曲を織り成すのがこの「カノン」。逆に考えるとこの進行の中では、それから逃れるメロディを作ることは不可能なんです。コード進行がメロディを引きずり出し、法則にのっとって、気持ちよく聞こえてしまうんですね。メロディが単音であっても、自然にハモリが聞こえる進行なんです。そして・・・

 

「気持ちいい原因その2」が、「ベース音の下降」にあります。

この「ノーマルなカノン」を変形したもの、上に書きましたよね。分数コードを使ってまで「ベース音を指定」しています。これが目に見えない「カノンが素敵に聴こえる理由」の最も重要なところ。一番「わかりやすい例」を使いますね。

 

1 2 3 4 5 6 7 8
C G/B Am G F Em Dm G
ファ

 

ありゃ?なんだ、これは?(爆)

2番目の「B」=「シ」は、もともと「G」の構成音。4番目は元々「Em」だけど、「G」=「ソ」は「Em」の構成音。7番目の「F」を親戚の「Dm」に置き換えて・・・「ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ」(笑)。どう考えても、わかりやすく聞き易いでしょ?。この「下降フレーズ」「下降ベース」が、カノンが気持ちよく聞こえる、最大の原因。この「ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ」は、実際に弾かなくとも「聞こえてきてしまう」んです。そしてそして・・・(笑)

 

「気持ちいい原因その3」 それは・・・

 

1 2 3 4 5 6 7 8
C G/B Am G F Em Dm G
C G/B Am G F Em Dm G

 

ありり??? どっかで見たことあるような・・・(爆)

そうなんです。

 

C⇒Am⇒F⇒G7

 

C⇒Am⇒Dm⇒G7

 

最も基本となる「Cの循環コード」の発展形であり、この「Cの循環コード」自体が元々、「下降フレーズ」「下降ベース」の原型なんですね。

そしてもう一つの循環コード。

 

Am⇒G⇒F⇒E7

 

Am⇒G⇒F♯⇒F

 

これも「下降フレーズ」「下降ベース」なんです。

みんなが美しいと思うメロディのコード進行は、圧倒的に「下降フレーズ」「下降ベース」が多いんです。

 

J-POPには、顕著というか、とても偏ったコード進行が多く使われています。そしてその多くが何らかの形で、この「下降フレーズ」「下降ベース」を含んでいます。ある意味「ヒット曲の素」といってもいいかもしれません。まあ、単純で覚えやすく、しかも歌い易いってなったら・・・そうそうヘンなカタチが出てくるわけないですよね。他にいくつかある「下降フレーズ」「下降ベース」のパターンを覚えるとこれの逆のパターン、「上昇フレーズ」「上昇ベース」を聞き分けられるようになります。そうするとあとに残るのは、ほんとに「複雑なコードの曲」ばっかりになります(^O^)/

 

 

 

簡単だ!って言ってる割には、数が多い??(笑)

だって何百万・何千万曲あるかわからないモノを分析してるんですよ?(爆)。

あと何回続くかはわからないですが・・・ちょっとは「コピー」に役立てて下さい。ギターを弾くことも大事ですが、それはあくまでも「音楽」があってのこと。「音楽」を知らなければ、なにも始まりません。

 

今日は最後に・・・

「下降フレーズ」「下降ベース」が「世界一美しい曲」を、あなたに。

 

青い影(A Whiter Shade Of Pale) - Procol Harum 

 

 

 

オマケに・・・

プロコル・ハルムが大好きなんだそうな(^O^)/

 

Hello, my friend - 松任谷由実

 

 

ではでは・・・

 

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