Columu 99

ちょっとおいしい、コピー講座 Part 6


本日をもちまして、この「ちょっとおいしいコピー講座」は終りにします。
いくらやっても、キリが無いんですよこれは。やろうとしてるは「音楽を聞いて、パターンを知ること」です。でもパターンに入らないものもあります。どこまでの頻度のものを「パターン」とするか、によります。今日やる「上昇・下降」まで覚えれば、相当コピーは楽になるはずです。
 
小学生の私で、ある程度の「パターンの解析」はできました。そして学生の頃には「3回聞けばわかる」ようになりました。いわゆる「スナックの歌の先生」のバイトをやってる時に身につけたものです。知らない曲の伴奏を頼まれます。それを有線放送で、3回リクエストします。1回目は全体像を掴み、パターンにハマらないところをチェックします。2回目はAメロBメロサビ、そして間奏の流れを掴みながら、パターンにハマらないコードを確認します。3回目で、全ての確認作業をしながら、カポを付けるなどの付随作業を考えます。そして・・・、伴奏を弾くことになります(笑)。いつもこんなことをしていたので、すっかり身に付いてしまいました。
 
本来はここで「右手のストローク・パターン」も解析してしまいます。「どういう弾き方をしているのか?」まで、覚えてしまいます。今回はそこまでは行きません。実は右手のストローク・パターンなんて、こと「伴奏」ならとても簡単なんです。でもそれが右手・左手の組み合わせになってしまうので、今回は取り上げませんでした。あくまでも「コードを拾えない初心者のための、ちょっとしたコツ」が今回の趣旨です。
 
未だに知恵袋では、トンチンカンなことを言ってる「ゆとり君」がいます(笑)。ギターが弾きたいなら、音楽の授業ぐらい、ちゃんと聞いて欲しいものです(笑)。文字にして説明するとメンドウですが、実際にやることはそう難しいものではありません。でも・・・「専門用語」がかっこよく思えるんでしょうね(爆)。「弾けてから覚える」ならなんてことないですが、「覚えてから弾けるようになる」頃には、名前すら忘れてます。バカだから、不良だからロックやフォークをやってたのに、いつのまにか「良い子」の集団になってしまいました(笑)。私のようなオバカチンでも、ギターは弾けるんですよ。うまいヘタは別として(爆)。
 
 
 
 
さて「下降フレーズ」「下降ベース」です(笑)。
「下降」があるということは、「上昇」もあるということですね。でもこと日本人は、この「下降」が大好きなんです。理由の1つは、「民族性」っていうことですね。その国その国によって、「スタンダードなもの」=「好まれるモノ」に傾向があるっていうだけです。別に「下降」が、日本にしか無いっていうわけではありません。
 
Loving You - Minnie Riperton
 
Room335 - Larry Carlton
 
どっちも皆さんに馴染み深い曲。慣れてきたのでもうパッと聞けば、同じだってわかりますよね。こういう曲は、いっぱいあります。
 
前回までの「下降パターン」の他に、「J-POPに頻繁に使われるパターン」があるとお話しました。メンドウなので(笑)、コチラを参照して下さい。
 
その1

その2

その3
 
ほんとに良く聞くパターンですよね。でもこれまた鬼の首を取ったかのように(笑)、「これはすごいだろう!」です(爆)。ようつべにはこういったおバカチン達が一生懸命作った動画がいっぱいあるので、見ていると楽しいですよ(笑)。実はこんなもん、捜せばいくらでもみつかるんですが。なぜなら・・・
 
「トライアド」=「三和音」によるダイアトニック・スケールからは逃れられない!
 
ノーマルに曲を作ると、ここから出て行くのはとても難しいんです。とすると、この「7つの和音+α」の進行で、ほとんどの曲が作られているんですね。そうすればおのずと「みんなが好む進行」が出てきて当たり前なんです。

 

 
これが、ダイアトニックです。前にも説明しましたね。いわゆる「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」=ダイアトニックの上に載せた三和音(トライアド)=「ピアノの白い鍵盤」を順番に抑えてスライドさせたものが、このダイアトニックです。じゃあ、黒い鍵盤は?(笑)
  

  
これ、ですね。この赤いところの音が、ピアノの黒鍵です。これを、ノン・ダイアトニック・トーンといいます。ちょっとかっこいい?(笑)。仰々しい名前ですが、要はピアノの黒い鍵盤です(爆)。上のダイアトニックには、登場してこない音の集まりです。赤いのが間に入るのが「全音」。赤いのが入らないのが「半音」。これの並びが「全全半全全全半」。音のインターバル=間隔ですね。これが判らないと、いわゆる「Key」=「調性」の原理がわかりません。こういうところを見て、学んでくださいね。私はメンドウなので、イヤです(笑)。ちなみに今回は出しませんでしたが、この上に「四和音」があります。

 

  
いわゆる「親戚」と書いていたコードが登場してきます。「メジャー・セブンス」や「マイナー・セブンス」ですね。ココまでくるとほんとに「理論」になってしまうので、避けてきました(笑)。 
 
前にも説明しましたが、「Key:C」にすると、ほとんどがこのダイアトニックの和音またはその親戚で占められます。そのコードの「並び方」さえわかれば、あとは「Key」が何なのかわかれば、おのずとコードは判明します。ただし、「音」そのものは聞こえるのに、「わかりにくいコード」もあります。
 
Junk - Paul McCartney
 
(笑)
ここのテーマ・ソングじゃありませんよ。ポールの名曲の1つです。ギターならではの「下降」を上手に使っています。逆に「上昇」をうまく使ってる例もあります。
 
Black Bird - Paul McCartney
 
これもギターならでは。開放弦を上手に使って、上昇と下降のコードが出てきます。ただどちらも初心者がトライしようとすると、難しいです。わかってしまえば、なんていうことはないんですが・・・
このポール・マッカートニー氏は「下降」の天才です。
 
Let It Be - Beatles
 
ほとんどが「下降」のみで作られています。これでもかっ!っていうぐらい下降します(笑)。
 
余談になりますが、なぜみんなが「ビートルズ」に夢中になるかというと・・・
 
「曲の作り方」
「和音の構成」
「ハーモニーの組み立て」
「音の組み合わせ」

 
ありとあらゆる「今ある音楽」の基礎になっているんです。最初に「Rock'n Roll」が生まれました。これの基本は「C⇒F⇒G」。いわゆる「3コード」の循環。3つのコードの順列組み合わせです。それに対して、元からあったPOPS。これは「C⇒Am⇒Dm(F)⇒G7」のような、オーソドックスな進行。これに真っ向から立ち向かったのが、ビートルズでした。でも今現在ある音楽では、ビートルズは普通に聞えます。なぜでしょう?。それは、
 
「ビートルズが作ったものが、POPSのスタンダードになっているから」
 
です。なので今のコには判り難いんです。すでに「ビートルズが作ったもの」は、あたりまえになっています。その中で育ってしまえば、「なぜビートルズがすごいのか?」など、判るはずもないんです。

ポールが「上昇・下降フレーズの天才」なら、ジョンは「単純コードの天才」。ほんとにビートルズって、バランスが取れてるんですよ。ポールの上昇・下降フレーズの原点は、「ベース・パート」であること。メロディーのカウンター・パートにベースがきます。ベースが「もうひとつのフレーズ」「もうひとつのメロディ」をつくるんですね。それに対してジョンは、何気ないコード進行で非常に美しいメロディを作ります。ジョンの曲で「コードが難しい」っていうのは、ほとんどありません。そのかわり、あっと驚くような意表を突いたコードを入れて、単純なメロディを際立たせます。ビートルズの頃には、その2人の考えがひとつの曲に混ざり合って、唯一無二の曲が出来上がりました。
 
話がそれましたね(笑)。
では今回は、「典型的な上昇フレーズ」の例を見ましょう。一番簡単な「上昇フレーズ」「上昇べース」のパターンは、既に皆さんは見ています。そう、ダイアトニックのまま進む進行だからです。
 
C⇒Dm⇒Em⇒F⇒G
 
これが基本で、バリエーションが出てきます。
 
C⇒Dm⇒Em⇒Dm⇒C
 
瞳を閉じて - ユーミン
 
Change The World - Eric Clapton
 
1人で行くさ - GARO
 
「動き方」が一緒ですよね?(笑)。これらはこの「行って、帰って」で構成されています。「上昇」して「下降」ですね。あとはバリエーションです。
 
C⇒Dm⇒Em⇒F⇒G⇒Am
C⇒Dm⇒Em⇒Am⇒F⇒G⇒C
C⇒Em⇒F⇒G
C⇒Em⇒Am⇒F⇒C⇒G⇒C
C⇒Em⇒Am⇒Em⇒F⇒C⇒G⇒C
C⇒Dm⇒G⇒C
 
「上昇」は、明るい曲調になります。でも日本人は「底ぬけに明るい」ものを、あまり好みません(笑)。これが人種です(爆)。同じ明るいのでも、「ちょっと憂いを帯びたモノ」を好みます。そこはかとなく、哀愁が漂うパターンですね。上記のオッサンが説明している「下降パターン王道」(笑)。実はこれの逆もあるんです。
 
F⇒G⇒Em⇒Am
 
♪だ〜れもさわれ〜ない〜 ふ〜たりだけ〜のく〜に〜
 
♪きみをだいてい〜い〜の〜 すきに〜なってもい〜い〜の〜
 

♪ふたり〜よりそぉ〜って〜

  
(笑)

どこにでも氾濫している進行(爆)。でも、すんごい多いんです。上のヤツより、はるかに多い使われかた。これは・・・
 
F⇒G⇒Am
 
これの進化形です。Emでワンクッション置いて、Amに突入。でも「F⇒G」では、音がはっきりしすぎていてリアル(笑)。「G⇒Em」も、ベース音がちょっと離れています。なのでここに、もうワンクッション置きます。
 
F⇒G(on F)⇒Em⇒Am
 
「G」を分数和音にしてしまうんです。「G/F」という音。「G」の性格を持ちながらも、Fの色を引きずっています。そしてベースが、
 
F⇒G(on F)⇒Em⇒Am
 
ファ⇒ファ⇒ミ⇒ラ
 
「ファ」と「ミ」は半音しか違いません。そこから一挙に「Am」=「ラ」へ。コードは「上昇」するパターンなのに、ベースは「下降からいっきに上昇」するというカタチです。コレを「キモチいい!!」って感じない日本人などいるのでしょうか?(爆)。
 
当然のことながら、マイナーの上昇もあります。
 
Am⇒C⇒Dm⇒E7
 
これはよく見ると、
 
Am⇒Dm⇒E7
 
この変化したもの。ベースラインが「ラ⇒ド⇒レ⇒ミ」と登って行きます。実際には「ラ⇒ド」の間に「シ」を入れると、もっとスムーズに進みます。
 
I Need You - Lynyrd Skynyrd
 
上昇も下降もそうなんですが、「近いところ」のほうがキレイなんですね。ポールの「Junk」は、半音で降りてきます。ツェッペリンの「天国への階段」なども、半音で降りてくる非常にキレイなパターンです。
 
天国への階段 - Led Zeppelin
 
これが1音で降りてくると、大胆に聞えます(笑)
 
恋人よ - 五輪真弓
 
どうです?「パターン」として聞くと、「他にも似てる曲」が頭に浮んでくるでしょ?
 
White sister - TOTO
  

   

  
さてさて、これで終りです。終りじゃないんだけど、止めます(笑)。際限なく続けられますから。でもね・・・
J−POPの曲って、もっともっと難しいからね。今回「例」として、半分は「オールディーズ」が出てきています。コードが複雑で、メロディーが複雑になって、「良さそうに聞える曲」は、わりと作り易いんです。ようつべで「鬼の首を取った人達(笑)」を聞けば、難しいけどよくあるパターンがわかったと思います。でも、「単純でキレイな曲」って、難しいんですよ。でも完璧に出来上がると、「スタンダード」になるんです。ロックの愛唱歌「ジョニーBグッド」(笑)も、3コードです。でも、みんな大好きな曲。こんなのイチイチコピーしたり、譜面を買ったりTAB譜を買うなんて、バカらしいじゃん。それともう1つ。
 
 
早く「曲」=「オリジナル」を作ってみたいでしょ?。それの役にたつのが、「月刊歌謡曲」です(笑)
「オリジナル」を作るのに、何もないところから作れます?。なにか「とっかかり」が無いと難しいよね。

そこで、「月刊歌謡曲」の登場です(爆)。
 
知らない曲の譜面から、「コード進行だけ」をいただいて下さい。そのまま使っちゃって下さい。できるだけ「知らない曲」のほうがいいんだけど、知ってる曲でもかまいません。その「コード進行」で、適当に鼻歌(笑)。ほ〜ら、もう「作曲」です。その貰った「コード進行」(笑)は、ちゃんと「始まって終わるカタチ」になっています。あなたが考える必要はありません。適当にフンフン歌って、録音してみましょう。そして、次です。
 
「詞」は書けますか?(笑)。これまた、難しいよね。じゃあ「月刊歌謡曲」から、「知らない曲の詞」を借りちゃって下さい。これはできるだけ「知らない曲」のほうがいいです。慣れてくると「知ってる曲」でもできるようになります。慣れてきたら、大好きな曲の「詞だけ」借りて、曲を作ってみましょう。今度は「知ってるコード大集合」です(笑)。知ってるだけのコードの知識を、総動員して作るしかありません。「コード」と「詞」を同時に借りるのは難しいですから。できたら、それを録音してみましょう。
 
さてこれで「2曲」できあがりました(笑)。でもどちらも「借り物」で、完成形ではありません。録音したモノを聞きながら、「フンフン・メロディ」(爆)に歌詞を付け、借りてきた「詞」には、自分の詞をつけましょう。もしそれが得意でないなら、「詞」は友達にたのんでみるのもいいでしょう。あなたが録音したものは「仮歌」。それを本チャンにしなければいけません。ただしそれを、全て自分ひとりでやる必要はないんですね。「バンド」という仲間がいれば、手伝ってもらえばいいし、任せちゃってもいいんです。
 
ウチのバンドはこの「仮歌」。「仮の詞にメロディが付いた状態」で、メンバーに渡しちゃうんです。曲の構成やアレンジは、メンバーにおまかせ。作った本人は、あまり細かく指示を出しません。「こんなカンジにして!」「こんなイメージ」っていうだけ。どんなイントロがついて、誰がどんな音のギターを弾くのか?(笑)。キーボードは、仮に弾いてもらいながら「ピアノ」「エレピ」「オルガン」等々、出して欲しい音のイメージだけ伝えます。ドラム・ベースのパターンもおまかせ。それぞれアイデアの出た人から発言し、アレンジが決まっていきます。そしてある程度のカタチが整ったら、江口大先生が細かい組み合わせを指示(笑)。全員の音を聞きながら、全員の意見が入った「大枠のアレンジ」を、「本アレンジ」にしてもらいます。それが決まった時点で、今度は本人達が自分の弾くべき「本パターン」を固めます。で全体像が見えたら、最終的に歌詞やメロを調整しながら曲を完成させます。早いと、1時間ぐらいで仕上がります。

前回レコーディングした「Holiday」という曲があるんですが(笑)、これがまったく、そのパターンで作った曲。私が作ってきた曲を、生ギター1本で江口クンに歌って聴かせ、コード譜を起こしてもらって、それをみんなに配ります。ざっと歌の部分をみんなで演奏しながら、曲の雰囲気を作ります。そこからアイデアのある人が手を挙げて、イントロ・間奏のカタチを決めて行きます。曲自体は「上昇パターン」を使ってます(笑)。私は「単純で明るい曲」がスキですから(爆)。で、ドンドン煮詰めていって、このイントロが出来上がりました。これ、作者である私は、このイントロには一斉口出ししていません。ギターのカットと江口クンが、あれこれ考えてくれたもの。ドラム・ベース・キーボードにも、作者である私は、口出し無し。最終的に出来上がりが見えてきたところではじめて、私が考えていた「1人ツインリード(笑)」をはめ込んでできあがり。ウチのバンドならではの、「4本ギター・サウンド(爆)」です。私が考えた部分は「歌詞」と「メロディ」だけ。あとはな〜んにも考えていなくても、メンバーが仕上げてくれます。でも・・・私が思ってるサウンド、そのものだったんですケドね(^O^)/

  

もうこれ以上は・・・ダイジョウブですよね?。「ギターを弾くこと」ではない、「音楽として切り口」から「コード進行」を見て聞いてきました。あとは、自分で捜して下さい。まだまだいっぱい「規則性」があります。コードの部分以外でも「ヒット曲の規則性」とかあったりします(笑)。学校で習った程度の音楽理論と、ほんの少しの楽器の知識だけでも、音楽はもっともっと楽しくなります。

実際には、もっと難しいです。めちゃめちゃ奥は深いです。ガチャガチャ弾いてるロックバンドより、J-POPのコードははるかに複雑です。何気ない曲が、たいへん美しいコード進行だったりします。

  

部屋とYシャツと私 - 平松愛理

 

雪の華 - 中島美嘉

  

こんな曲だって初心者じゃ、ちょっとやそっとじゃコードすら拾えないと思います。DTMでやろうしたら、「ロックバンドじゃ使わない楽器」もたくさん出てきます。「部屋とYシャツと私」を、「ギターの伴奏」に置き換えると、たいへん美しい音の並びになっているのがわかります。

 

部屋とYシャツと私 - 松浦亜弥

 

「雪の華」は私もライブで生ギターでやりましたが、とってもよくできてる曲です。でも3コードでロックンロールする人には、必要のないもの(笑)。どこまでやるかは、みんなの自由です。でも私にとっては3コードのロックンロールもこういった曲も、同じ「音楽」です。どちらも演りたいので、どちらもコピーし自分で学びます。わたしにとって音楽は、「国境」も「ジャンル」もありません。「どんな曲でも弾いてみたい」から、どんな曲にもチャレンジし、その結果、ちょっと小難しいことが判るようになっただけです。

  

「やり方」は、わかりましたよね。「同じような曲」を並べていくと、割と「見えてくる」ものです。その「同じような曲」を見つけられるようになれば・・・今回のことは卒業できます。どこまでやるのかは・・・自由です(^_^)v

 

 

 

では、また・・・

 

 

 

← BACK

inserted by FC2 system