Column 105


オーディオ・インターフェイスって、なぁ〜に?


今日は初心者にとって謎である(笑)、「オーディオ・インターフェイス」についてです。
いろいろなメーカーのものがあり、いろいろな機能が付いていますが、今日は一番単純なもので説明します。「最低限、これは付いてる」というもの。それと、「用語」です。実際に触らないと、「用語」と「役目」が一致しません。それと、「基本的な概念」が判りにくい物体です。そこをできるだけ簡単に説明します。
 
まずこれは「何をするものか?」というと・・・
 
■「入ってきた音」をデジタル処理する
 
■PCを使うことによって起きる「音の遅れ」(=「遅延」または「レイテンシー」と呼びます)を補正しながら、モニターするもの。
 
■「出てゆく音」を、アナログ処理する
 
■入力・出力の適正化を図る

  
これが大きな役割です。入ってくる「信号」=「音」はアナログです。インターフェイス以降、デジタル処理が始まるワケです。まあざっくり、「アナログ→デジタル」「デジタル→アナログ」に変換する機械だと考えて下さい。AD/DAコンバーターと呼ばれる部分です。
そしてその処理をPCで行うと、音が遅れ始めます。アナログ→デジタル→アナログになって、ヘッドフォンやスピーカーから音が出てきます。どう考えても、音が遅れてしまいそうですよね。でも一般に言う「レコーディング」は、その返ってきた音をプレイバックしながら、また音を重ねるわけです。なので、「聞いてる音」と「実際の音」が、あたかも同一線上にあるように処理しなければいけません。それを担うのが、このオーディオ・インターフェイスの役目です。まあ厳密に言えば、オーディオ・インターフェイスが動いている「ASIOドライバー」がそれを吸収してくれるんです。「遅延モニター」と「ダイレクト・モニター」の時間差を吸収してくれる道具なわけです。
なのでこれを使わずにPCでの作業は、ほぼできません。万が一できたとしても、良い音では録れません。PCに付いているジャックでは、入力のインピーダンスが違いますから。「そのPCで宅録するためのあらゆる機能」=「PCの音に関する機能」を受け持ってくれるのが、このオーディオ・インターフェイスっていうものなんです。
  
一番簡単で安い(笑)、私のEdiroll UA−20で説明します。

   

 
 
1.USBジャック
今はUSBの性能が上がってきたので、「USBしか無いもの」が増えています。実際には「IEEE」のほうが正確で速いため、ジャックが2種類ある機種もあります。これを選ぶ基準は、自分のPCにジャックが有るか無いか?になります。IEEEがあるならそちらでもいいし、USBしか無いならIEEEが付いたインターフェイスを用意する必要ありません。
 
2.MIDI IN/OUT
このUA−20は、「オーディオ・インターフェイス」でありながら「MIDIインターフェイス」の機能もあります。オーディオ・インターフェイスとして高級でないかわりに(笑)、MIDIの機能があります。高いオーディオ・インターフェイスにはありません。これがあると、外部シンセサイザーをMIDIキーボードの代わりに使ったり、外部のハード・シンセを鳴らすことができます。そういうことをしなければ、必要のないものです。必要であれば、別途MIDI・インターフェイスやMIDIキーボードで機能を追加すればいいです。これは「安いからこそ付いてる機能」です(笑)。
 
3.オプティカル・アウト
いわゆる「光信号」です。よほどシステムをキチンと組まない限り、必要は無いと思います。
 
4.LINE OUT
「外部アウト」です。通常はここに「モニター・スピーカー」を繋ぐことになります。ライン出力なので「プリメイン・アンプ→スピーカー」か「パワード・モニター」を使うことになります。ただ単に「スピーカー」を繋いでも鳴りません。私のモニター・スピーカーは「エディフィア」。安いけど、それなり(笑)。ここからの信号をアナログ出力として、別機器に録音するためにも使えます。
 
5.モニター・ボリューム
6.モニター・アウト

いわゆる「モニター」するための、ヘッドフォン・ジャックとボリュームです。DAW・入出力のいかんに関わらず、自分のヘッドフォンのボリュームを変えられます。
通常私のPCでは、「PCの音に関するもの」はここから聞えてきます。PCのオーディオすべてが、ASIOを経由しています。DAWもCDもようつべもiTuneも、すべてココから聞えます。なので元からPCにあるヘッドフォン・OUT、スピーカー・OUT、MIC・INなどは、すべて使えなくなっています。PCにおいては通常、IN・PUT/OUT・PUTは、1つの場所しか指定できません。「オーディオ・インターフェイスを使う」ということは、「他の部分をキャンセルする」ということです。初心者が陥り易いところです。「録音したものを、PCのスピーカーから出したい」−これをするということは、オーディオ・インターフェイスのモニター機能をキャンセルするということです。録音したものをモニターしたい場合は、オーディオ・インターフェイスのスピーカー・OUTまたはLINE・OUTにスピーカーを繋ぐ必要があります。ここを取り違えないようにして下さい。
 
7.INPUT
8.INPUT切り替え

ここから、外部の音を入力します。「8」の切り替えが「ライン〜MIC」で切り替えられ、間に「Guitar」というおちゃめなところもあります。で、本体真ん中にある「11」が、入力ボリュームになります。「入力信号」は、その強さ・大きさがモノによって違うため、適正な設定をする必要があります。私は「ギター」「MIC」「外部ミキサー」「シンセ」などを使います。外部ミキサーに音をまとめる時は「ライン」。外部ミキサーにMICを繋いでも、ここに入る時は「ライン」。まあ、いろいろ使うわけです(笑)。
  
9.モニター設定
前出の「ダイレクト・モニター」を使うのか、そうでないかえを決めます。宅録してなければ、ドライバーに負荷をかけるダイレクト・モニターを使う必要はないので、切り替えることができます。ASIOを使う使わないの設定ができます。
  
10.アドバンス・モニター
コレはONだとASIOを使い、OFFだとWindowsのドライバーを使う設定です。他のものでは、無いかもしれません。
 
 
 
これが、1つ上にランクに行くと「7」のINPUTが、キャノン=XLR・ジャックになります。私のはフォーン・ジャック。

 

これが現在の1つ上のもの。今は「EDIROL」の名前をやめて、「ROLAND」に統一しています。ファンタム電源が増えてたぐらいです。

 

こちらは「M−AUDIO」。これは「Protools対応」。なので動くドライバーが異なります。かなり簡素ですよね。でも基本的な機能は、ほぼ同じです。

 

 

大概の入力が、XLRとフォーンの同居しているジャックですね。そしてジャックの形状と共に、初段に入っているアンプが、高級になります。高級になるのと同時に、ファンタム電源が用意されます。コンデンサー/ダイナミックどちらのMICにも対応できるようになります。私は外部ミキサーにファンタム電源があるので、このインターフェイスには必要ありませんでした。「ファンタム電源」とは、コンデンサー・マイクを駆動するための電源です。
 
 
そして次に問題になるのが「IN/OUTの数」になります。普通は「2IN/2OUT」と表記されています。これは「ステレオIN/ステレオOUT」ということです。2チャンネルをバラバラには使えません。パラって、いわゆる「マルチ録音」するためには、「8IN/8OUT」のような、値段の高いインターフェイスが必要になります。ドラムをバラバラにしてバスドラ・スネア・タムをパラって、別チャンネルに録音するのがマルチ録音。これをするためには、「8IN/8OUT」以上が必要になってきます。そのためソフト・ウェアのドラム・マシーンは、この能力があり、DAW上でそれを再現できます。チャンネル数が多いインターフェイスは、当然値段が高いです。
 
たとえばUA−20のような「2IN/2OUT」を2台接続しても、マルチ録音はできません。これは「ドライバー」が対応してないとそのようには動かない、っていうことです。普通のDAW自体には、マルチ録音できる能力があります。でもそれはほとんどの場合、「ドライバーの能力」になるんですね。機械としてのインターフェイスが何台あってもダメなんです。
 
また「8IN/8OUT」のインターフェイスがあったとしたら、その8chの入出力を受けられる「外部ミキサー」が必要になる場合が多いです。外部ミキサーによるオペレーションがないと、意味が無いんですね。内部だけで済ませるなら、2OUTあればいいわけです。
なので一番それを安く再現できるのがProToolsのシステム。マルチ録音ができるミキサーがセットで売られています。このミキサーは、いわゆる「オートメーション」ができるタイプで、ProTools内で動かしたように、外部ミキサーのフェーダーも動きます。Cubaseでやろうとすると、DAW・インターフェイス・ミキサーを別途用意することになります。でなければ、ヤマハの02や01のような、かなり大掛かりな機械を導入しなければいけません。「録音」だけをパラって行い、その後の処理はDAW内で行うとしても、結局はミキサーも必要ですし、MICもそれだけの数が必要になります。「マルチ録音」は、それなりの出費を覚悟しないとできません。SM58+ケーブルを8セット用意するだけで、8万円かかります。
 
「モニター出力」に関しても、値段が上がってきます。これはいわゆる「AD/DAコンバーター」に関する部分です。これと「モニター・スピーカー」によって、「音」が決定されます。この詳しいことは「サウンド&レコーディング」等をご覧下さい(笑)。もう私には、理解できない部分です(爆)。メーカーによって「音が速い」(爆×100)。ワケがわかりません。素直に変換されて、アムクロンのアンプで増幅して、それなりのスピーカー・システムを組む・・・(泣)。ヲタクの友達・・・っていうか、プロの人はみんなやってますけど。ここの部分は、私は見て見ぬふりをしています。ココと「電源」「コード」に触れだすと、収拾が付かない、っていうか、お金がいくらあっても足りません(笑)。
 
MIDIに関しては、「入力用MIDIキーボード」を購入するとき、「USBのみ」「USBとMIDI」のものがあります。MIDI用インターフェイスが欲しい場合、「USBとMIDI」タイプを購入すると、使えるようになります。私は外部モノを多用するため(って、いっぱい外部音源があるから、使いたかったダケ)、同じくEdirollのPCRっていう入力用キーボードにもMIDI機能があります。その都度、セッティングによってどっちを使うほうが楽なのか、によって変えています。狭い部屋なので、INとOUTを別にしておくと楽な時もあります。
 

 

 
これが大体の「インターフェイスの役目」です。小さい筐体に、INPUTがいっぱいあったり、不必要な機能を削ったり、いろいろなタイプがあります。それは「自分でなにがしたいのか?」で、選ぶものが変わります。ただ単純にDAWで遊びたいだけだったら、UA−20で充分。必要充分な機能は付いています。でもコンデンサー・マイクを使うつもりなら、ファンタム電源があるインターフェイスを選んだほうがいいわけです。別に「専用電源」を買うと、高く付きます。でも「自分のやりたいシステム」が判っているなら、私のように「外部ミキサーにファンタム電源」って考えることができます。なにもミキサーは宅録で使うだけではありませんから。ほかにも使い道があって、ミキサーを買っただけです。「簡易なミキサー」は、3台所有しています。それは、自分で組んでみたいシステムがあったから。そういったものありきで、じゃあインターフェイスはUA−20でいいやん、ってなりました(笑)。
 
 
初心者にとって大切なのは・・・「値段」ですよね。次に「音質」

これ、当然ですが、高い方が音が良いです。とはいっても、この1万円程度のUA−20であっても、PCのヘッドフォン端子やスピーカーよりは、遥かに良い音がします。っていうか、本来この程度じゃないと困る音質です(笑)。いろいろなところでレビューを見ちゃうと、音の良い・悪いが書いてありますが・・・初心者は気にせず、安いのでいいです。Roland(Ediroll)・M-Audio・MOT・YAMAHAあたりなら、安くても問題はありません。初心者には聞き分けられない程度の音質です。ダメなのはツマミの無い簡易なヤツ。こういうタイプはダメです。役目が違います。これはカセット・テープやレコードの音を、PCに取り込むために作られた簡易なものです。従って必要な機能が備わってません。

  

  

このUA−20の機能が「最低ライン」だと思って下さい。その上での「値段」です。MOTなどには、内臓ボード・タイプもあります。専用のボードをPCに差し込むタイプで、音は良いです。ただし、別途ミキサーが無いと、とても使いづらくなります。なので1台目はUA−20のような外付けタイプの安いヤツのほうが扱いやすいです。初心者に良し悪しがわかる程度の音質のものは、そもそも売ってません(笑)。気にせず、自分の予算で買ってください。
 
「DAWとセットのインターフェイス」が扱いやすいのは確かです。取説もそれ専用に出来ていますから。でもASIO対応のものなら、ほとんどは動きます。私のUA−20はすでに、4世代に渡るDAWで動いています(笑)。ProTools・SONER以外なら、ほとんどASIO対応。ProToolsはM-Audioとセットだと、動かし易いです。ProToolsLEなら、M-BOXやMINIだとかなり安く、ProToolsにトライできます。昔はProTools Freeっていうのがあったんですけどねえ〜(笑)。
 
今オーディオ・インターフェイスを買おう!と思っているなら、ちょっと考えてからにして下さい(笑)。というのは・・・
予算目一杯でオーディオ・インターフェイスを買ってしまうと、「ヘッドフォン」が買えません。「モニター・スピーカー」=「パワード・スピーカー」も買えません。オーディオ・インターフェイスのみがあっても、DTM作業はできません。少なくとも「ヘッドフォン」に1万円。「パワード・スピーカー」にも1万円は必要です。最悪、スピーカーは無しでもいいですが・・・(爆)
 
ただしだからと言って、PCのオマケについてくるスピーカーはやめて下さい。これなら使わないほうがはるかにマシです。PCのオマケ・スピーカーや、ディスプレーに付いてるスピーカーの使用は禁止です(笑)。折角オーディオ・インターフェイスを付けたのに、わざわざ音の悪いモノを使っては身も蓋もありません。ヘッドフォン出力スピーカー出力も、ちゃんとオーディオ・インターフェイスから取るようにして下さい。「オーディオ・インターフェイス」は、「デジタルの音の橋渡し役」です。最低限、キチンとした音を出すための道具です。わざわざPCの安いチップの音を使う必要はありません。なので・・・安いとはいえ、そこそこのお金は掛かります(笑)。
 
 
現在のDAWソフトは、ほとんど「できること」は同じです。ProtoolsとSONERだけ、ドライバーが違うと思って下さい。MIDIの打込みと生録音。ソフトによる優劣の差は、「操作しやすいかどうか?」のほうが比重が高いです。高いソフトから、Freeのものまであります。そしてそのソフトの能力を引き出すのが、このオーディオ・インターフェイスの役目です。DTMするなら、オーディオ・インターフェイスが無いとできないと思って結構です。

  

DAWソフトとオーディオ・インターフェイスを揃えて・・・

  

Let's Rock!! (^_^)

 

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