column 38


エフェクター・インプレッション Part1


はじめに

 

 長い間に、ずいぶんいろんなエフェクターを使ってきました。ラッキーなことに、ほとんどリアルタイムで 手に入れて、使ってました。ここでは「私なり」の感想を残しておきたいと思います。できれば、みなさんが迷わないように(笑)。

 

音を「言葉」で説明するのはムズカシイですが、できるだけわかりやすく書くようにしますね。私が使ってきたものなので、基本的には「良い」製品です(笑)。もちろん、手に入れてすぐ、手放したものもあります。そういったものにも触れていますが、それは「悪い製品」という評価ではありません。あくまで「私には合わなかった」「私が欲してるものではなかった」だけです。どんなものでも、「使い物にならない」ということは、絶対にないと思います。少なくても「開発した人」「作ったメーカー」にとっては「ベストな製品」であったわけですから。

 

ただし、当初の思惑とは違った方向にいってしまったモノもあるし、ネットで見てると例のごとく、「ウワサ」に「ウワサ」が重なって、「古い機種」に対して、「過大な評価」がついてるような(爆)。その点についても、触れていきたいと思います。

 

 

BOSS OD−1 オーバー・ドライブ

 

私達の年代のミュージシャン、いや、プロもアマも全員使ったことがあると思います。そのぐらい「ヒット」した製品です。多分、「コンパクト・エフェクター」として、最初に爆発的に売れたもの。これ以前にも、いくつかの製品があったはずですが、どちらかといえばエフェクターは「邪道」あつかいされてました。そんな風潮の中で発売されたこの「OD−1」。あっというまに「世界制覇」してしまいました。

 

 

音色は「甘めのオーバー・ドライブ音」。「ディストーション」に慣れた人には、「物足りない」と思います。基本的に「フェンダー・ツイン・リバーブ」を、オーバー・ドライブさせたようなシュミレート音。だから、ギンギンに歪むものではありません。あくまでも「ナチュラルなオーバー・ドライブ音」って言うカンジ。「ツイン・リバーブ」に「GAIN」のツマミを一つ増やしたカンジ、って言えばわかるかな。

 

「シュミレート」っていっても「今のシュミレート」とは違います。OD−1単体でラインに送ると、わりと痩せた貧弱な音になるだけです。あくまで、「アンプに繋ぐ」ことを前提としています。「ギター」→「OD−1」→「アンプ」と繋いだ時に、「チューブアンプをオーバードライブさせたような音」というだけです。

 

繋いだ瞬間のファースト・インプレッションは、「音が柔らかくなるなあ〜」っていう感じ。どちらかというと「高域が足りない」感じ。これ、実は「低音」−「ロー」が持ち上がってるからなんですね。いや、この言い方も正確じゃないな。実際には、ギターにとって「美味しい音域」が持ち上がってるかな。今現在売っているエフェクターは「ハイ・ファイ」で「全音域」が持ち上がってくるのに対して、OD−1は「BOSSが考えたベストな音域」だけが上がってくる感じです。後述の「SD−1」もそうなんですが、「BOSSなりのチューニング」が、とても絶妙です。たしかに一度これにハマったら・・・「大好き」になっちゃうでしょうね(笑)。

 

このOD−1を「プリ・アンプのように使う」と言いはじめたのは、「イーグルス」の「ジョー・ウォルシュ」が最初だと思います。アンプの「GAIN」のツマミを一つ増やしたことにして、「ドライブ」ツマミを使わないやりかたです。「OD−1の音色を生かした、ブースター」って言えばいいんでしょうか。「ホ テルカリフォルニア」のギター・ソロがあまりにすご過ぎましたからねえ。そう言われると、信用しちゃうじゃないですか(笑)。かたや、「ドン・フェルダー」は「コンプの2台掛け」って言ってるし(爆)。これは・・・一世を風靡しましたねえ(笑)。

 

今このOD−1を欲しがってる人は・・・このやり方の「信者サン」・・・いっぱいいますよね(笑)。でも・・・「初代OD−1」って、約30年前の機種ですよ。しかも、言いだしっぺの「ジョー・ウォルシュ」(笑)さえ、ほんとに今でもこの「やりかた」を使ってるかどうかも・・・あやしい(爆)。

 

この「OD−1」を使うには、条件が2つ。「いいギター」と「いいアンプ」。それがあれば、かなり役に立つと思います。でもへんな言い方だけど、「いいギター」と「いいアンプ」があれば、必ずしもOD−1が無くても、あるいはOD−1じゃなくても、「美しいオーバー・ドライブ音」は作れるはず。

 

とすると・・・

 

たしかに今でも「現役のプロ」がこのやりかたで「使ってる」って言ってますが、それはこの「いいギター」と「いいアンプ」、そして長年に渡って「慣れ親しんだエフェクター」「使い方を熟知したエフェ クター」として足元にあるだけで、買いました、繋ぎました、いい音します、にはならないと思います。

 

「いいエフェクター」なのは、間違いないです。「名機」と呼べるものです。ただ・・・

ネットでの値段は、高すぎると思っています。ただ単に、マニアが「希少価値」で取引してるだけならいいんですが、「今使う 人」を巻き込むのはどうかと思います。たぶん、ガッカリするっていうか、「?」の確率のほうが高いんじゃないかな。ネジが黒だとか銀だとか、0000000番だから××年製で、日本製だとか(笑)。たしかに「いい音」出すには「いい機材」が必要だけど、「これ」だけでどうにかなるもんでもないのに・・・。 

 

ネジが銀色だったり、黒だったり・・・(笑)

 

 

この「プリ・アンプのように使う」「ブースターとして使う」といのは、いかにも「裏ワザ」っぽくて、「プロっぽい」んですけど、実際には私は「OD−1」は、「役目の終った機種」だと思っています。私は「OD−1」を盗まれたおかげで、なんの躊躇もなく「SD−1」に移りました。「OD−1」の時は、「OD−1」+「EQ」で使っ てたものが、「SD−1」なら1台で済みます。

 

実際には「OD−1」と「SD−1」は全然違う音でしたが、どちらかといえば世の中の音が、すでに「SD−1」のほうに傾いていたので、その時点でもう「OD−1」は私にとって、「必要のない機種」になったんです。今欲しいか?って聞かれても・・・いりません(笑)。これは、「OD−1」の悪口じゃありませんから。間違いなく「名機だった」って言ってるんです。今現在の私の「音作り」には、必要のないものだというだけです。だから・・・「OD−1」に高いお金を出すんだったら・・・他の機種をお勧めします。

 

懐かしの「ブースター」(笑)

私たちの年齢で「ブースター」というと、コレを思い出します。私も使いました。写真はベース用だけど、ギター用もまったく同じモノ。「For Amp」「For Guitar」と、アンプに繋ぐものと、ギターに繋ぐ2種類がありました。

 

BOSS SD−1 スーパー・オーバー・ドライブ

 

前出のOD−1に取って代わって「世界制覇」を成し遂げた、第二弾。OD−1に「TONE」が付いた。それだけで画期的な機種でした。ただ実際にはオペ・アンプが異なる為、全然違う音です。「チューニングの焦点」とでもいいますか、「狙っている方向」とでも言いますか。少なくとも「OD−1が普通に発売されている時」に出た訳なんで、「同じハズ」がありません。

 

中を開けると基本的に、「OD−1と同じ設計」というか、「OD−1の改良版」として作られたようです。この「SD−1」を「OD−1」に改造するのは、いろんなかたがやってますので、捜せばすぐ見つかります。いくつかの「パーツ」が異なるようなんですが、コレが「意図」したものなのか、ただ単に「パーツが無くなった」ものなのかはわかりません。ただ、おのずと「チューニング」が異なりますよね。その結果、「SD−1」は「OD−1の改良版」ではなく、「まったく新しいモノ」として、登場してきました。

 

 

音は、OD−1より「チリチリ」感のある音。OD−1のなめらかな、どちらかといえばボケた感触からす ると、もう少しシャープな音で、オーバー・ドライブとディストーションの中間、てな感じです。でもそれ が当時の「AOR」や「フュージョン」に向いていたんですね。

 

「OD−1」は音色が固定されていて、歪み具合だけを変えられるモノでした。でも、この「SD−1」は「TONE」が付いたため、「高音域を開放」することになったんです。それがこの二つの機種の「決定的な違い」を生むことになったんですね。

 

この「TONE」ツマミは、高域を強調するものではありません。ツマミが全開のところから、「削っていく」ものです。従って、低域の量はいつも同じにあって、そこで「高域の出具合」を調整するツマミです。

 

ただ、パーツの変更によるものなのか、「TONE」ツマミのせいなのかわかりませんが、「低域が押さえられてるカンジ」はします。実際に波形を調べると、そう違ってないはずなのに、「SD−1」のほうが、「低域のあばれ」が少ないような印象を受けます。あくまでも、「感覚的」なものなんですが。この「高音域の開放」によりハイがより伸びてて、「チリチリ」感 −「倍音の歪み」をカンジさせてくれるんだと思います。

 

「オーバー・ドライブ」って、必ずしも全帯域、低音から高音まで、まんべんなく出る必要はないんですよね。確かにギターは「太い音」が要求されるんですが、「バッキング」にまわった時、パワー・コードを弾いたりする時に、あまり過大な「低域」は必要ないんですよ。特に「アメリカン・ロック」なら。どちらかといえばそっちは、「BD−1」や「ディストーション」に任せて、「適度な音域」を出してくれるオーバー・ドライブ。私にとって「SD−1」は、その役目をするのにぴったりな機種でした。それと・・・。

 

「SD−1」をかませて、「ライン」に入れると・・・(笑)

 

ちょっとコンプで叩いて、中低域を補正してあげると、往年の「AOR」や「フュージョン」で流行った「ライン録りの音」になるんですねえ〜、これが(笑)。

実は今でも「この音」が好きだったりするんです(爆)。一時期「スタジオ」で、流行ったんです、この「ライン録り」が。なんで、手放せなくて困ってます。それと「ストラト」と「レスポール」を持ちかえる時、ほんの少しTONEを動かして・・・ってできるのは、精神衛生上、とてもいいですよね(笑)。

 

このSD−1は「今でも使える機種」だと思います。

私のような「アメリカン・ロック」タイプなら、今でも十分通用します。発売当時から考えれば、いくつかのパーツが代わっているとは思いますが、それを差し引いても「使える機種」であることは、間違いないことだと思います。もし私が今、コンパクト・エフェクターを足元に並べるとするなら、「SD−1」+「BD−1」+「ディストーション」にすると思います。この「SD−1」、ごくごく普通のトーンで、単純で、使いやすい(笑)。私は今でも・・・好きです(笑)。

 

 

Guyatone FS-5 WAH-FUZZ

 

写真、見る?(笑) 

 

 

私のは、現役です。しかも・・・発売当時に買ったもの。当時で9000円だとすると、今考えると、すごい高かったと思います。あんまり持ち出さなかったから、まだちゃんと動きます。「ワウ」と「ファズ」が入ってて、しかも「ファズ」は2種類入ってます。写真右はワウのみの「FS−4」。

 

もうね、「ファズ」っていったら、この音(笑)。ベンチャーズ・GS世代の人は、一度は通った道(笑)。もう40年前ぐらいの、「骨董品」。ただ、絶対的に「ファズ」の音。オーバー・ドライブなんて、まだまだずっと先のこと。だから「GS」の曲を聞くと、「この音」が入ってたりします。めちゃめちゃエグイ音。深いほうの音なんて、もう「音階が無い」(笑)。ジージーいってるだけ、みたいな感じ。だから今のマルチなんかに入ってる「ファズ」とは、ステージが異なります(爆)。

 

時々・・・「効果音」で使いたくなるんで、手放せません。それに比べると、「ワウ」は、ごく普通。多分「クライ・ベイビー」を模して作ったんで、全然、普通のワウの音です。「ワウ」はペダルの踏み込みでON・OFF。「ファズ」は下についてるSWでON・OFFと2音色切り替え。今あっても、全然不思議じゃない構成です。FUZZ ON、FUZZ TONE CHANGEという2つのフットスイッチと、 FUZZ DEPTH、BALANCEという2つのつまみがついてます。

 

 

高校生の頃、ライブやるときに使ったのは、憶えています。CSN&Yの「オハイオ」とか「サザーンマン」とかのギター・ソロで使いました。まだ、オーバー・ドライブは出てないかな、この頃でも(笑)。このあとぐらいに、MAXSONが、コンパクトを作り始めるはず。高校生のころは、「ブースター」と「ワウ・ファズ」しかありませんでした(笑)。

 

 

Guyatone DISTORTION PRO X-1

 

Guyaの隠れファン?(笑)

Guyaって、面白いもの、いっぱい作ってるからねえ〜(爆)

 

 

こいつは・・・回路が・・・「Proco RAT」と同じ(笑)

私が言ってるんじゃないよ。Guyaの人が言ってたの。あの頃、うちのカットがGuyaの人と仲が良くて、いろんなものが「試せた」んです。あの、「真空管内蔵」のヤツとかも(笑)。

 

たぶん「世界初」。真空管内臓エフェクター。何度か試したことがあります。

音は・・・(笑)。私は欲しくなかったです。

こちらは「RAT」。この「プロコ」の入っているほうが「使える」ほう(笑)。初代には入ってなかったハズ。

この「Pro X-1」、超隠れた名機です(笑) このコンパクトさで、「Proco RAT」(爆)

特に「TONE」が、「レゾナンス・タイプ」なので、多彩な音作りが可能。

この「レゾナンス・タイプ」っていうのは、単純に高音・低音をコントロールするんじゃなくて、ツマミを回していくと、「周波数のピーク」が移動していって、音色が変わるんです。「カット・オフ」じゃなくて、「バンド・パス」っていえばわかるかな?いや「ピーキング」っていうのかな?(笑)。

普通のトーン・ツマミは「ロー・パス」型。下げれば高音が削れていく。だから「全体のロー」に対して、どのぐらい「ハイ」を出していくか?って調整するもの。

それにたいして、こいつとかRATは、「トーンのピーク」をドコに持っていくかっていうタイプ。従って「ボリューム」と「ドライブ」を決めた後に「TONE」をいじると、まったく違う性格の「ディストーション音」になるし、安易に「TONE」を動かすと、また「ドライブ」−「歪みの量」を調整しなければいけません。歪みの量が同じでも掛かる帯域 − 強調される帯域が違うので、歪みの印象が、大きく変わります。だから「ボリューム」「ドライブ」「TONE」の3つを調整しないと、音が作れません。

こいつもRATも、「音作り」はムズカシイ。だけど、一旦使い方がわかると、強力な戦力になります。というのは・・・

シングル・コイルとハム・バッカーって、当然「出したい音域」も違うし、根本的な「音色」も違うよね。普通の機種は、「トーン」が一律にしかからないんだけど、こいつは、「それぞれ」に異なったセッティングが可能。

こいつの中古価格が3000〜5000円位。RATを買おうと思ったら・・・かなり安いでしょ?3000円だったら、絶対買い!!「見た目」もかっこいいしね(笑)。

 

 

Maxon & Ibanez

 

 

緑色の憎いヤツ?(笑)。「最新型」も出て、人気あるんだねえ。うちのすずやんも使ってる。でも・・・私、ダメなんです、こいつ(笑)。音が「拡散」する印象がないですか?だから「Char」さんのような弾き方をする人に人気があるのは、わかる。私は、ほんの一瞬でした(笑)。すぐ、売っちゃいました。

音が悪いとかじゃなく、「出音の印象」なんです。だからBOSSのBD−1あたりと併用するといいかも。全然、タイプの異なる音だから。あれ?すずやんもそうだっけ?(笑)。完全に「好み」の問題。これが好きな人は、OD−1、SD−1は嫌いだと思います(笑)。

 

こんなやつとかね・・・

 

イバニーズ唯一の名機?(笑)。チューブ・スクリーマーの愛称でみんなに親しまれています。コイツも・・・私はダメ。

 

しかも、880は箱を開けると・・・(笑)

 

 

私が「常用」した「オーバードライブ」「ディトーション」。意外と少ない?(笑)。

ほとんど「SD-1×2」から「SD−1+PRO X-1」だったから。そのあとは、「ラック」と「マルチ」に行っちゃうんで、単体の「コンパクト」は、ほとんど使用してません。今はなんか、いっぱい出てるんだけど「間に合ってる」から(笑)。そのことについては、「ラック・マルチ」の項目のほうで書きます。

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