第12回


 

Guyatone Lapsteel Model HG-96

 



出身地 日本


生息地 友人宅の物置
 

金  額 0円

 



こいつは・・・手をつけられない(笑)。まあ、「借り物」なので、当然といえば、当然なんですけど。


ただそれよりも、こいつの「歴史的価値」に、敬意を表してます。

 

こいつを「使える喜び」のほうが大切だと思っています。
 

 


製造は恐らくは昭和20年代、戦後すぐの頃だと思います。1940〜50年頃ですかね。

オールド中の、オールドですよね。確かにノブも欠けちゃってるし、裏蓋もはがれぎみなんですが、この
 
ままでいて欲しい、そんな気分にさせてくれます。多分パーツだって、今から見れば適当に作られたも
 
のかもしれませんが、当時の職人さん達の意気込みと、こいつを手にしたときのプレイヤーの喜ぶ顔
 
が、目に浮かぶようです。

 


もう、ペグも曲がってサビサビだし、あっちこっち塗装も剥がれてるけど、そんなの関係なし。交換すること

 

さえはばかられるような、「威厳」があります(笑)。

 

ラップ・スティールはその性格上、正確なフレットも必要ないし、アバウトに作っても、ある程度は使用に耐

 

えるものです。きっと、見よう見真似で作ったんでしょうが、それが逆に今となっては、「味」です。

 


特にこのピックアップ。シングルコイルなどという名前も無い頃に、作られたものだと思います。でも、使

 

えます(笑)。トーンがフルだと、たしかにシングルコイルの音なんですが、そのトーンを絞っていくと、「こも

 

る」というより、音が太くなっていきます。スレッジハンマーの「晴れた日は君と」のスライドプレイは、こい

 

つです。単純にオーバードライブをかけると、「キンキン」の音なんですが、そのままトーンを絞っていくと、

 

「いいカンジ」(笑)になっていきます。

 

 

当時は「東京サウンド」の名前を大きく出したまま、1つのブランドとして「GUYA」の名前を出してます。

 

この「金属カバー」は、「右手を置く台」になってるんですが、「GUYA」と「TONE」が改行されてます。

 

その下には「TOKYO JAPAN」の文字。やっぱりいいですよね。「誇り」を感じます。

 

このカバーをはずして、弦を交換します。

 

 

きっとこいつは、私みたいな使い方は、想定されてなかったと思います。

 

こいつの主な目的は、なんといっても「ハワイアン」。

 

一般的な「ハワイアン用」は、脚−スタンド付きですが、その廉価版として、こいつは生まれてきたはず。

 

やっぱり・・・ジャンクなやつですね(笑)。

 

 
 

もともと「Country」が好きな私が聴いていたのは、「ペダル・スティール」という機械的な機能が組み込まれ

たスティール・ギター。

それに比べると、ラップ・スティール、ハワイアン・スティールに対しては、どちらかといえば、懐疑的でした。

 

当時聞くことが出来たのは、「ハワイアン」と、ジャクソン・ブラウンの片腕、デヴィット・リンドレーの音だけ。
 


私が二十歳ぐらいの時、バイトしていたお店に「元ワゴンマスターズ」のスティール・ギター担当の人が来て・・・

 

最初は「眉唾」だったんですが、2回目にいらっしゃった時に、私が手にしてるこの「ラップ・スティール」とほ

 

ぼ同じようなものを、抱えて遊びに来てくれました。



!」



すごい!初めて目の前で弾かれた「ラップ・スティール」のワザに、目からウロコどころか、驚愕のワザの

連発でした。

「えっ?あの音って、そうやって弾いてたの?」の連続(笑)。すぐにも欲しくなったんですが、「新品」が売っ

 

てないどころか、中古もありません。しょうがないので、ギターを膝の上に寝かせて、弾いてました。
 


一度、そのすごさを知ってしまうと、今まで聴いていた「ハワイアン」が、急に「スゴイもの」に見えて(聴こえ

 

て?(笑))きました。特に今は亡き、「バッキー・白片」さんのプレイは、強烈!

 

ジャズを、平気で弾きこなすあのプレイ。以来、ずっと「欲しい楽器」の座に座ってました(笑)。

 

ヘッドには律儀に「モデル名」が入ってるんですけど・・・

 

資料が残ってるほうが不思議だよね(笑)。

 

 
 

ネックが太くて平ら。現在は「ワイゼン・ボーン」でも見ることができます。

 

「ドブロ」にもこの「ネックが平ら」なモデルがあるんだけど、日本では人気がないみたい。

 

 


もう、裏はボロボロ(笑)。友人のおじいちゃんが弾いてたらしいんだけど・・・バリバリ、使ってたんだ

 

ろうなあ〜。私がつけた傷は、まだ無いはずです。

 

 

 

 

このボロボロの「布」 の下は・・・ボール紙(笑)。しかも、「釘」で止めてある(爆)。できるだけ壊さず、でき

 

るだけ多くの人に見せてあげたい。ここを開けてみたい気もするんだけど・・・ぜったいムリ(笑)。できるだ

 

け、このまま、「オリジナル」を保っていきたい。

 

 

そしてこいつのおかげで「ハワイアンのチューニング」に目覚めてしまいました。やっぱり、どうしても、ハワ

 

イアンを弾いてみたくなる(笑)。で、一度その味を知ってしまうと・・・やめられない(爆)。「ハワイアンのチュ

 

ーニング」は、時代と共に、いろんなものが開発されていて、そこには先人達の知恵と汗の結晶があります。

 

今、私は「変則E6」かな。何もしなくても、ハワイアン(笑)。松田聖子ちゃんの「スウィート・メモリー」が、簡

 

単に弾けるチューニング。



ただ、こいつに夢中になってると・・・他のギターを練習しなくなります。なんせ、山のように異なったチュー

 

ニングがあるんで、それを試しては、「ポジション−スケールを捜す」の繰り返しになってしまいます。

 



日本では長渕剛さんのバックで、「村上律」さんが、デヴィット・リンドレー・タイプのプレイをしてます。って

 

いうより、まんま、デヴィット・リンドレー(笑)。移動の時、飛行機に乗る時も、「こいつだけは・・・」ってラッ

 

プ・スティールを抱えてる村上さんが、とても印象的でした。ちなみに、当時村上さんは、BOSSのオー

 

バー・ドライブをかませてました。



こいつを「弾いてる姿」は・・・カッコよくありません、というより、「説明しないと、わかってもらえない楽器」

 

の代表みたいなヤツですから(笑)。エイプリルのみんなは、ププレ・ボーイズの山内君のも見てるんでわ

 

かるけど、スレッジハンマーのみんなは、初めてのようで、興味津々のようでした(笑)。やっぱり・・・存在

 

じたいが、ジャンクなヤツ!(笑)。



欠点

コイツにそんなこと言ったら、失礼だよね。この「存在」=「歴史」だもん。


長所

姿・形がカワイイから、チョー人気者(笑)。どこに行っても、「それ、なんですか?」(笑)


説明する私の誇らしげな顔!(爆) なんとなく、わかるでしょ?


チューニングにしても、弾き方にしても、「ルールなし」の、楽しい「相棒」です。

 

 

余談

 

これが、「Lapsteel」を弾くための、七つ道具(笑)。

 

 

 

左側の太いヤツは、「ペダル・スティール」用。この金属の棒が4〜5000円もする(笑)。

 

細いほうの棒と残りのものは、「セット」もの。「ハワイアン・ギター」を弾くためのもの。

 

上の箱に入って、「セット売り」されてる。

 

右下の「曲がった金属板」は、どんなギターでも「スティール・ギター」にしちゃう、「魔法の

 

ブリッジ」(笑)。ギターのナットの上にかぶせて弦を張ると・・・あ〜ら、不思議(笑)。

 

ただ単に弦高を上げちゃうだけなんだけど、練習には最適。よく考えたねえ〜、こんな道具。

 

 

こんなモン、ドコに売ってるのか?って(笑)。これはねえ〜・・・

 

あなたの街に、「三味線」とか、「大正琴」とか売ってるお店、ない?(笑)

 

ちょっとした街なら、必ず1軒はあるでしょ?そんなお店。そこなら・・・売ってます(爆)

 

 

余談 2

 

今現在、「GUYA」−「東京サウンドのHP」は、更新中(工事中)なんだけど、

 

ほんのちょっぴりだけ、「資料」らしきものが・・・

 

まだ、小さくて見にくいけど、こいつと「同じようなもの」がチラホラ・・・

 

 

「GUYA」さん、がんばって「資料」を捜してアップして下さいな。

 

コイツだけじゃなく・・・「ワウ・ファズ」も、持ってる私です(笑)。

 

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