Report 003


Dooさん’s Report 03


韓国Guitar事情 Part4

 

最初に韓国の物価なんですが、色々な文化や事情が違う国の物価をGDP等で一からげに比較しても,

実際の生活水準は見えてきませんよね?。なのでとても難しいのですが・・・

乱暴に言ってしまうと「日本で月給20万円貰っている人と、韓国で月給20万円(265万ウォン)貰っている人の生活水準はほぼ同等」と考えていいかと思います。少し古いですが、こちらの質問に対する回答が判りやすいかな。

 

ソウルの物価

自分が見聞きしてきた方達にもあてはまります。もちろん交通費が日本より安いだとか、自国産の農産物がかなり高いだとかいう個別の差はあります。そう考えて見てみると、韓国人にとってはギターはちょっと贅沢な趣味の物になるんじゃないでしょうか?。まぁ、1ドル70円台が固定しつつある現在、日本のギターが安すぎるという気もしますが・・・。そういえば韓国の練習スタジオ事情は全く知りません!。カラオケは町中にありますが^_^;そのうち誰かに聞いてみましょう。(注:韓国練習スタジオ事情は、私がメールで質問しました。)

楽器屋なんですが・・・。東京って同じ業種の店舗が集まった所がいっぱいありますよね?。電気なら秋葉原・古書なら神田・厨房用品なら合羽橋だとか色々。ソウルもこの傾向が相当強いです。その上、同業店舗が多く集まると行政だか大手資本だかがでかいビルを建てて、その中に同業店舗を集めるといった例も多いです。楽器屋にもこれがあります。観光スポットとして有名な仁寺洞(インサドン)エリアに楽園洞楽器商街というどでかいビルがあって、この中に個人の露天商規模のものから専門楽器店や総合楽器店、更には一部メーカーの事務所まで入っているようです。自分も行ったことがありますが、特に2階は通路の両脇に所狭しと楽器を並べている個人商店的が、隣との仕切りもない状態で延々と並んでいて壮観です。フリーマーケットの雰囲気が整然と並んでいる感じと言えばイメージしやすいでしょうか。また資本のある店舗はこのビルの周辺に自社ビル建てたりして、この一角が楽器街てな感じです。ちょっと古い記事ですが、観光案内のサイトにこちらの紹介がありました。
 
楽園洞楽器商街
 
ソウルではここ以外にも、例えば弘益(ホンイッ)大学前(通称・弘大入口)にはクラブやライブハウス(韓国ではライブカフェですね)や小劇場が多くあり、音楽や演劇の発信地になっていますが、ここにも何件かの楽器屋がありますし、こういった場所にとらわれず店舗を出している店もあります。

楽器の呼び方ですね、韓国語の発音をカタカナで表記しようとすると無理があるのですが…

レスポールは「レスポル」

ストラトは「ストゥレッ」

テレキャスターは「テルレケスト」


うーん、やっぱり無理があります…(-_-;)

そのうちどこかの韓国料理屋の店員にでも発音してもらってください^_^;
 
あとは大いにウケてしまった「フェンダーチャイナ」ですね!
実は韓国人はとってもブランド品が大好きです、日本人に負けず劣らず^_^;。その上ギターに関しては日本と同じく、自国製よりも他のアジア製は劣ると考えているようです。なので輸入代理店がフェンダーのモダンプレイヤーシリーズについて「中国製のフェンダーですよ」と産地表記をつけて分けているだけで、ブランドという訳ではないですね。それをショップの方で勝手に「フェンダーチャイナ」と表記しているようです。ちなみに韓国ブランドのギターも詳細ページで「どこどこ製」と表記しているショップが多々あります。ラフに流してきましたが、質問があったらまた言ってください、分かることだけお答えします^_^;
 
さてさて、「韓国のギターメーカーを色々と見てみよう」ですが…苦労しています(-_-;)

検索の仕方が悪いんでしょうか、思うようにヒットしなくて…それでも何とか10以上のサイトを見つけました。

まずは一番テレキャスターを多く見つけた「Swing」のサイト。

Swing

こちらは韓国語と英語が選べます。サブブランドの「Smash」「Rush」もリンクしています。About usからFactory tourを選択すると韓国工場とインドネシア工場の動画を見られます。残念ながら韓国工場はアコギの製作風景のみで、エレキ製作風景はインドネシア工場の方です。インドネシア工場ではNCは導入されていないですね、型に合わせてルーターやベルトサンダーで加工しています。

Dexter

会社紹介のページがないんですよ(-_-;)会社住所が先に紹介した楽園洞楽器商街3階というくらいですかねぇ。

Kawasamy

こちらも会社紹介がなく、Dexterのページと似ているなぁと思ったら電話番号が一緒(^^)つまりDexterのサブブランドでしょうね。

Samick

もともとはピアノメーカーみたいですね。ドラムなんかも作ってるしヤマハみたいなイメージ?でも現状では自社ブランドギターには力が入っていないようで、ギターについて見ようとするとショップのページに飛ばされてしまいます(-_-;)品数も少ないし…いくつかの海外メーカーの輸入代理店をやっているのかな?って感じです。

Corona

こちらもFactory tourで動画と写真が見られますが、アコギオンリーです。商品ページにミラー貼りのテレキャスターがあるので見てみると、背面写真の弦通し穴がガタガタ(-_-;)ちょっとNGですねぇ…

Roxy

会社紹介を読むと「楽器専門流通のために設立された法人です」と書いてあります。微妙な表現ですねぇ〜?でも自社ブランドで商品は紹介されてるわけで…製造はOEMなのかな?テレキャスターのRT-300見るとMade in Koreaです。

Acepro

こちらも英語が選択できます。会社紹介を見ると「本社は韓国だが中国に生産工場を持ち…2010年からはインドネシアの工場と契約した」と書いてあります。こちらもテレキャスターの詳細写真見ると弦通し穴が…(-_-;)

Dame

1998年に韓国で最初にギター通販を始めた会社だと書いてあります。テレキャスターがないので…

Spear

こちらも会社紹介がないんですが、基本的にアメリカターゲットな気がします。サイトもほぼ英語オンリー。最近ヤフオクで韓国ブランド「Spear」のギターをせっせと売ってらっしゃるショップさんがありますねぇ

Gilmour

詳しいことがイマイチ分からないんですが、真面目に作ってるメーカーなイメージがあります(^^)

Kraken

こちらも右上にEnglishとあるのでクリックすると英語に切り替わります。一番の売りはカスタムオーダー、CHECTERみたいな感じ?基本的にオーダーを受けて作る会社ですが、サブブランド的に定番商品を出しています。それがKraken Highendとして紹介されている「Nexter」「Legion」「Hero」「Flagman」「Janus」「Chiu」「Champ」「Acoustic」テレキャスターがあるのはNexterだけで、結構いい感じなんだけど…ロゴがダサいと感じるのは自分だけ?^_^;

Moollon

こちらがメーカーのサイト、英語もあります。彫金されたトップを貼ったテレキャスターなどカッコいいんですが…とてもとても手の出る値段じゃありません(-_-;)

 

About Moolln

ここはコルグの扱っているエフェクターの紹介でMoollonについて説明しています。

Alden

ん?AldenギターのサイトのはずなのにMinistarの表示が…そういえば前にネックだけのギターがあってあれがMinistarだったような…イマイチ良く分かりませんねぇ…Alden USAのサイトは別にちゃんとあるので、この会社Muse R&D inc.がAldenをの商標を買ったと見るべきですかねぇ?

一応、ここまでがいわゆる「メーカー」と言っていいかと思います。ここからはガレージメーカーって言うんですか?見てもらえばわかると思います。

Willows

トップページをスクロールするだけで分かって貰えると思いますが、製品はもちろんボディ・ネック・その他パーツのバラ売りで見てるだけで楽しいですねぇ(^^)

 

willowsguitar.com

こちらがそのオンラインショップです。テレネックが22万ウォン、ボディが17〜33万ウォン、完成品のテレTwigが55万ウォン、いい感じじゃないですか(^^)

Reedox

こちらは圧倒的にキルトトップのストラトです。あまりないカラーリングが多いので見ているだけで楽しいんですが…それなりのお値段^_^;


こういった各社のサイトを調べてきて思ったのは「サイト自体作られたのが比較的新しいなぁ〜」「最近あんまり更新されてないところが多いなぁ〜」といったところ。

で、「Swing」の会社紹介をみると韓国のギター業界の現状が垣間見えるのでちょっと訳してみると…

「(略)韓国は80年代以後海外メージャーブランド達の主要生産基地としての役目をし、最近まで全世界でエレクトリックギターを一番多く生産する国の一つとして数えられています。海外市場で韓国産ギターは安い価格に比べて高い品質を認められきてはいるが、"Made in Korea"という名前はまだ、ただ安いから使うギター、初心者の使うギター、いつかは米国製に持ち替えるギターとして扱いわれているのが事実です。韓国で輸出されたギターたちの大部分は主に海外ブランドからのOEM注文方式によるものだったし、OEM生産の受注は国内ギター製造業社たちの成長あるいは衰退に大きく影響してきました。このような環境の中でもSwingは既存の国内企業等とは違う観点と独自ブランド育成という確固な目標を持ってギター製作を始めるようになりました。SWING Guitarsは2001年10月創立以後、SWING Custom Shopを通じて持続的に国内外多くの演奏者たちの注文によるカスタムギター製作をして来ました。カスタム注文製作のノーハウを利用して生産された多くの種類の量産型Swingギターたちは発売開始後常に演奏者たちから好評を受けて来たし、特に自社製品に対するA/S業務と一般リペア、改造作業などの業務を通じて信頼を積んで来ました。(略)Swingは国内市場での成功を土台に2002年からNAMM、Musikmesseなどの国際楽器展示会に参加して、今までヨーロッパと北米市場を主としてOEMではない'Swing'という自社ブランドで輸出する成果を作り出しました。海外バイヤーたちからOEM生産に対する要請もたくさん受けたが、自社ブランドで世界市場に進出しようとする最初の計画をいまだに一度も変えたことがありません。いまだに国内業社たちの海外輸出が大部分OEM輸出なのを考慮したら、Swingが最近何年の間に作り出した成果(100%自社ブランド輸出)は国内業界では非常に驚異的な記録です。(略)」

こんな内容です。韓国のギターメーカーはやはりアメリカ・日本からのOEM生産によって成長し、その受注量によって盛衰が左右されてきたようです。

もう一つの例なんですが、以前唯一シンラインを作っていた会社「Fine」のサイトがどうしても見つからないのでショップの製品ページをみたらこんな記載がありました。


「皆ineコーポレーションは1994年に設立されたエレキギター・エレキベースを生産輸出する専門楽器会社…設立2年後には輸出300万ドル達成し国務総理表彰を授与…現在は年間5万台の生産能力を持ち、Fine独自ブランドでの輸出も開始…」そして他のショップのQ&Aで見つけたのは「このブライアン・メイモデルのギターはかつて韓国のFineで作られていましたが、Fineがなくなった今は…」と記載されています。

他のサイトも見ても感じたのですが、どうやら2000年前後辺りにOEM受注が激減したようです。多分、中国やインドネシア等へ注文が流れたせいだと思われますが…この時期を機に韓国のギター業界の再編が始まったようですねぇ。それから韓国のギターメーカーも国内市場に目を向け始め、また海外にも独自ブランドとして売り出すことを目指した、という印象です。いずこも製造業の現場は厳しいって現実ばかりですねぇ〜(-_-;)

国内市場に目を向けるにあたっては、各メーカーともとにかくカスタムオーダーを重視してきたようです。その中で量産化の基礎を築いたと各メーカーが結構強調しています。これはOEM受注の流れを汲んだものでしょうね。
OEM受注の流れを汲んだといえばもうひとつ、「トップ貼り」でしょうか。多分OEM受注メインの時代に仕事を覚えた職人さんたちは「安い材のボディに綺麗なトップの材(又はフィルム)を貼って仕上げる」技術を叩き込まれたのではないでしょうか?その経過と、韓国人の美しい木目好きな性向が相まって現在の流れになったのかと。もちろんテレキャスターで言えばアッシュやアルダーの単板製品もありますが、圧倒的にトップ貼り製品が多いですもんね。
あと、各メーカーのサイトで過去に日本の販売店と代理店契約を結んだところがいくつかあったのですが…いずれも今はリンク先がないような店でした。日本で韓国ブランドのギターを売るのがよっぽど難しかったのか、はたまたベンチャー的なチャレンジだったのか…それを思うとヤフオクでSpearのギターを売っているショップさんには頑張って欲しいものです!もっともSpearのギターで韓国製はごく一部で、殆んどはインドネシアやベトナム製のようですが。

もう一つ、先日知人から「多弦ギター好きの間では韓国ギターがかなり評価されているらしい」との未確認情報を聞きました。多弦ギターと言えばヘビメタ系ですかね?自分は詳しくないので、どこのメーカーのどんなシリーズか…興味湧きますねぇ(^^)


と、こんな風にあれこれ調べていたら当初探していたギターにヒットしてしまいました!

ダブルfホールにピエゾのエレアコテレキャスターです(^^)v

我慢できずに買っちゃいました!!!

こちら近々ご報告いたします。

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いいなあ〜(笑)

面白さ、満点ですよね。

実際韓国では、もっと安いんじゃないか、とみんな思ってるはず。

なのに、そんなに安いわけではなく、なおかつ我々の知らないものが満載。

さて次回は・・・

乞うご期待!!

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