Report 05

Zoom MS-50G Report


さてさて、Randyさんの「MS-50G」実戦レポートです。そんじょそこらの「弾いてみた」とはワケが違います(笑)

「MS-50G」購入予定のある人は、じっくり読んで下さい。

ではでは・・・

 

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Part 1

 

Randy伊藤です。

昨日ZoomのMS-50Gを買いましたが、HPで記事にされているのを拝見してメールいたしました。

自分の購入目的は、現在使っているG2Nuから残響系を切り離し、ボリュームペダルの後ろに移動したいと思ったからです。
G2Nuはコンプ、オーバードライブ、トレモロ、フェイザー、コーラスなどのコンパクトエフェクターの集合体として使い、ボリュームペダルの後ろにアンプシミュレータ+ディレイやリバーブといった残響系としてMS-50Gを使おうという目論見です。

システムに組み込むのはまだこれからですが、とりあえず触ってみた感想を報告しますね。
・ヘッドホン端子が無い(モノか左右独立のステレオのみ)のが不便。
・電源は単3電池2本、9Vアダプタ、USBバスパワーのどれでもOK。電源の種類によるノイズの差は感じません。
・フットスイッチ以外のスイッチやツマミ類は小さいのでライブ中の操作は困難。
・ライブ中に特定のエフェクトをON/OFFするモードにするとパッチ切り替えができないし、切り替えるエフェクトを選ぶ操作は足ではできません。
・パッチのエディット操作はちょっと大変、全然分からないって程ではないですが、少ないボタン・ツマミに詰め込みすぎの感が…
 ここはEdit&Shareが欲しいです。G2NuではPCにバックアップが取れるぐらいと思ってましたが、MS-50Gでは喉から手が出るほど欲しいですね。
・Zoomから最新のEdit&Shareをダウンロードして、アップデートしてみましたが、50Gは全く認識されませんでした。
・ちなみにMS-50Gは単に「USB Composite Device」として認識されます。
・パッチは全部で50個作れるけど、フットスイッチ一発で切り替えられるのはA~Zのアルファベットをふった分だけ、つまり26個まで。
・フットスイッチによるパッチ切り替えはアルファベット昇順のみ。つまりパッチを20個登録した場合、一つ前のパッチに戻るには19回踏まないといけない。
 (頻繁に戻る基本のパッチを数個おきに配置すれば対策は可能だが、使えるパッチ数は当然減る)
・同一のパッチにアンシミュとHD Hallリバーブを入れるとエフェクト同時使用数が3個(つまりあと一個)に制限されます。
 その「あと一個」にアンシミュとHD Hallは選べません。
・ノイズはまぁまぁ少ないです。コンプのスレッショルドやODやアンプのGAINをガバッと上げなければZNRは不要でしょう。G2Nuよりは確実にローノイズです。
・この価格・サイズで揺れ系やディレイのタップテンポができるのは凄い、でもタップテンポとチューナーが排他選択なのはNGD。どっちもライブでは重要ですよね。

ファーストインプレッションはこんなところでしょうか。

音は全体的にG2Nuよりワンランク以上アップしていると感じました。
ローノイズなためコーラス、フランジャーのクリアさやディレイ・リバーブの残響の自然さが際立って聴こえます。
またアンシミュがとてもリアルで、これに比べたらG2Nuのアンシミュは「それっぽい音がするOD」レベルです。
ギターのボリュームに沿ってクランチーになっていく感じやトーンの効き具合、キャビネットによる音の変化のリアルさなどには舌を巻きます。
アンプはFENDER系の明るい音、VOXのベチャッとした感じ、GAINをあまり上げないMarshallのクランチが気に入りました。
キャビネットはBassmanの10'×4の締まった低音がテレキャス向きでいいですね。

総合的にはちょっと微妙な感じでしょうか。
価格は安いし、音はイイし、コンパクトさもイイんですが、操作性が機能にまるで追い付いていません。
せめてG2Nuのようにフットスイッチ2個は欲しかった。
音やエフェクトの種類、スペックでは完全にG2Nuを超えているだけに操作性の悪さが残念です。
いっそのことフットスイッチや金属製のケースを排して、譜面台のようなスタンドに置いたり、ストラップに括り付けるなど、手で操作するスタイルを模索してくれれば面白かったのに、と思います。
完全にセットリストが決まっているライブなら、使う音を順に並べるという事も可能ですが、私の場合はそうもいきません。
普段のライブでもG2Nuで20個程度のパッチの切り替えはしますからねぇ。19回もスイッチを踏むのは勘弁して欲しいです。
CDRに機能を絞った版なら、基本のリバーブにディレイの有無やコーラスの有無程度でパッチ数が少なくてもライブなら有効に使えそうな気がしますし、
Bluetooth版なら操作性の悪さを解消できるのかもしれません。そういった意味ではCDR版やBT版を待ったほうが良いでしょう。
価格が安いと言っても2個買ったらG3より高くなります。ベース版を除いた3種類を全部買ったら、G5が買えますね…だったらG3/G5を買ったほうがいいでしょう。
このシリーズだとヘッドホンが使えませんし、USBオーディオインターフェイスにもなれません。

なまじマルチで、かつ価格以上の多彩さと音の良さがあるだけに、ちょうどいいはめ込み方が難しいですね。
単機能で使うにはもったいないし、欲張ってマルチで使うには操作がダメ。まさに帯に短し襷に長し…といったところでしょうか。
柔軟性が失われた私の脳細胞では、いい落としどころが見つけられませんので、とりあえず当初の予定通りに使ってみるつもりです。
ライブで使ってみての感想などは、また改めてメールしたいと思います。

支離滅裂な文章ですみませんが何かの参考になれば幸いです。
何か試して欲しいことなどありましたら、お気軽にご連絡くださいね。

 

 

Part 2

どーもです、randyです。

さて今回はMS-50Gを実際の演奏で何度か使ってみましたので、その感想プラスアルファなどを書いてみたいと思います。
また例に漏れず長文ですがお付き合いのほどを…<(_ _)>

私の場合はG2Nuとの組み合わせでしたが、結論から言えば、残念ながらこの組み合わせでは有効な使い方を見出すことができませんでした。
2台の組み合わせとなると、当然ながら前の方はコンプ、OD、ディストーションなどのダイナミック系を中心に受け持つ事となり、
後ろの方は残響系を中心に受け持つ事となります。MS-50Gを前で使っても後ろで使っても「音はいいけど使いにくい」というのが結論です。

どちらの場合でもMS-50Gのパッチ切り替えの不便さが不自由に感じますので、これをいかに克服するかがポイントになります。
MS-50Gを前で使う場合は、コンプを使ったクリーン、アンシミュを生かしたクランチ2種、更に歪みの強いドライブ2種、にバイパスを加えた6個のパッチとして、残りを全部G2Nuに任せる形に落ち着きました。

MS-50Gを後ろで使う場合にはディレイやリバーブを中心に5個のパッチを作って、その他を全てG2Nuで行うことにしました。

結果としては、どちらのパターンでもフットスイッチの踏み変えが複雑になっただけで、満足できる効果を得られたとは言い難いです。

例えばMS-50Gを前に使ったとして、G2Nuでコーラスとディレイとリバーブを掛けたとします。
MS-50Gを踏んでクリーンからドライブサウンドにしたときに、G2Nu側のコーラスとディレイとリバーブの設定がクリーンと同じでいいのでしょうか?
例えばドライブサウンドにコーラスを掛けると音抜けが悪くなるのでイコライザで調整したいですよね。
コーラスのパラメータも前に合わせて変えたいし、ディレイやリバーブだって同じでいいはずがない…と感じます。
単独のコンパクトエフェクターなら、曲の合間にちょっとしゃがんでツマミを弄ることも可能ですが、G2NuもMS-50Gもそのようには設計されていません。
結局G2Nuのパッチ数が増え、フットスイッチを踏む回数が増える結果となりました。
前後を逆にしてもまた然りです。
結局はマルチ2台をどちらもマルチとして接続したからですね。マルチなら1台に統合して全部パッチにしてしまうべきです。

今回のパッチの組み換え作業やバックアップには、G2NuではEdit&Shareが大活躍でした。
是非MS-50Gでも使えて欲しいですね。これもG5>G3>MS-50Gという差別化の一環なんでしょうかね。
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ではMS-50Gはどのように使うのがいいのでしょうか。私が弄ってみて思いついた用途は2つです。

一つはいろんな物になれるコンパクトエフェクターです。
一個でトレモロにでもコーラスにでもフランジャーにでもフェイザーにでもピッチシフターにでもディレイにでも…トランプのJorkerのように何にでもなれるのですから、普段オーバードライブ一個しか使っていないプレーヤーの「次の一個」としてはイイと思います。
それが1万円以下で買えるとなれば超お買い得でしょう。

もう一つは演奏中にパラメーターを変えられるコンパクトエフェクターです。
例えばオーバードライブのGAINを0から20刻みで100まで変えた5個のパッチをアサインしておけば、演奏中にリアルタイムでGAINを可変させられるオーバードライブペダルになるんです。オーバードライブだけでなくディレイでもコーラスでもなんでも応用が利きます。
たまにプロミュージシャンのペダルボードで同じエフェクターをパラメータ違いで2個並べているのを見たりしますが、それが1個で可能になります。

ということでやはりMS-50Gはコンパクトなマルチエフェクターではなく、マルチなコンパクトエフェクターと見るべきでしょう。
 ・タップテンポができていろんな種類がある多才な揺れモノ
 ・タップテンポができるディレイ
 ・高品位なデジタルリバーブ
 ・インテリジェントピッチシフター
 ・いろんな歪みが出るオーバードライブ&ディストーション
 ・JCをフェンダーやVOXやマーシャルに変えてくれるアンシミュ
その他アイデア次第で何にでもなれるし、しかも演奏中にパラメータも変えられるコンパクトエフェクターがこの価格と考えればとても魅力的です。これは以前ときた様が仮称「G1」と予告したものに近い姿ではないでしょうか。

使い方のコツはとにかく欲張らないこと。
機能があるからといって入口から出口まで全部を一台で済まそうとしないことです、欲張るとすぐに操作で行き詰ります。
MS-50Gの「マルチ」の意味は、「全てを賄う」マルチではなく、「何にでもなれる」マルチです。
言わばどこのポジションでもこなせるマルチプレーヤーのマルチです。
マルチプレーヤーがいるからと言って、一人では野球やサッカーはできません、あくまでチームの一員です。
音楽でもドラムもベースもギターもボーカルも何でも上手い人がいても、一人ではバンドになりませんよね。
でもバンドのメンバーに、ギターだけでなくキーボードも弾けて、サックスも出来て、ボーカルもできるみたいなマルチなプレーヤーが一人いれば、とても有効です。
MS-50Gにはそんなポジションがピッタリです。

そのことに気付いたので、MS-50Gはコンパクトエフェクターのセットに入れました。
今まではコンプ→オーバードライブ→グライコ→トレモロ→コーラス→ボリュームペダル→リバーブ&ディレイと並べていましたが、
オーバードライブ→MS-50G→ボリュームペダル→リバーブ&ディレイにしました。パッチは間に良く使う基本の音を繰り返し挟んで16個アサインしてみました。
MS-50Gの分担はコンプ、トレモロ、コーラスなどの揺れ系、アンシミュ、調整用のイコライザと言ったところです。
前段のODはGAINを下げてLEVELを上げて、アンシミュをブーストするのに使っています。これで各パッチにブーストON/OFFの2バリエーションができます。
コンパクトだけの時に比べてバリエーションも増えて、音質的にも細かな追い込みが出来てかなりグレードアップできました。
ボードの中のおさまりも良く、1個〜3個程度のコンパクトを代用するには操作感もなかなかで、やはりMS-50Gはこういう使い方が合っているように思いました。
最大6個まで同時使用ができますが、メインは1〜3個ぐらいに抑え、残りは補正用のイコライザや掛けっぱなしのリバーブなどの余力と考えるといいと思います。
Zoomの505シリーズに、モジュレーション専用とかディレイ・リバーブ専用のやつがありましたが、MS-50Gはそれのどれにでもなれるって感じでしょうか。

かくしてMS-50Gを使ってG2Nuをグレードアップしよう作戦は意外な展開を見せ、当初とは大きく違う方向でコンパクトエフェクターセットのパワーアップという形に実を結んだ訳ですが、当初の目的であったメインのG2Nuのグレードアップはまるで達成されていません。
実はそちら用には新たにG3+エクスプレッションペダルを購入してしまいました(^_^;)
そちらの感想や私の使い方などは、ご迷惑でなければまた改めてメールさせていただきますね。

  それでわ〜

    Randy伊藤

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