Column 110

客観性とオリジナル


 

皆さんは「ギター・マガジン」誌を読んでいますか?(笑)

 
私はプレイヤー誌と並んで、30年来の愛読者です。ネットが進んできた昨今でも、出来るだけ目を通すようにしています。その中でここ10数回続いている、巻末に出てくる記事があります。これは非常に興味深い内容で、とても楽しい検証です。「ギターの弦におけるテンション」=いわゆる弦によっておきる「力」を、できるだけ正確に計測しようというものでした。今までに、どこもやったことの無い実験です。周りの情報に流されず、「できるだけ正確に」「出来るだけ公平に」、弦の張力によって生み出される力を、計測しようというものです。009のゲージと010のゲージでは、いったいどのぐらいの力(計測値としてはKg)の差があるのか?。それを考え得る限り、正確に計測しようという主旨です。これは、たいへん参考になるものでした。できるだけ客観性をもたせ、「これなら、比較対照してもダイジョウブだろうという数値」を計測しています。メーカーによっては、パッケージに記載しているところもありますが、あくまでもそれを鵜呑みにせず、全てを公平に計測した値。これが1冊の本になってくれればいいな、と思っていました。
現実にはまだ、「ツッコミどころ」があります(笑)。「弦そのもの」が起こす数値は計測されていますが、「ではそれが、ギターという物体に搭載された場合、どう影響するのか?」という点までは考察されていません。もっともっと「弦について」掲載が続くものと思っていました。ところが・・・

 
 
話が「ペグ」に移りました。「マシーン・ヘッド」「糸巻き」「ペグ」−どれでもいいんですけど(笑)

これの「物理的な作用」を客観視するのは、それはそれで面白いな、と思いました。ところがですね(爆)
  
初っ端から・・・客観的じゃないんです。「弦」の場合、最初は「引っ張りすぎなんじゃね?」(シャレじゃなくて)って思うぐらい、「客観性を重視するためのセッティング」が行われました。「どうしたら客観性が保たれるか?」「どうすれば正確と思われる数値になるのか?」。クドいぐらい、初期設定が重視されていました。ところが「ペグ」に話が移った途端、この「客観性」がまったく無視されて、最初から「自論」が展開され始めました。これじゃあ・・・ねえ・・・(笑)。
 
前に私も、「ペグの話」を書いていますよね。私はペグには「遊びがある」と書いています。実際に皆さんも触っているのでわかると思いますが、その「遊び」を多くの人は「ガタつき」「グラつき」と表現します。実際にクルーソンもグローバーも、カタカタ動きますよね?。長年疑問に思っていた私は、それが「意図した遊び」であるという結論に達しました。というか、ガタつきなく作れるハズなのに未だに直ってないということは、そこに「なんらかの意図」があって当たり前だと思いました。そう思ってから見た「クルーソン」は、それはそれは素晴らしい機能で、昨日今日に出されたモノなど足元にも及ばない「理に適った知恵の塊」に見えました。そして「クルーソンで起きた、いくつかの点」を、別の視点で解決しようと試みたのが「グローバー」。出来上がってみれば、クルーソンとは対極にあり、だけれども「クルーソンの理に適った部分」を、確実に継承しているように見えました。
 
「遊び」と「ガタつき」

知らない人が見たら、どっちも同じに見えますよね。みんなが最も体験しているであろう事例で言えば「自転車のチェーン」です。あれ、なんで外れちゃうほどユルユルなんでしょう?。なぜ、外れないようにパンパンに張っちゃダメなんでしょう?。

そして普通の金属チェーンの後にゴムによる「ベルト・ドライブ」。またはカムで伝える「シャフト・ドライブ」が考えられました。これらは一見とても理に適ってるようで・・・でも実際には市民権は得られませんでした。自転車といえば、未だに圧倒的に金属チェーン。不思議ですよね??
 
今回のこの「ペグ」の話は、最初から「ベルト・ドライブ、シャフト・ドライブの方が、高性能である」というところから話が始まってます。元から「金属チェーン」を否定したところがスタートになってしまいました。今月号=2月号では、クルーソンとグローバーの説明をしているんですが、それが「GOTOH製クルーソン」と「GOTOH製グローバー」(笑)。しかも・・・「ガタつき」の説明もしています。
 
クルーソンは、よく破損します。ありますよね、ペグが曲がっているヤツ。何年もギターを弾いてれば、1度や2度は見たことがあるはず。この論文では最初から、それがまるで「悪いコト」として表記されています。グローバーでよく起こる現象は、ネジの緩みによるシャフト抜け。この2つの故障は、基本直せません。っていうのは、クルーソンもグローバーも、ユーザーには直して欲しくないハズ。それは「売上げ」を考えたものなどではなく、「そういう構造だから」です。そういう風に、メーカーが作っています。それを最初から否定されたって・・・ねえ(笑)。
 
まずは「クルーソン」を知りたかったら、「オリジナルのクルーソン」を知るべき、でしょ?。エレキギターができるはるか前からあります。アコギには、ずっと使われてましたから。エレキの歴史で見ても、60年経っています。この「遊び」がほんとうに「ガタつき」なら、とっくに直せているハズ。今あるGOTOHのように作ろうと思えば、簡単にできたハズ。なのに「やらなかった」んです。とすればそこに「何らかの意図がある」と思うのが普通です。「なぜ、やらないのか?」って考えたら、答えは「それが機能として必要だから」にしかなりません。それを否定したのが、GOTOH(爆)。
 
GOTOH製のペグ。皆さんも使っていることでしょう(笑)。「精度」としたら、素晴らしいですよね。今まで全ての人が思っていた「ペグに対する不満」を、一挙に解決しました(爆)。それはそれで、GOTHさんを否定するつもりはありません。「ユーザーの欲するもの」を、的確なカタチにしましたから。「ペグでロックする」っていうのも、約20年掛けて完成させました。一度この「ロックできるペグ」を使うと、トリコになるのは判ります(笑)。

ただし、GOTOH製を持って、クルーソンやグローバーを否定するのは止めて下さい(爆)。なぜなら、GOTOHさんも「オリジナルのクルーソンと同じモノ」を作っています。「オリジナルのグローバーと同じ物」を作っています。GOTOHさんは、判ってやってますから(笑)。「オリジナルの持っている機能をわからないユーザー」に対しては、新機能のGOTOH製を。「わかるユーザー」には、オリジナルに忠実なモノを売ります。なので・・・ついにクルーソンやグローバーも、「GOTOH製のような精度を持ったモノ」を作り始めました。判ってもらえないなら、それが意に反するものであっても、「売れる商品」を作るしかありません。オリジナルは「わかってくれるユーザー」に。「わからないユーザー」には、どうでもいい最新機能を(笑)。しかたないですよね。それが「商売」ですから。
 
 
この企画。とっても楽しみにしています。
「結論」がどうなるのか?とっても興味深々(笑)
2月号と連動するように、「私の自論」も書いておきます(爆)
  
「クルーソン」は、ぶつけると「シャフト」が曲がります。そしてそれより強い力を加えると、「カバー」が外れてきます。カバーがシャフトの「軸受け」も兼ねているので、そうなります。よかったですねぇ〜(笑)。ぶつけても、ペグの交換だけで済みます。しかも・・・1個だけ(笑)。ネジ止めしてるネジさえ、浮いてきませんよね。そっちに力が流れないないよう、シャフトは簡単に曲がり、カバーが外れる構造になっています。簡単に言えば、取り付けられている「ベース部分」と「突起してる部分」が、外部から力が加わると分離するように作られています。ひいてはそれが「木製のヘッド」に伝わらない構造になっています。弦を巻いているシャフト部分にも・・・「遊び」があります。最悪、ベース部分に力が加わっても、そこの「遊び」が、できるだけ力を拡散してくれます。この「理に適った遊び」があるため、ユーザーにはさわって欲しくないんですね。普通に直したら・・・「歯車どうしをキチンと噛み合わせちゃう」でしょ?(笑)。
  
「グローバー」は、蓋が開きません(笑)。中を見られない構造になっています。クルーソンと違うところですで。そのかわり、グリスが流れ出さないよう、密閉されています。まあ、当時考えた「メンテナンス・フリー構造」であり「開けるな!!」っていう意思表示(笑)。でも・・・「歯車の遊び」は同じです。弦を巻くほうを動かせば、それがわかります。「遊び」を生かしたまま、クルーソンにはない「歯車のスムーズさ」をかもし出しています。当然クルーソンとは、「ギヤ比」を変えましたし。そして「止めネジ」は1本。最悪全体に力が加わると、ネジは抜けて「クルン」と回る構造になっています。あの「ネジ」自体には、ほとんど力が加わってませんから。

そしてクルーソンもグローバーも「止めネジ」は、「位置情報」になっています。そのネジ穴に合わせると、ペグを「正確な位置」に取り付けられます。
  
  
私のベンダー付きの「テレキャスターBB」と「赤いテレキャスター」。BBはクルーソン・タイプ、赤はグローバー・タイプ。BBは3Wayブリッジ、赤は6Wayブリッジ。BBはパッシブPU、赤はアクティブPU。BBはメイプル・ネック、赤はローズ・ネック。なにもかも、「正反対」になってます(笑)。なんだって「使ってみなけりゃ判らない」です(爆)。

そしてそれが「なぜ?」って言う場合、今いる場所から見るのでは無く、「スタート地点」に戻らないとダメ。いつも言ってるので、ココに来てくれる人はわかってますよね(*^_^*)
  
  
さてどういう結論が導き出されるのでしょ〜〜〜か?(^_-)-☆。
  

←BACK

inserted by FC2 system