初心者の壁 勉強編 Part2


「コードの動かし方講座」



■キーの変更【移調】
「循環コード」は弾けるようになったかな?(笑)。「循環コード」がわかって「これ」を覚えれば・・・。

人には必ず「キー」があります。簡単に言うと「最も歌いやすい音程」が存在します。ただそれが必ずしも「原曲のキー」とは一致しません。よくみんなが使う「キーが高い」とか、「キーが低い」っていうヤツですね。中上級者になればあらゆることを考えて「キーを変更」しますが、初心者の場合、「とりあえずキーを変えないと、歌えない」という時があります。実際に「キーを変更」するには、様々な要素が絡んでくるのですが、まず、とりあえずキーを変えて演奏してみましょう。すべては、「やってみて初めてわかる」ことのほうが多いからです。

最も単純な例から入ります。まずこのコード進行を見てください。

C→Am→F→G7

またもや「循環コード」です(笑)。では、これをまず「D」に移動します。

D→Bm→G→A7

「C」を「D」に「1音」あげると、このようなコードになります。中上級者は瞬時に頭のなかで、この作業をします。「えっ?どうやって?」って思われることでしょう(笑)。その「原理」がこれです。

 

通常、私なんかは「サークル」って呼んでます。正確には「なんとかかんとかサークル」(笑)っていう名前があるらしいんですが、すでにDNAに組み込まれてしまっているので、全然考えてません(爆)。これをもとにして考えれば、誰でも「キーの変更」−「移調」を行うことができます。

今、移調したいのは「C」から「D」へ。「サークル」で見ると時計回りに2コ先。他のコードも2コ先に移すと・・・

C +2 =D
Am+2 =Bm
F +2 =G
G7 +2 =A7


では「4コ先」では・・

C +4 =E
Am+4 =C♯m
F +4 =A
G7 +4 =B7


となります。わかったかな?
動かす時は、「同じ方向」に。「時計回り」なら、全部「時計回り」に。もちろん、反対向きでもかまいません。

実際にパート1で出てきた9個のコードで、「キーをC」に直すと、ほとんどの曲が「歌え」ます。歌詞とコードさえわかれば、どんどんレパートリーを増やせます。


「でも、俺はリード・ギターを弾きたいんですけど・・・」


まあそうあわてないで(笑)。物には順番ってものがあるでしょ?
「リード・ギター」って・・・みんなひょっとして、あの「地獄のメカニカルなんとか〜」とかが弾ければ、なんとかなると思ってない?確かにギターを弾く上で「指が動く」「速く弾ける」「ムズカシイ事ができる」のは大切だけど、「リード・ギター」は「フレーズ」じゃなくて、「メロディ」なんだよね。速く弾いても、ゆっくり弾いても「印象に残るリード・ギター」は、「メロディとして美しい」ものが多いんだ。「楽器は歌心」ってよく言うだろ?どんなにスゴイ教則本を2〜3冊弾けたって、コード進行が違う曲がでてきたら・・・役に立たなくなっちゃうんだね。

今ここで「コードの事」、できるだけ簡単に学べるようにしてるけど、実は「コード」っていう概念は、「ギターにしかない」んだ。クラッシックのピアノを物凄く弾ける人に聞いてごらん。「コードなんて知らない!」って言われるから。彼らは「和音」は知ってるけど、「コード」なんていうものは知らないんだ。これは「ギター独特」のもの。
でも上級者の人に聞くとわかるんだけど、「コード」を学んでると、いつのまにか「楽典」−音楽理論がわかってくるようになるんだね。私なんかも「いつのまにか知ってた」っていうタイプだから(笑)。
ここまで来て「イヤ」な人は、やめればいい。やり方は自由なんだから。ただ「何をやっていいかわからない人」は・・・いっしょにやろ!(爆)


■キーの変更【カポタスト】
同じ「移調」するのでも、「キーの変更」ではなく、「簡単なキー」に移動したい場合があります。簡単に言えばキーが「E」の曲を、面倒なんで「C」で弾いてしまいたい(笑)。そんな時に使うのが「カポタスト」です。

これも前項と同じように、「サークル」を使います。

D→Bm→G→A7

これを「C」で演奏するには、2個、半時計回りに移動します。

D −2 =C
Bm−2 =Am
G −2 =F
A7 −2 =G7


で、「サークル」で「2個」下げた分を、カポタストで2つ補います。つまり、「2フレット」にカポタストを付けて、「C」で弾くと、キーが「D」で演奏されることになります。もう一つ、やっておきましょうか。

F→Dm→B♭→C7

ちょっとムズカシクなりましたねえ〜(笑)。でも「サークル」さえあれば・・・

F −5 =C
Dm−5 =Am
B♭−5 =F
C7 −5 =G7


「F」から見ると「5コ」落としてるので、5フレットにカポタストをつけて「C」でプレイすればOKということになります。
当然これを「譜面」に記述します。キーが「F」の曲を、「C」でプレイする時は・・・

Key :F  〔・・・原曲のオリジナルキーは「F」です〕
Capo:5  〔・・・カポタストを5フレットに付けます〕
Play:C  〔・・・実際には「C」で演奏します〕


こう書いてあって、「譜面」には「C」のコードに直したものが記載されます。
ここではわかりやすくすべて「C」にしていますが、「D」でも「E」でも「Play:×」と記載されます。

ただし、「カポタスト」を普通に使えるのは「7フレット」までです。これ以上は、めったにありません。音が高くなりすぎ、かなり弾きにくくなります。つまりキー「C」の曲は「7フレット」に「カポタスト」を付けるとキーが「G」。とすると、「A」や「B」には、移動できないってこと???そこでちょっと頭をひねって・・・


■キーの変更【移調】+【カポタスト】
もうわかりますね?(笑)。「あわせワザ」です。
まず「C」を「G」に直します。

C − 5 =G
Am− 5 =Em
F − 5 =C
G7 − 5 =D7

【移調】はどちらから数えてもいいんですよね。近いほうで5コ下げます。その上で「G」を「A」で弾くには・・・

A   − 2 =G
F♯m − 2 =Em
D   − 2 =C 
E7  − 2 =D7 

「カポタスト」を「2フレット」に付けて、「G」でプレイすることになります。単純にいえばキーが「A」の曲は、「C」のカタチで弾くことができないので、もっとも近くて簡単な形の「G」に直しました、ということです。ちょっとわかりにくい?そにうちに、わかってきます。



■キーの変更【ポジション】
男性の歌を女性が歌う場合、あるいは女性の歌を男性が歌う場合、かならず「キーを変更」しないと歌えません。小さな声で「ブツブツ」歌ったり、「カラオケ」程度なら何とかなりますが、こと「バンド」で演奏するとなると、そうはいきません。「ボーカルが最も歌いやすいキーに変更」する必要性が出てきます。まずボーカルに歌いやすいところを決めてもらい、「サークル」でコードを決めましょう。

ところが・・・困ったことに、Rockのカッコイイ曲っていうのは「リフ」と呼ばれるギターやキーボードの「決まったパターン」を持っている曲が多いんですね。そしてそのカッコイイ「リフ」は、「開放弦」をつかった「ローコード」のポジションで作られていることが多いんです。

「ローコード」で「開放弦」を使った「リフ」。一番多いのが「A」や「E」。次に「D」や「G」。何曲かコピーしてると、必ず出てきます。ところがこれを「男性の歌を女性が歌う場合」「女性の歌を男性が歌う場合」、とんでもないところに移動しなければならないことがあるんです。


今、とある「リフ」がカッコイイ、キーが「A」の曲をやろうとしています。ところがボーカルの人が歌ってみると、一番歌いやすいといったキーがなんと・・・「E♭」!!(笑)。さあ、どうしましょう?
キーが「A」だとすると、よく出てくるコードは、

A→F♯m→D→E7

これを、「サークル」を使って、「E♭」に直すと・・・

E♭→Cm→A♭→B♭7

・・・・ヤバッ!!(笑)。まったく「開放弦」を使えないどころか、覚えるのもたいへん(爆)。ギターは「ローコード」がないものばっかりだし、キーボードは「黒鍵」だらけ・・・。こんなときは・・・
ボーカリストにお願いして、「半音」あげるか、下げるかして貰いましょう。「半音」ずらすと・・・

「半音上げ」 E→C♯m→A→B7
「半音下げ」 D→Bm→G→A7


あれほど見にくかったコードがあーら不思議(笑)。いつもの見慣れた並び方に。そして「A」にあった「リフ」。「A」に当たるコードが「E」または「D」なら、開放弦が使えて、少しは近くなるかも・・・。


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